Home / 経済を知る / 欧州-経済 成長率は加速、持続力には疑問

欧州-経済 成長率は加速、持続力には疑問

主要国はほぼそろって内需中心の高成長も、暖冬や前期の反動による影響も

 主要国別にみると、まず2016年1-3月期に前期比+0.7%と15年10-12月期の同+0.3%から伸び率を高めたドイツでは、家計と政府の消費がともに拡大したほか、暖冬の影響で機械設備投資に加えて建設投資も活発だったことが指摘されています。一方で、輸出を上回る輸入の大幅な伸びにより、純輸出はマイナスとなったもようです。同様な傾向は、フランスでも指摘されています。同国の実質GDPは同+0.5%と15年10-12月期の同+0.3%から伸び率を高めたとともに、同時に発表した需要項目の内訳で確認すると、昨年11月のパリ同時テロの影響もあって10-12月期に前期比▲0.1%に落ち込んだ個人消費が、16年1-3月期は同+1.2%と回復したことや、住宅や設備投資の増加が継続した一方、純輸出の成長寄与度が▲0.2%と3四半期連続マイナスを記録しました。

欧州委員会の春季経済見通しは緩やかな成長持続と低インフレからの脱却の遅れを予想

 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は5/3に春季経済見通しを発表しました(前回予測は今年2月発表)。今回の見通しによると、ユーロ圏の実質GDP成長率(前年比)は2015年の実績+1.7%(前回見込みは+1.6%)に続く16年が+1.6%(前回予測は+1.7%)、17年も+1.8%(同+1.9%)と前回予測がわずかに下方修正されました。他方、同じくユーロ圏のインフレ率(消費者物価指数、前年比)は15年の0.0%(同0.0%)に続く16年が+0.3%(同+0.5%)、17年も+1.5%(同+1.6%)と見通しが下方修正され、予測期間中、欧州中央銀行(ECB)の中期的なインフレ目標(2%以下、ただしその近く)への接近は今一歩足らずとの見通しとなりました。

>> 次ページ 景気下振れリスクとして海外経済減速、地政学リスク、原油価格や金融市場の乱高下等を指摘