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不動産王 ドナルド・トランプの軌跡

弟ロバートとタッグ組む 〜カジノ産業にも参入「アトランティックシティ」

 1980年代を通して、トランプタワーの建設と並行して参入したのがカジノ産業です。カジノが合法になったニュージャージー州にあるアトランティックシティの一部を買収します。弟ロバートを現地に送り、カジノ資金が管理できるようギャンブルのライセンスを取得させました。

 アトランティックシティにあるホリデイ・インがトランプ氏にパートナーシップを申し出、敷地内に宿泊施設を建設するも、後にホリデイ・インを総合買収し「トランプ・プラザ・ホテル・アンド・カジノ」と改名しました。

 同時期にアトランティックシティにあるヒルトンも買収してカジノ施設に再建、「トランプ・キャッスル(トランプの城)」としてスタートさせています。他にも、カジノ施設では世界一の規模を誇る「タージ・マハール」の買収にも成功しています。

 この他、セントラルパークに面した「バルビゾン・プラザ・ホテル(Barbizon Plaza Hotel)」を買収し、敷地内にコンドミニアムのある「トランプ・パーク」を造りました。またマンハッタン西部に建設した総合施設「テレビジョン・シティ」や、シカゴにある「トランプ・インターナショナル・ホテル・アンド・タワー」なども有名です。

新事業で巨額の借金、ホテルやカジノ倒産も経験

 こう聞くと順風満帆のようですが、巨額の債務に苦しんだ時期もありました。

 1980年代後半にはカジノ事業に加えて、イースタン航空のシャトル便路線を買収し、「トランプ・シャトル」なる航空会社を起こしましたが、巨額の借金を抱えることになりました。続けてカジノやホテルも倒産に追い込まれました。

 この頃、借金返済などで総資産が急激に落ち込んでしまったと報道されています。この背景には1990年に米国が景気後退に見舞われたことがありました。

 そこはさすがに傑物です。1995年には個人で抱えていた債務を帳消しにする契約を複数の銀行と結びました。そして1990年台後半の好景気を追い風に、ラスベガスやアトランティックシティなどで次々とカジノやホテルをオープンさせ、再び不動産王として華々しく返り咲きました。

 カジノ・ホテル事業はトランプ氏の代表的な事業ですが、カジノ・ホテル事業の運営会社は、これまでに4度、連邦倒産法第11章の適用を申請しています。

 アトランティックシティのカジノ、「トランプ・タージマハール」は創業後すぐに負債を抱えることになり、2004年にもその他のカジノ・ホテル事業も破産の憂き目を見ています。サブプライム問題発生以降の2009年、2014年にも同法の適用申請をしており(現在トランプ氏の会社が直接所有しているわけではなく、持ち分は少ないようです)、決して順調だったわけではありません。

 しかしトランプ氏は何度でも蘇ってきたのです。

 選挙戦で破天荒な言動を見せているトランプ氏ですが、若い世代のハートに響いているのでしょうか。特に若者から厚い支持を受けているようです。不動産王・実業家としてのしたたかな生き方と経験を、国のリーダーとして力を発揮することになるのでしょうか。今後の大統領候補の討論会が気になるところです。

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