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5分でわかるあなたの“生涯収支”。手取り年収400万円家族は将来お金が足りない!? FPがアドバイス!

(写真=tynyuk/Shutterstock.com)

「教育費が今後どのぐらいかかるのか心配。」
「住宅ローンもあるので無理のない返済プランなのか知っておきたい。」
「家族環境が変わり、当初の想定と異なる状況となったため、あらためて状況確認と今後の貯蓄をどう考えればよいか確認したい。」

30代~40代を中心にこうした悩みをお持ちのご家庭も多いのではないでしょうか。その解決の糸口として利用できるのが、「ライフシミュレーション」です。実際にどれくらいのお金がかかるのか、今後想定される状況を把握していきましょう。

5分でわかるあなたの生涯収支!?

将来家計のお金がどうなっていくのかを知るには、金融機関のホームページに掲載されているシミュレーターを活用するのが便利です。
ここでは、みずほ証券のホームページに掲載され、誰でも簡単に無料で使える生涯収支シミュレーター「あしたのおかね」を利用してみます。

モデルの参考例として、以下のような手取り年収400万円の子持ち30代夫婦のご家庭を想定して、生涯収支をシミュレーションしてみました。

<事例>
夫Aさん33歳、妻Bさん30歳、子1人3歳
① 将来、もう一人子どもが欲しいと考えている
② 今後の生活は一般的な(ふつうの)生活を送りたい
③ 持ち家で住宅ローンを返済中
④ 現在の金融資産は600万円
⑤ Aさんの手取り年収は350万円、Bさんの手取り年収は50万円
⑥ Aさんの退職金予定額は1700万円、Bさんの退職金はないものとして考える
⑦ 年金収入は2人で23万円(Aさん16万円、Bさん7万円と仮定)
⑧ 支出累計は当初のシミュレーター通りとし変更しない(高校から私立に入学など)

あしたのおかね」では、最初に5つの質問について答えることにより、まずは大まかな試算を行い、その後、収入や支出などの補正を行うことで、生涯収支をシミュレーションしていくことができます。
それでは、ご自身の状況やお考えにもっとも近いものを選択しながらシミュレーションをやっていきましょう。

5つの質問は、以下のとおりです。

(1)年代を選択する

まずは、ご自身の年代を選択してください。Aさんの場合、「30代」を選択します。

(2)結婚しているかどうか

次に、結婚しているかどうかを選択します。「結婚している」「結婚する予定はない」「将来結婚したいと考えている」、この3つから該当するものを選択します。Aさんの場合、「結婚している」を選択します。

(3)将来の予定を含めたお子さまの人数を選択する

お子さまの人数を選択します。このとき、将来の予定を含めてこうありたいという希望のままに人数を選択していきます。Aさんの場合、「2人」を選択します。

(4)将来の生活はどうなりそうか

将来の生活を思い描いたときに、生活が「ゆとりがある」「ふつう」「ひかえめ」のいずれに当てはまりそうかを選択します。Aさんの場合、「ふつう」を選択します。

(5) 現在の住まい状況を確認

最後に、現在のお住まいの状況を確認します。「賃貸」「持ち家でローン返済中」「持ち家でローンなし」の中から選択します。このとき、将来持ち家をお考えでも現状は賃貸であれば「賃貸」を選択します。
親と同居している場合には、「持ち家でローンなし」を選択します。
Aさんの場合には住宅ローン返済中ですので、「持ち家でローン返済中」を選択します。

この5つの質問に回答すると、今後想定される概算金額が表示されます。

手取り年収・支出などを設定しよう!

ここまでの5つの質問に答えただけのデフォルトの状態では、年代や配偶者の有無、子どもの人数などからあくまでももっとも平均的な、概算のイメージを提示しているにすぎません。このため、皆さんの実際の手取りの年収や支出のパラメータが実情に合っていないかもしれません。ここからは金融資産、手取り年収、支出状況について、皆さんの実態にあうように設定を変更していきましょう。

Aさんの場合、シミュレーション結果を確認すると90歳時点で約2,768万円不足するとの結果がでました。

住宅ローンや教育費はなんとかカバーしていけたとしても、老後資金が不足する可能性が大いにありうるということになります。

教育費や住宅ローンの落とし穴は?

このシミュレーションは、あくまでも各項目ごとの条件設定により結果が異なってきます。例えば、モデルプランでは、高校から私立に入学することを前提に検証してきました。もし、中学から私立に入学する場合など状況が変わった場合には、さらにお金が必要となります。このほか、教育費は上昇傾向にあること、子どもの人数により変わってくることも要確認です。

また、大学の授業料を確認してみても消費者物価と比べて年々高くなる傾向があります。今後も授業料が上昇するのであれば、さらに家計の負担が増える可能性もあります。

住宅ローンに関しても想定外のことが起こりえます。例えば、変動金利で住宅ローンを返済されている場合には、将来金利が上昇することがあった場合に総返済額が当初よりも増加するおそれがあります。

教育費と住宅ローン返済が同時に重なる場合には、さらに要注意です。当初はなんとかなるだろうと思っていたとしても、いざその状況が訪れると家計は火の車になることも。そうした状況にならないように、事前に余裕のある資金計画を立てることが重要です。

シミュレーションからわかること!

Aさんご夫妻の場合、シミュレーションから長い目でみて収入よりも支出の方が多いことがわかりました。あくまでも前提を置いたシミュレーション結果であるため、必ずしもそうなるとは言い切れないものの、今の生活設計のままでは将来厳しい状況が待ち受ける可能性があることがわかりました。
また、自身の希望通りに生活したい場合には、はたしてこのままでよいのかということも確認できました。

シミュレーションでは、どれくらいの支出・収入であれば資金面での不安がなくなりそうかも確認できます。収入や支出等を変更することで、長期的にみて収支に問題が生じないケースはどんな場合か検証してみましょう。

教育費や住宅ローン。今後の対策はどうしたらいい?

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(写真=tynyuk/Shutterstock.com)

もし、シミュレーションにより明らかに今後収支がマイナスとなり、家計が火の車になりそうとわかった方は、どの設定を変えればそうした状況を解決できそうか考えていかなければなりません。

一般的な資金計画における対策方法としては、収入を増やす、支出を減らすの、いずれかもしくは両方にメスを入れていきます。

●「収入を増やす」観点

会社員の方の場合、営業などの歩合給を除くとなかなか難しいかもしれません。以前のように給料も右肩上がりに増える時代とは言い切れなくなっているためです。子どもがある程度大きくなったら奥様の職場復帰を検討するなど、ご家族の希望も重視しながら収入を増やす方法を考えてみましょう。

5年~10年以上など中長期的な観点で今ある貯蓄を増やしたいというご希望の場合には、資産運用も検討されるとよいでしょう。また、なかなかお金が貯まらないという方は強制的に積立貯蓄を実践し積み立てたお金はなかったものとして考えていくのもよいのではないでしょうか。

●「支出を減らす」観点

現在の家計簿や支出状況から無駄な支出がないかどうかを確認してみましょう。日々の買い物はもちろんのこと、毎月支払いのあるようなもので無駄遣いはないかどうかにメスを入れていきます。家族環境が変わることで生命保険の見直しも行っていきましょう。一般的に被服費や保険料、電話料金、飲食費(特に外食)などが見直ししやすい支出です。その際に、無理に支出をカットするとむしろストレスがたまる一方になりかねませんので、できる範囲でコツコツ行っていくことが継続できるポイントになります。

まずはシミュレーションで現実を知ろう

ご自身の現実を知るためにもシミュレーションを行ってみましょう。シミュレーションを通じて最後に簡単なアドバイスを受けることもできます。問題点が何なのか、今できることには何があるのかを考え、心配事を一つ一つ解決していきましょう。何事も早め早めに行動することで対策方法も複数行うことができます。将来慌てずに心配せずに生活できるようにするためにも、シミュレーションを行ってみませんか。

>>生涯収支シミュレーター「あしたのおかね

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