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遺言はどうやって作るのか?

そもそも「遺言」とは何か

 遺産の分配方法は、民法で細かく決められています。たとえば、夫が亡くなり、残された家族が妻と子ども3人だった場合、4人が民法で定められた「相続人」です(法定相続人)。

 夫が「遺言書」を残していなかった場合には、民法では「妻が相続財産の2分の1、残り2分の1を子どもで等分して相続する」と決められています。

 しかし、相続人間での遺産争いを避けるため、分配方法をあらかじめはっきりとさせておきたい場合や、最後まで面倒を見てくれる子に(優先的に)相続させたい親など、家族ごとにさまざまな事情があり、「被相続人(相続財産を残す人)」が自分の財産に対する処分方法について、自分の意思で相続人に向けて伝える方法が広がってきました。

それが「遺言」です。

「遺言」にはどのような種類があるのか

 「遺言」は全部で3種類あります(別途、特別の方式によるものがあります)。

 まず一つめは、「自筆証書遺言」です。遺言の全文、日付、氏名を自分で記入し、さらに自ら押印したものです。メリットは、証人が必要なく自分一人でいつでも作成できる点と、特別に費用がかからない点です。

 一方で、様式や書き方などに厳格な規定があるため、もし不備があれば無効になります。また、遺言者が亡くなった後に家庭裁判所で検認の手続きを受けなければならないことや遺言書の偽造、紛失の恐れがあるといったデメリットがあります。

 二つめは、「公正証書遺言」です。これは遺言者が公証人に遺言内容を口述し、その内容を基に公証人が作成するものです。基本的に公証役場で作成されますが、病気などで公証役場に行けない場合でも、公証人が遺言者の所へ出張してくれます。

 作成された遺言書の原本は公証役場で保管され、正本が遺言者に渡されます。正本をなくしても、原本を基に再交付を受けられます。偽造される恐れもありません。また、公証人が作成の指示をするので、遺言の様式や内容の不備が起こる恐れは少ないと言えます。

 三つめは、「秘密証書遺言」です。これは遺言者が遺言を自著し押印したうえで、封筒に入れて封印し、この封書を公証人と証人2人以上に遺言者の遺言書であることを認めてもらうものです。その証として、公証人と証人は、封紙に署名・押印します。遺言の内容は遺言者しか知らず、その「存在」だけを他の人に認めてもらうということです。

 この遺言の場合、「自筆証書遺言」と違って自筆である必要がなく、一定の要件を満たせば内容の変更も可能です。しかし一方で、この遺言書の開封は、家庭裁判所で相続人あるいは代理人の立ち会いのうえで行わなければなりません。

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