【★基礎からわかる「テクニカル分析」入門7-2】
価格帯別出来高とは?
前回解説した「出来高」が、「いつ・どれくらい」の株式が取引されたのかをビジュアル化しているのに対して、「いくらで・どれくらい」取引されたのかをビジュアル化したのが「価格帯別出来高」です。
簡単なイメージ図で見てみましょう。
価格帯別出来高は、このように株価チャートと並べて表示して見ます。
この例では500円で取引した人がたくさんいるということがわかりますね。
みんなが思っている「適正価格」が見える?
株式はこの価格で「売りたい」と思っている人と「買いたい」と思っている人がマッチングしたときに取引が成立します。売りたい人や買いたい人がたくさんいるということはつまり、その価格を「適正価格」だと思っている人が多いという風に考えることができます。
このことをふまえて、投資家たちの気持ちを想像してみることが、価格帯別出来高から需給を読みとる第一歩です。
現在の株価がボリュームゾーンより下にあるとき
それでは、さきほどの例で現在の株価が480円になったときの、投資家たちの気持ちを考えてみましょう。
500円で買った人がたくさんいるので、自分が買ったときより株価が下がって含み損を抱えた人がたくさんいることになります。(もちろん、出来高の山の大きさイコール人数ではなく、一人でたくさん株数を買った人や、500円で買ったものの他の価格帯で売ってしまった人も含まれているのであくまで目安と思ってください。)
500円で買った人はその株を持ったままで売らなければ損失は確定しませんが、含み損を抱えた状態というのは心理的に嫌なものです。仮に株価が上昇して再び500円になったときに、「ようやく戻った」「含み損がなくなったところで早く売ってスッキリしたい」と考える人がたくさんいると推測できます。
ということは、株価が480円から500円に上昇したときに売りが多くなって、上昇基調にブレーキがかかってしまう可能性が高くなります。このように、ボリュームのある価格帯は上値抵抗線になる傾向があるということを覚えておきましょう。
現在の株価がボリュームゾーンより上にあるとき
今度は先ほどとは逆に520円になったとしましょう。
500円で買った人たちをはじめ、多くの人が含み益を出している状態です。
多少株価が下がってもあわてて投げ売るような人は少なく、たとえ500円まで下がったとしても、過去に多くの取引が成立した実績があることから「押し目でまた買おう」と思う人も出てくるため、価格はボリュームゾーンが下値支持線として機能する傾向があります。
価格帯別出来高で値動きを予想してみよう
実際のチャートで確認してみましょう。
ボリュームゾーンとなっている2,700円~2,800円に株価が近づくと、見えない壁があるように値動きが一旦とまりやすくなることがわかります。一方でボリュームが小さい価格帯では、値動きが軽くなる傾向があります。
このようにチャートに価格帯別出来高を表示させると、移動平均線や出来高だけでは見えてこなかった「いくらまで買われそうか」または「いくらまで売られそうか」という上値や下値のめどを予想することができます。ぜひ、利益確定や押し目買いの目安に活用してみてください。ただし、価格帯別出来高が常に上値抵抗線や下値支持線を示すとは限りませんので、その他のテクニカル指標も組み合わせて複合的な視点から分析することが大切です。
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