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覚えよう「ローソク足」の見かた

【★基礎からわかる「テクニカル分析」入門2】

株価の動きを知るときにまず覚えたい「ローソク足(あし)」。今回はローソク足を含めたテクニカル分析、別名「罫線(=チャート)」を学んでいきましょう。

チャートは「コメ相場」から生まれた!? 世界最初の先物市場

テクニカル分析は、今から約300年前に大阪堂島のコメ相場が始まりといわれています。
お米を現物で取引するのではなく、これから豊作で値下がりするのか・凶作で値上がりするのかを予想し、まだ収穫されていない未来のお米に値段をつけて取引することが始まりました。これが世界ではじめての先物市場といわれていて、今でいうデリバティブ取引を江戸時代の人はやっていたのです!

お米の先物価格の推移をみながら将来の価格や市場参加者の心理を読み解こうとするテクニカル分析の試みがこのころ生まれました。(必勝法を編み出し、大儲けした人もいたとか…)

当時は「テクニカル」という言葉はなかったので、「罫線(けいせん)分析」といわれていたそうです。

その後、明治期にはいり、日本でも株式取引所が設立され、株式でも罫線が利用されるようになりました。技術的にはむしろ、コメ相場よりも株式市場への応用によって罫線は大きく前進したといわれています。

「ローソク足」の誕生!

明治30年代にはいりますと、日本の出版社が「ローソク足」、別名「陰陽線」を開発して、テクニカル分析が徐々に一般に浸透するようになりました。

戦後のテクニカル分析は公社債市場を含む、証券市場一般に活躍の場を広げ、今では為替市場、各種先物市場などでも活用されています。日本で先に普及したわけですが、シンプルな「バーチャート」が主流であった欧米でも昨今はローソク足が「キャンドルスティック」と呼ばれ普及してきています。

ローソク足の読みかた

それでは早速ローソク足を読んでみましょう。

1本のローソク足を描くには4つの値段が必要です。「始値(はじめね)」、期間中の「高値(たかね)」と「安値(やすね)」、「終値(おわりね)」です。

1日の動きを1本で表すのであれば「日足(ひあし)」、一週間の動きを表す「週足(しゅうあし)」、1ヵ月なら「月足(つきあし)」などと呼びます。

例えば日足の場合、始値はその日の最初(寄付=よりつき)に取引された値段。
高値と安値はその日の取引時間中(ザラ場)で一番高かった値段・低かった値段。終値はその日の最後に取引された値段をそれぞれ表します。

始値から終値にかけて値段が上昇したとき「陽線」といい、中身を塗りつぶさない枠線のローソクで表します。
逆に値段が下落したときは「陰線」といい、塗りつぶしのローソクで表します。(陽線は赤・陰線は緑で色分けされることがありますが、反対の色使いをしているところもあるので、枠線か塗りつぶしかを覚えたほうが正確でしょう。)

始値と終値をつないで囲った四角い枠を「実体」、実体から上下に伸びた棒を「ヒゲ」と呼びます。

このローソク足を時系列順に並べて連続させたものが「チャート」です。

ローソク足値動きを知る

同じ1本の日足のローソク足でも、日中の値動きが異なる場合があります。
下の図をみてください。

★ピンク色の線は、前場に高値をつけて後場に下がり安値をつけ、その後、引けにかけて切り返し上昇したパターン。
★青色の線は、前場に安値をつけて後場に上がり高値をつけ、大引けにかけて値下がりしたパターン。

このように、見た目は同じ1本のローソク足で表されていても、実際の動きは異なる場合がありますので、ローソク足1本のみでの分析は避けたほうが良いでしょう。

9つの基本型

ローソク足には9つの基本型があります。

上の4つが陽線、下の4つが陰線、真ん中が実体のない「十字足」と呼ばれるローソク足です。

一番上は、始値から終値にかけて終日株価が上昇し続けていることを表し、「大陽線」と呼ばれています。この「大陽線」が底値圏ででたら、上昇トレンドへの変換のシグナルだといわれています。

上下に短いヒゲがでている「コマ」と呼ばれるローソク足と、始値と終値が同じ「十字足」は、“迷い相場”、つまり相場がどちらに動くかわからない場合にでるといわれています。

とくに「十字足」は、売りと買いの強い攻防を表すもので、高値圏もしくは安値圏ででたら“トレンド方向転換のシグナル”といわれています。ただしこれはあくまでもローソク足1本の動きなので、将来の動きをある程度予測するには、複数のローソク足を分析する必要があります。

3本のローソク足で、分析力UP

ローソク足を3本組み合わせると、1本のみでの分析とは違った見かたができます。

左上は「大陽線」が3本並んだ、つまり3日間高値引けした動きを示しています。これを「赤三兵」と呼び、上昇トレンドを表しています。
一方右上の3日間安値引けしたものは「三羽烏」といい、下降トレンド。

中段左、1日目陰線・2日目小さな陽線・3日目に「大陽線」がでた場合、3本をまとめると、下ヒゲの長い陽線になります。これは底入れを暗示する「明けの明星」と呼ばれています。中段右はその逆で、「宵の明星」といい、天井を暗示しているといわれています。

このように3本のなかでの始値・高値・安値・終値を用いてローソク足をつくってみると、さきほどの9つの基本形のどれかに当てはまるので、どんな力が働いているのかよりわかりやすくなります。

実際のチャートで使ってみよう

では実際にチャートをみてみましょう。こちらは日足のチャートです。

いったん下落したチャートに「赤三兵」がでると、そこから上昇トレンドとなり、少し下がった後でもう一度「赤三兵」が出現。引き続き上昇トレンドとなっています。
中央で天井を形成した後に、「三羽烏」が二度でると、下降トレンドに転換しています。このようにチャートをまとめてみると、上昇トレンド、下降トレンドが読みやすくなります。 ローソク足を3本組み合せると、1本のみよりも分析の精度が高まるといえるでしょう。

底値や天井を見極めよう!

こちらは底値圏での動きのチャートです。

高値引け3本が続いた「赤三兵」ののち、押し目で「明けの明星」がでています。
これは、下がったときに買いがはいって底値が固まりつつあるパターンといえるでしょう。「赤三兵」がでたから上昇だ!と近視眼的にならず、少し冷静になって中長期的に底値や天井をとらえることが大切です。

日足、週足、月足…期間が変わればローソク足の形も変わる?

日足のチャートだけではなく、時系列を長くして週足、月足をみることも大切です。

まず、上が日足のチャートです。四角で囲った時点から、その後、上昇トレンドとなっていますが、四角の時点では、トレンドをつかむのは難しいでしょう。

しかし、下の週足チャートでみますと、先ほどの四角で囲った時点では、 底入れを暗示する「明けの明星」がでていることがわかります。このように、マーケットの転換点をみるためには、日足だけではなく週足やときには月足を分析することが大切です。

普段、私たちの視点は短期的になりがちですが 、発生しうる損失を抑え、投資のパフォーマンスを上げるためには、月足、週足、日足…といろいろな方向からチャートを眺めることも重要です。

>>次のレッスン「トレンドラインで知る“買いサイン・売りサイン”」

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