【★基礎からわかる「テクニカル分析」入門7-3】
懐かしの(?)「需要曲線」と「供給曲線」
こんな図に見覚えがあるでしょうか?
市場価格の決まりかたとして教科書に出てきた「需要曲線」と「供給曲線」です。
株式も同じように需要と供給のバランスで価格が決まります。そしてこれをテクニカル指標として応用したものが「逆ウォッチ曲線」です。
逆ウォッチ曲線は「この株は今が買い?売り?それとも見送るべき?」という売買タイミングがとてもわかりやすくなる指標です。ぜひ覚えておきましょう。
逆ウォッチ曲線とは?
株式市場では新しいニュースや経済指標などの情報に影響されて、買いたい価格や売りたい価格、その数量などがつねに変化していきます。そうすると、需要曲線と供給曲線の交わる均衡点も移動していきます。
この移動パターンをわかりやすく8局面に分けて売買タイミングを計るのが「逆ウォッチ曲線」です。
なぜ「逆ウォッチ」?といいますと、一般的に相場のトレンドが始まると、需給の均衡する交点も時計の針と逆方向の左回りに移動していく傾向があることからそう呼ばれています。
逆ウォッチ曲線を使うと、株価と出来高の関係がどう変化していくのか、トレンドはいつ始まって、終わっていくのかがパッと見てわかりやすくなります。
また、出来高は株価に先行すると考えられているため、売買タイミングを早く察知するために有効なツールだといえるでしょう。
逆ウォッチ曲線・8つの局面
それでは8つの局面を詳しく解説していきます。
赤の線で需要を、そして緑の線で供給を表しています。
【 ① 注目 】
株価が安値圏からボトムアウトする少し前に、出来高は徐々に増加する傾向があります。
株価と出来高の交点は、右方向へ真横に動きだす局面で、「株価」よりも「出来高」の変化に注目しておくべきでしょう。
【 ② 買い 】
株価の上昇過程の入口では、株価上昇と出来高増加がともなう、力強い上昇局面になる傾向があります。
株価と出来高の交点は、右肩上がりの方向へ動きだす局面で、「株価」と「出来高」のアップトレンドが継続するかチェックしておくべきでしょう。
【 ③ 買い継続 】
株価が高値更新をしながら、出来高は横ばいに推移する局面です。
株価と出来高の交点は、上方向へ垂直に動きだす局面で、そろそろ「出来高」の変化に注目しておくべきでしょう。
【 ④ 買い見送り 】
株価が天井近くになってくると、出来高は減少する傾向があります。
株価と出来高の交点は、左肩上がりの方向へ動きだす局面で、今後は「出来高」の減少が継続するかチェックしておくべきでしょう。
【 ⑤ 警戒 】
株価が横ばいでありながら、上値追いに慎重となり、出来高が減少する局面です。
株価と出来高の交点は、左方向へ真横に動きだす局面で、そろそろ「株価」の変化に注目しておくべきでしょう。
【 ⑥ 売り 】
株価の下落局面では、株価が下落して、需給が悪化し、出来高も減少する傾向があります。
株価と出来高の交点は、左肩下がりの方向へ動きだす局面で、今後は「出来高」の変化には注意しておくべきでしょう。
【 ⑦ 売り継続 】
株価が調整しながら、出来高が横ばいとなる局面です。
株価と出来高の交点は、下方向へ垂直に動きだす局面で、そろそろ「出来高」の変化に注目しておくべきでしょう。
【 ⑧ 売り見送り 】
株価もボトム圏にくると、下落は緩やかになり、出来高も増加する傾向があります。
株価と出来高の交点は、右肩下がりの方向へ動きだす局面で、今後は「株価」の変化には注意しておくべきでしょう。
基本的な循環型の相場であれば、これら8局面の逆ウォッチ曲線となる傾向にあります。
逆ウォッチ曲線の描きかた
逆ウォッチ曲線を描いてみましょう。
ある銘柄は、X日に、500円で100万株の出来高があったと仮定します。ここをスタート地点として、株価と出来高の交点を時系列に結んでいき、その後の株価と出来高の動きを、右側の図の①~⑧局面に表しています。
★売買タイミングとして重要なポイントは、株価と出来高がともに大きく変動する②の買い局面と⑥の売り局面です。
ただし、日や週の終値や出来高で逆ウォッチ曲線を描くと、ノイズが多く、なかなかきれいな曲線にならない可能性があります。短期的なノイズを除去するには移動平均を使うことをおすすめします。
(日足ベースの場合、10日や25日や75日などの移動平均を用いると良いでしょう。)
成長企業・衰退企業にはあてはまらない?
基本的な逆ウォッチ曲線の8局面にあてはまらないケースもあります。
例えば、グロース株といわれるような成長型企業は、株価と出来高がともに右肩上がりとなるトレンドが継続する傾向にあります。
一方、業績が低調な衰退型企業は、株価と出来高がともに左肩下がりとなるトレンドが継続する傾向にありますので、注意が必要といえるでしょう。
逆ウォッチ曲線で絶好のタイミング!とすぐ判断せず、長期的視点から、企業業績などのファンダメンタルズを確認したうえで、テクニカル的なアプローチをすることが大切といえるでしょう。
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