みずほ証券 公式チャンネル 3月のマーケット動向は?
Home / お金のコラム / 脳科学者中野信子が語る! 第1回 お金と脳の関係(前編)

脳科学者中野信子が語る! 第1回 お金と脳の関係(前編)

世の中には、お金を稼ぐのが上手な人と、そうではない人。節約してお金を貯めるのがうまい人と、浪費しがちで貯めるのが苦手な人がいます。最新の脳科学研究の結果から、そのような人の脳には特徴があるとわかってきました。気鋭の脳科学者・中野信子先生に脳とお金の関係について教えていただくシリーズの第1回は、「お金持ち脳」についてご紹介します。前編では、金持ち脳の特徴についてうかがいました。

お金持ちになるプロセスは、脳の働きによって変わる

──「お金持ちになりたい」という欲求は、多かれ少なかれ誰もがあると思います。「お金持ちになれる脳」といった傾向を、脳科学の観点から説明することはできるのでしょうか。

中野:お金持ちには、大まかに分けて「積極型のお金持ち」と「消極型のお金持ち」がいます。最新の脳科学研究では、こうしたお金に対する「積極型」と「消極型」の違いは、脳の働きによることがわかってきました。

「積極型」の人は、脳の前頭前皮質が発達しているという特徴があります。前頭前皮質は、計画を立てて実行する、アイデアを生み出す、コミュニケーションするといった、脳の司令塔的な役割を果たす部位です。リスクが大きい勝負にも果敢に挑戦していく強さがあるので、ときには失敗もする。それでも果敢にチャレンジを続けることで、成功をつかみとる「攻め」のスタイルでお金持ちになっていくタイプです。

一方で、「消極型」の人が発達しているのが、脳の前帯状皮質です。この部位は、過去に起こった不快な経験を記憶し、将来の行動を決定する役割を果たしています。そのため、チャンスを目の前にしても「石橋を叩くだけで渡れない」こともあるのですが、まじめに働いて貯蓄に励み、節約を心がけ、確かな情報をもとに資産運用をするといった「守り」の姿勢で、資産を増やしていくことができるでしょう。

男性ホルモンの分泌量が多い人ほど、大勝負に出る

──脳内物質ともいわれる神経伝達物質とも、関係があるのでしょうか。

中野:例えば、セロトニンという脳内物質の分泌が少ない人は不安を感じやすく、貯蓄など将来に備えた準備に励む傾向があります。しかし、セロトニンを分解する酵素・MAOAが活性化しにくく、脳内に多くのセロトニンが残ってしまう人は逆に不安を感じにくく、浪費しがちで貯蓄が苦手だといわれます。

一方で、脳に興奮的な作用をもたらすドーパミンが分泌されやすい人は、ハイリスク・ハイリターンの勝負を好む傾向があります。さらに、脳内でドーパミンの感受性が高い人は「新奇探索性」といって、新しいものに対する好奇心が旺盛で、刺激を求めます。一歩間違うとギャンブラー体質といえそうですが、この傾向をうまく生かせば、ビジネスや投資で大勝負に出ることができるでしょう。

また、ロンドンの金融街シティで働く人の唾液を調べたところ、朝にテストステロンという男性ホルモンの濃度が高かった人は、「その日の投資の成績が良かった」という調査結果があります。テストステロンは脳内でドーパミンの生成や分泌を促し、目標に向かって突き進む行動力を生み出す原動力となったと考えられます。テストステロンは女性でも濃度が高い人はいますし、筋トレをすると分泌量が増えるという研究もあります。

ある面白い実験では、両手を大きく広げたり胸をそらせるなど「強そうなイメージのポーズ」をとると、テストステロンの濃度が高くなったそうなのです。思い切った勝負に出るときや、ストレスのかかる場面に挑むときは、「自分は大丈夫」という自己暗示が実は効果的かもしれません。

後編では、脳の特徴とそれに合わせた「お金持ち脳」への育て方をご紹介します。

(プロフィール)
中野信子氏
脳科学者・医学博士

1975年生まれ。東日本国際大学特任教授、横浜市立大学客員准教授。東京大学工学部卒業後、2004年東京大学大学院医学系研究科医科学専攻修士課程修了、2008年東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程終了。2008~2010年まで、フランス原子力庁サクレー研究所で研究員として勤務。『東大卒の女性脳科学者が、金持ち脳のなり方、全部教えます』(経済界)、『脳科学者からみた「祈り」』(潮出版)、『世界で通用する人がいつもやっていること』(アスコム)、『サイコパス』(文藝春秋)、『ヒトはいじめをやめられない』(小学館)など著書多数。 

日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
山田真理

日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(https://consult.nikkeibp.co.jp/financial-contents-lab/)は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

【おすすめ記事】
都銀、地銀、信金、信組……違いを説明できますか?
お金について詳しくなる「資格」3選
厳しい人口減少時代に突入へ……これからの日本経済はどうなる?
かかった後でも入れる? 「がん保険」が注目されている
教えてFPさん!将来に備えてお金を貯めるコツは家計の仕組み化?