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東大卒アイドル桜 雪と学ぶ! 投資レッスン 第4回

東京大学出身でありながら、地下アイドルグループ「仮面女子」のメンバーとして活躍する桜雪さん。常に新たな学びを求め続ける彼女の最近の関心ごとは“経済”と“投資”なのだとか。
生活と密接に関係しているはずなのに、いざ学ぼうとするとハードルが高い印象のある「お金」について、桜雪さんと一緒に学んでいきます。

【プロフィール】
桜 雪(さくら・ゆき)
1992年、三重県生まれ。東京大学文学部(心理学専修)卒業。アイドルユニット「仮面女子」のメンバー。著書に「地下アイドルが1年で東大生になれた! 合格する技術」。
仮面女子オフィシャルサイト:http://www.alice-project.biz/kamenjoshi/jp

講師はこの人!
みずほ証券 投資情報部 副部長
チーフFXストラテジスト 鈴木健吾(すずき・けんご)

みんなの質問に回答! バブルはこうしてできる!

 

 

 


4回目となる今回は、これまでにファンのみなさまから募集した、お金にまつわる質問にお答えしていこうと思います。まずは、経済について。
私が生まれた1992年にはもう終わっていましたが、かつての日本は「バブル景気」に沸いていたといいます。「バブル」とは、どうしたらできるのでしょうか。


バブルは日本語で「泡」という意味。泡のようにふくらんでいるが、中身がなく、簡単に破れる、そんな経済状況を「バブル経済」といいます。
不動産や株式などの価値が変動する資産は、買いたい人が増えると価値が上昇し、値段が上がります。すると、「値段が上がるのであれば転売しても利益になる」と考えた投資家などが、不動産や株式などの資産への投資を行う一方で、金融機関も担保価値の上昇を見込んで積極的に融資を行います。当然、資産価値はさらに上昇。不動産や株式の値段はどんどん上がっていきます。
では、これをみた消費者はどのように考えるでしょうか?

 

 

 


「値段が上がる前に買わなきゃ!」って思います!


その通り。値上がり前に慌てて資産を購入する人が増え、ますます資産価値が上がっていきます。短期間で価格が上がるのであればと、投資目的で資産を買う人も増加。簡単に儲かるので、世の中の消費意欲が一層高まり、企業の業績もアップ。業績が上がれば賃金が増え、そのお金で人々はさらに消費や投資をして物価が上がる。こういったサイクルをインフレーション(インフレ)といいますが、短い期間で激しいインフレが起こると、資産そのものの価値を逸脱した価格の急騰を招きます。

 

 

 


この状態がいわゆる「バブル」なんですね。では、どのように崩壊していくのでしょうか?


どんな泡でも、いつかは弾けてしまうときがきます。
実態に見合わない買いが相次ぎ、資産価値(価格)が高騰を続けると、やがて不動産や株式などの資産の価格が消費者の購買力を著しく上回ります。高価になりすぎて、簡単には手を出せなくなるのです。また、政府も上がりすぎた物価や地価を是正するため、増税したり、不動産業者に対する銀行の融資を制限したりします。
すると当然、投資に対する意欲が薄れ、徐々に資産の価値が下がっていきます。持っていても利益が減ってしまいますからね。ここまでくるとあとは弾けるだけ。「いままでみたいに儲からないし、資産価値も下がってきた。大損する前に売ってしまえ」と投資家が一斉に資産を手放しはじめたら、いよいよバブル崩壊です。
資産の価格が急落し、高値で買った資産を売りそびれる人や企業が続出。これが借金として残り、土地などを担保に融資していた金融機関も、貸していたお金の回収が困難となり経営危機に。銀行の経営が厳しくなると、企業は融資を受けにくくなるため、業績が悪化する大企業や倒産する中小企業が急増します。その結果、失業率が上がり、物価が持続的に下落するデフレーション(デフレ)、つまり景気の悪い時代が到来するのです。

 

 

 


30年近く前の日本でこのようなことが起きていたんですね。うぅーこわい!! 

 

金融政策で景気をコントロール

 

 

 


次の質問です! 最近よく耳にする「金融緩和」と「金融引き締め」とは何でしょうか?


「金融緩和」とは、経済の好循環を促すために各国の中央銀行(日本の場合は日本銀行)が政策金利を引き下げたり、お金の供給量を増やしたりすることです。
金融緩和が行われると、金融機関の金利が下がり、企業は新規事業や設備投資のための資金を調達しやすく(借りやすく)なります。企業の活動が活発になり、企業の業績が上がると従業員の賃金が増えるので、消費活動や投資が促され、経済の好循環につながると考えられています。
一方、「金融引き締め」も同様にお金の量や金利をコントロールすることですが、こちらは景気の好循環をセーブするための金融政策です。
前述したように、好景気が行き過ぎると物価の急騰や、バブル経済が引き起こされる可能性があります。80年代後半~90年代初頭のバブル景気のときもそうですが、一旦景気が過熱してしまうと崩壊した際の影響が大きくなります。そうならないよう、中央銀行などは金利を上昇させるなどして、景気が過熱しないようにあらかじめブレーキをかけます。
日本では、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の一環として、デフレ脱却を目指し2013年から継続的に金融緩和が行われています。

 

 

 


なるほど。デフレ脱却を目指して金融緩和を進めているんですね。
一方で、「物がちょっとずつ値上がりしているのは感じるけど、給料が上がらないのならデフレのままがいい」という意見もあります。


日本銀行の黒田東彦総裁も言っていますが、デフレを脱却するためには、賃上げが重要となってきます。
このところの物価上昇は、原材料やガソリン、灯油の値上がりなどにともなうコスト増が原因です。コスト増がもたらす物価高は企業の業績を下押しするため、賃金が上がりにくく、消費が抑えられる傾向にあります。本格的なデフレ脱却にはもう少し時間がかかるかもしれません。

 

外国株式には魅力的な企業がたくさん!?

 

 

 


続いての質問は株式について。第2回で株式は証券取引所で買えるという話がありましたが、株式は何株から買えるのでしょうか?


銘柄によって何株から買えるかが決まっており、これを「単位株数(単元株数)」といいます。現在では、日本の市場で売買できる株式の単位株数は100株と1,000株の2種類で、大半の銘柄が100株を採用しています。というのも、全国の証券取引所で、2018年10月までに単位株数を100株に統一する動きが進められているから。また、多くの人が株式投資に参加できるよう、望ましい投資単位の水準を5万~50万円として、その水準になるよう促すなど、わかりやすくより売買がしやすいよう取り組みが進んでいます。

 

 

 


たしかに購入価格が下がれば、もっと気軽に参加できそう!
続いての質問です。東京証券取引所(東証)、米国のニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック(NASDAQ、世界最大の新興企業向け株式市場)などの株式市場において、株価に影響を与える近年の3大因子は何でしょうか?


いつの時代もそうですが、株価に影響を与える要因は、①企業業績、②金融政策、③政治――の3つといえるでしょう。
株式は企業そのものですから、最も株価に影響を与える要因として、当然「企業業績」があげられます。
また、株式市場全体の動きも個別の銘柄に大きな影響を与えます。市場全体が好調なときの方が、市場が不調なときよりも個別の銘柄は値上がりしやすくなります。その市場全体の動きに密接に関わっているのが、「金融政策」と「政治」の動向。効果的な金融政策によって国の経済状況がよくなれば、株式市場も上向きになる可能性が高まります。また、政治、特に外交で問題が発生すれば、貿易摩擦や戦争などのリスクをおそれて、所有している金融資産を売却する投資家が増え、市場にダメージを与えます。
近年、世界経済のグローバル化の進展とともに、とある国で発生した問題が、世界経済全体に波及するケースが増えています。投資先の企業業績はもちろん、世界中の経済・政治に関するニュースをチェックするようにしましょう。

 

 

 


世界経済の話に関連して次の質問です。外国株式投資の魅力とリスクについて教えてください。


外国株式投資の魅力は、何といっても世界で活躍しているさまざまな企業に直接投資できることです。技術力や生産力に優れ、国際市場をけん引するリーディングカンパニーや、刑務所、病院、カジノを経営するユニークな企業など、世界の市場には幅広い投資対象の企業があります。日本にはない成長産業に投資したり、伸びつつある新興国の企業に投資したりすることもできます。日本の市場だけでなく、世界の市場にも目を向けてみることで、世界全体の株価の動きを把握することができると思います。
一方、外国株式ならではのリスクとして、価格変動リスクに加え、為替が変動するリスクやカントリーリスクなどがあります。

 

 

 


外国株式投資もやりがいがありそうですね!

 

仮想通貨のセキュリティ性はかなり強固

 

 

 


仮想通貨にまつわる質問も多く寄せられました。そもそも仮想通貨とはどういったものでしょうか?


第1回でも少し触れましたが、仮想通貨とは「ブロックチェーン」という技術を活用したインターネット上の通貨のこと。ブロックチェーンによって、支払いや取引の記録など、一度書き込んだ電子的な情報を改ざんできなくなりました。そのセキュリティの高さとインターネット上で取引できる利便性から、国境のない通貨として流通が期待されています。

 

 

 


セキュリティ面で安心とのことですが、2018年年初には仮想通貨が流出した事件がありましたよね?


たしかに巨額の資金が流出する事件がありましたが、誤解してほしくないのが、この事件は取引所のセキュリティの問題であり、仮想通貨自体のセキュリティが破られたから発生したのではないということです。ブロックチェーンのシステムの安全性は依然として高く、これまで一度も破られたことがありません。

 

 

 


そうだったんですね!
では、なぜ仮想通貨のレートは動くのでしょうか? 株式のように企業への投資だったら、会社の業績によって価値が変わるのはわかりますが、仮想通貨の場合、実態がないので上下しにくい印象があります。


仮想通貨はマイニング等により通貨によって大体の発行数量が決まっており、基本的には需要と供給でレートが動きます。近年のレートの乱高下は、投資家が利益を求めるあまり、売買を繰り返したことが原因といえるでしょう。

 

 

 


今後、仮想通貨が当たり前の世の中になる可能性はあるのでしょうか?


世の中にどの程度普及していくか、現段階ではっきりとはわかりません。というのも、多くの人が仮想通貨を通貨としてではなく、投資の対象としてみているからです。通貨として普及していくかどうか、今後も目が離せません。

 

 

 


仮想通貨の展望に要注目ですね! 今回もありがとうございました!

 

 

みずほ証券 投資情報部 副部長
チーフFXストラテジスト
鈴木健吾(すずき・けんご)
【保有資格】
日本証券アナリスト協会 検定会員(CMA)
日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト(CMTA)
公認金融監査人(CFSA)
ファイナンシャルプランナー(AFP)
経営学修士
【略歴】
証券会社や銀行で外貨の資金繰りや送受金、デリバティブの組成や管理などさまざまな為替関連業務に従事。特に為替ディーラーとして10年近い経験を持つ。2012年より現職。
【メディア出演(TV&新聞)】
東京MXテレビ(地デジ092ch)「ストックボイス」(隔週火曜日)、日経CNBC(スカパー251ch)「前場NOW」(隔週木曜日)、TV東京(地デジ7ch)「モーニングビジネスサテライト」、BS-JAPAN「モーニングプラス」、CS-TBS「ニュースバード」などへの出演のほか、各種新聞やロイター、ブルームバーグ、クイックなどへのコメント多数。

 

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