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政府も進める「働き方改革」 副業・兼業は日本で広がるのか

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(写真=PIXTA)

あなたの職場では副業・兼業は認められているでしょうか?政府は企業が抱える有能な人材を幅広い分野で活用するために、副業・兼業などの柔軟な働き方を促進しようとしています。さまざまな仕事を経験することで従業員の成長に繋がり、企業にとっても「副業・兼業」の経験を本業へ生かしてもらうなどのメリットがあります。今回は、「副業・兼業」のこれからについて考えてみましょう。

「働き方改革」における「副業・兼業」とは

2016年夏に発足した第三次安倍内閣にて、第三の矢、構造改革の柱となるのが「働き方改革」であると、同年9月に開催された第1回「働き方改革実現会議」で総理より発表されました。「働き方改革」の目的は、労働生産性を向上させることで、経済成長を底上げすることです。「働き方改革」には9つのテーマがあり、その中の5番目に「テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方」が掲げられています。

経済産業省「兼業・副業に係る取組み実態調査事業報告書」によれば、「副業・兼業」を推奨していないが容認している企業は、アンケート回答企業のわずか14.7%となっています。現段階では「副業・兼業」に関して、多くの企業が賛同していないことが分かります。

しかし、「副業・兼業」は、企業、従業員双方にとってメリットがあります。従業員は、金銭面のみならず、新たなスキルや人材ネットワークの獲得、また自己成長が期待でき、また、企業にとっても、「副業・兼業」で得た知識・経験を本業で生かすことができ、経営者感覚を養う人材育成の面でも期待ができます。

一方、「副業・兼業」により、社員の長時間労働を招くなどの懸念もあるため、労務管理については対策が必要となるという、企業側の「兼業・副業」を推進できない理由もうかがえます。

「副業・兼業」をはじめる前に。押さえておきたい法律や規則

公務員は法律で、営利目的の私企業(民間企業)で働くといった副業・兼業が制限されていますが(新聞報道などによれば、一定の条件の下、副業を推進する地方自治体も登場してきました。)、企業の従業員に関しては、労働法に「副業・兼業」についての規定は特にありません。しかし多くの企業は、就業規則に「副業・兼業」の禁止規定を盛り込むことで、企業独自の制限を設けているようです。

多くの企業が「副業・兼業」を認めてこなかった理由は主に以下の3つがあげられます。

・副業の疲労などによる本業への悪影響がある
・ 本業と副業が競業関係となり、企業の利益が損なわれ、かつ技術や機密情報が漏えいするリスクが
ある
・副業の内容によっては、本業の企業の信頼を損なうことがある


「副業・兼業」を始める前に、自社の就業規則をよく確認してみてください。「禁止」「許可制」「自由(規定なし)」などと定められているはずです。「副業・兼業」が許可制になっている場合は、会社へ届け出て、許可を得てから「副業・兼業」を行うことができます。

これからの「副業・兼業」

経済産業省・中小企業庁は、2017年3月に「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会」において「副業・兼業」に関する提言および事例集を公表しました。その事例集の中で、創業・起業している個人と、創業・新事業創出を奨励している企業が、6例ずつ紹介されています。この動きが、企業の「副業・兼業」解禁を後押しすることになっていくのかもしれません。

最近は、「副業・兼業」を容認している企業に注目が集まっています。国内のある製薬会社では、他社やNPO(非営利組織)などで働ける副業制度を導入しました。この企業の「副業・兼業」の勤務先としては、ドラッグストアが一般的なようです。また、地ビールの製造・販売会社を立ち上げ、すでに地ビールを製造している従業員もいるそうです。

「副業・兼業」を容認している企業は、「副業・兼業」での経験から、従業員が多様性を得て成長し、自社でその経験を生かすことを期待しています。また、この働き方における柔軟性に気づいた一部企業は、リモートワークを積極的に導入し始めています。これからは、企業の従前の体質に縛られない、柔軟な働き方が広まることが期待されます。

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