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原油相場底入れか、増産凍結期待が下支え

米国の石油掘削装置減少によるさらなる生産量減少期待

 米国内の石油掘削装置(リグ)の稼働数が急激に減少しており、今後、シェールオイルの減産に拍車がかかる可能性があることも原油価格の上昇材料といえそうです。

 米エネルギー省の報告によると、3月18日時点で米国内のリグ稼働数は387基とピーク時の約4分の1となっており、また原油生産量も3月11日時点で日量906万8,000バレル(前年同期比▲3.2%)と5週連続で前年同期を下回っています。サウジアラビアと肩を並べる巨大産油国であることには変わりはないものの、衰退は目に見えて明らかといえます。

 なお、シェールオイルは在来型の油田と違い、井戸当たりの生産減退率が高い傾向にあります。生産開始直後が最も生産量が多く、4年前後でピーク時の約10%程度となり、その後は細々とした生産量になると言われています。つまり、生産量確保には井戸数を要するためには、在来型油田以上に継続的な投資が必要とされます。

 このため、エネルギー業界の借入比率はもともと高い傾向にあります。しかし、原油安で埋蔵量の担保価値が落ちていることから、金融機関による借り換え条件がさらに悪化している可能性が高いのです。通常、金融機関による融資枠の見直しは決算期後の4月と10月ごろに実施されると言われています。金融機関からの融資が受けられなければ、新興のシェール関連企業はハイイールド債(信用力が低く高利回りの債券)を発行して資金を確保するという選択肢を採ることとなります。

 ただし、2016年1〜2月のハイイールド債市場におけるエネルギーセクターの発行額は前年同期の半分以下に減少しており、もはやハイイールド債を発行して資金を調達することすらできなくなっているシェール関連企業が増加しているものと推測されます。米国の原油生産量低下は原油相場にとって中長期的な下支え要因として作用するのではないでしょうか。

 今後、WTI原油先物相場は1バレル=30ドル台後半で足場を固められるかどうかが注目ポイントとなるでしょう。