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フィンテック クラウドファンディングの仕組み・代表的なサービス

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(写真=PIXTA)

 クラウドファンディング(Crowdfunding)は、群衆「crowd」と資金調達「funding」を組み合わせた造語です。新しい商品やサービスを生み出す資金を調達するため、インターネット経由でたくさんの投資家から少額ずつ資金を集める活動を指します。

盛り上がりの背景

 クラウドファンディングのもととなる考えは、実は古くから存在しています。例えば、昔お寺の修繕をする際に庶民から少額の寄付を集め、修繕が終わると寄付をした人の名前がお寺に記されるといったこともあったようです。

 近年盛り上がりを見せているのは、インターネットを使うことで、誰でも低コストで世界中の投資家から資金を調達できるようになったためです。日本においては、2011年に東日本大震災が発生した際に、被災地支援事業の資金調達にクラウドファンディングが利用されたことで注目が高まりました。

クラウドファンディングの仕組み

 「こんなものを作りたい」「こんなサービスを提供したい」というアイデアはあるものの、資金がないという起案者が、その商品への想い、仕様、必要な資金額、出資に対する報酬などをまとめ、クラウドファンディングサービスを提供するウェブサイトに掲載します。

 このプロジェクトに賛同した人(支援者)がサイト上で出資し、その出資額の合計が目標金額に達すると、プロジェクトは成立します。起案者は実際にプロジェクトを進められることになり、支援者は提示されていた報酬を受け取ることができるという仕組みです。

 その際、起案者はクラウドファンディングサービスの提供サイトに対し、集まった金額の10~20%を手数料として支払うというサービスが多いようです。

クラウドファンディングの3つの種類

 同じクラウドファンディングでも、その起案から成立に至る形式にはいろいろなタイプがあります。そのなかで支援者が受け取る報酬のタイプには、大きく分けて「寄付型」「投資型」「購入型」の3種類があります。

 「寄付型」では、支援者は報酬を受け取りません。被災地支援などのチャリティ関係のプロジェクトに多く用いられます。

 出資に対する経済的な報酬があるのが「投資型」です。その経済的報酬にもいくつか種類があり、配当や利子などの金銭で受け取るタイプのほか、近年では出資した未上場会社から株式を受け取るようなものもあります。

 最後に、日本で一般的なのが「購入型」です。プロジェクトの支援者は、金銭以外のモノやサービスを見返りに受け取ります。実質的には、支援者は代金を先払いしてモノやサービスを購入している形になることが多いです。

代表的なクラウドファンディングサービス

 世界的なクラウドファンディングのサービスとして有名なのは、アメリカの「Kickstarter」と「Indiegogo」です。「Kickstarter」の公式サイトによると、2009年のサービス開始以来、1,100万人の支援者が総額25億ドル以上を出資し、11万件以上のプロジェクトが資金集めに成功しました(2016年8月16日時点)。

 「Indiegogo」でも、2008年の設立から2016年8月までの間に9億5,000万ドル以上がさまざまなプロジェクトに投資されています。例えば、「Flow Hive」という商品が1,200万ドル以上を集めたことが話題になりました。この商品は、蜂の巣を開けることなくノズルをひねるだけで蜂蜜を直接採取できるという、養蜂家にとって夢のような商品でした。

 日本国内では、2011年に開始した「READYFOR」というサービスが有名です。「学校を作る」など、社会性の強いプロジェクトが多いのが特徴です。また、同じく国内の「CAMPFIRE」というサービスは、堀江貴文氏をはじめ、有名人発信のプロジェクトが多いのが特徴で、比較的若い層に利用されています。

 クラウドファンディングのサービスを提供する主体は日本国内だけでも100を超えているといわれ、注目は日々高まっているといえそうです。

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