お金の基本 – お金のキャンパス 金融や経済のことをもっとわかりやすく Thu, 22 Apr 2021 07:20:45 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.8 人生100年時代、必要な保険、不要な保険を見極める (後編) archives/5944 Mon, 05 Nov 2018 01:00:45 +0000 ?p=5944
(写真=iStock by Getty Images)

人生100年時代に備えた保険の見極め。前編では、ファイナンシャルプランナーの清水香さんに、「ヒト」のリスクに対しての公的制度による保障についてお聞きしました。後編では、引き続き清水さんに、公的制度だけでは備えることが難しい、「モノ」のリスクに対する保険について教えていただきます。

モノのリスクへの公的な補償は限定的

前編でお話しした通り、「ヒト」のリスクに対しては公的制度により一定の保障が確保されています。一方、住まいなど「モノ」のリスクに対しては、公的制度による補償は限定的です。「例えば、地震や風水害などの自然災害により住まいを失っても、公的な補償は『被災者生活再建支援制度』による最大300万円(※1)の支援金のみです。住まいは私有財産なので、国は税金で補償する立場をとっていません。民間の保険による備えがなければ、家計が破綻するおそれがあります」(清水さん)。

※1 住宅が「全壊」した世帯(「住宅の被害程度に応じて支給する支援金(基礎支援金)」の支給額100万円)で、住宅を建設・購入する世帯(「住宅の再建方法に応じて支給する支援金(加算支援金)」の支給額200万円)の場合。

30代、40代は持ち家率が高くなるだけに、住まいの購入とともに万全な備えをしておきたいものです。「特に住宅ローンを組んで間もなく被災した場合、保険による備えがないと、住宅ローンが残るうえに新しい住まいの費用も必要になり、二重の住居費がのしかかってくることになります。これこそ保険で備えるべき経済的リスクです」。

風水害には火災保険、地震には地震保険で備える

「風水害には損害保険会社で取り扱う火災保険で備えられます」。下図の通り、火災保険は複数の補償を束ねたパッケージ型が主流です。火災保険では風水害のことを水災、風災と呼びますが、シンプルなタイプだと水災補償がない場合があります。「住まいがマンションの高層階で水害の恐れがまったくないなら不要ですが、それ以外の場合は水災補償があるタイプを選びましょう。現状、加入している火災保険が水災補償が対象外の場合には、あるタイプに加入し直すことをお勧めします」。ただし、補償内容が手厚くなるほど保険料が高くなるので、下図の「手厚いタイプ」あたりを基準に選ぶといいでしょう。

地震には地震保険で備えます。「地震保険は必ず火災保険にセットで加入する決まりになっています。地震保険は国と損害保険会社が共同で運営しているため、補償内容はどこも同じです。補償額は火災保険の50%が上限になります。火災保険の補償額が2000万円なら、地震保険の補償額は1000万円までです。建て替え費用には不足しますが、一定のまとまったお金が受け取れるので、いざというときには心強いと思います」。

図表2 火災保険のタイプは?

持ち家の場合、火災保険と地震保険は建物と家財の両方に掛けましょう。「賃貸住まいの場合には建物の保険は不要ですが、自然災害により家財が被害を受けるおそれがあります。家財に火災保険と地震保険を掛けておくことをお勧めします」。なお、上述の通り、住まいがマンションの高層階で水害のおそれがない場合には、水災の補償は不要なので、外したプランに加入してもいいでしょう。

優先順位トップの「個人賠償責任保険」

もう一つ、滅多に起こらないけれど起こると家計が破綻するリスクとなるのが、日常生活のなかで他人を死傷させたり、他人のモノに損害を与えて、法律上の賠償責任が問われた場合です。「自転車事故でも億レベルの賠償請求の事例があります。こうしたリスクへの備えとなるのが『個人賠償責任保険』。数ある民間の保険のなかでも、加入すべき保険として優先順位のトップとなります」。

ただし、個人賠償責任保険は単体では加入できません。「個人賠償責任保険の保険料は年間で1000~2000円程度と非常に安いので、火災保険や自動車保険とセットにされていたり、クレジットカードに付帯していたりします。補償額が無制限で、示談交渉付きが安心です」。

賃貸住宅の場合、少額短期保険(※2)の火災保険(家財)を勧められるケースが多いのですが、「少額短期保険は補償額が最大で1000万円までのため、セットされている個人賠償責任保険の補償額も1000万円が上限で、示談交渉も付いていません。いざというときに役立たないおそれがあるので、しっかりした個人賠償責任保険が付帯した火災保険を自分で選んで加入したほうがいいでしょう」。

※2 少額(1000万円以内)で短期(1年以内)の保険を引き受ける少額短期保険業者が取り扱う保険のこと。

【コラム1】「保障」と「補償」、どう違う?

保険の話のなかによく出てくるのが「ホショウ」という言葉です。民間の保険でいうと、生命保険の分野で「保障」を使い、損害保険の分野で「補償」を使います。保障とは、所定の要件を満たした場合に、契約通りの額の保険金(給付金)を支払いますという約束です。死亡保険金3000万円の保険に加入すれば死亡時に3000万円が受け取れます。一方、「補償」とは契約した保険金額を上限に、実際に損害を被った額を保険金として支払うという約束です。住まいに2000万円の火災保険をかけていた場合、全損であれば2000万円の保険金が支払われますが、損害の程度が30%なら保険金額も30%の600万円となります。

【コラム2】保険ショップを上手に活用するには?

ショッピングセンターや商店街などで必ずといっていいほど見かける保険ショップ。複数の保険会社の商品を取り扱い、無料相談を行っていることから、公平な目でお客にぴったりの保険を選んでくれるところだと期待していないでしょうか。「実態は保険の代理店で、その人に一番向く保険商品を提供しなければいけないという義務もありません。漠然と相談に行くと、手数料が高いなど保険ショップにとって都合のいい商品を勧められかねないので注意です」。

上手に利用するには、自分に必要な保険商品の種類を考えてから出向くこと。「それに該当する商品にはどんなものがあるのか、情報収集の手段としてなら利用価値があります。その際もいきなり契約をするのは避けましょう」。

日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
ライター 萬 真知子

日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(https://consult.nikkeibp.co.jp/financial-contents-lab/)は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。
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人生100年時代、必要な保険、不要な保険を見極める (前編) archives/5878 Fri, 28 Sep 2018 01:00:53 +0000 ?p=5878
(写真=iStock by Getty Images)

社会人なら、生命保険などの民間の保険に加入するのが当然と思っていませんか? 今やそれは過去の常識。不要な保険に費やすお金があるなら、貯蓄や投資に回したほうが、よほど人生100年時代への備えになります。必要な保険と不要な保険を見極め、保険にかけるコストをできるだけ抑える方法を、ファイナンシャルプランナーの清水香さんにお聞きします。

保険の原点に立ち返り自分に必要な備えを考える

「人生100年時代とは、100年分のお金が必要な時代ということ。そのための資産形成の妨げになるような無駄な支出は、できるだけ抑えたいものです」と清水さん。なかでも無駄の温床になりがちなのが生命保険などの民間の保険だといいます。

「今の30代、40代の親世代に当たる60~70代の人たちが現役だった頃には、保険の運用利率が高かったため、保険で資産形成もできた時代でした。成功体験から親世代は子世代に『保険はお得だから』と勧めたがる傾向にありますが、諸々の環境が様変わりした今、それは過去の常識。保険とのつきあい方を人生100年時代にあった方法に更新する必要があります」。

では、どのようにつきあえばいいのでしょうか。「まずは、保険の原点に立ち戻ることです。そもそも保険の役割とは、生計維持者が死亡した場合などの“家計が破綻するほどの大きな経済的リスク”に対する備えです」。保険料はそのために支払うコスト。あれもこれも不安だからと、貯蓄でもカバーできるような事態にまで保険で備えてしまうのは本末転倒。コストがかさんで家計の健全性が奪われ、人生100年時代に必要な貯蓄や投資の妨げになりかねません。「大切なのは、自分やわが家にとって本当に保険で対処すべきリスクかどうかを判断することです」。「この保険に入るとお得」などという損得勘定からも離れたほうが判断を誤らない、と清水さんはアドバイスします。

公的制度により一定の医療保障や死亡保障を確保

「民間の保険を検討する前に、公的制度による保障について把握しておくことも重要です。医療保障や死亡保障など、私たちの身体、つまり『ヒト』のリスクをカバーする保障は、民間の生命保険などに頼らずとも、公的制度によりある程度確保されていることがわかります」。

公的制度による保障というのは、会社員の場合、健康保険(健康保険組合や協会けんぽなど)や厚生年金などによる保障のこと。「給与明細を見ると確認できますが、これらの保険料として月収の15%程度(加入健保により異なる)が徴収されています。月収40万円なら月6万円程度の保険料を支払っていることになります」。

健康保険で押さえておきたい保障は「高額療養費制度」と「傷病手当金」です。「高額療養費制度は、健康保険の対象となる医療費の1ヵ月の自己負担が、年収などにより定められた一定の上限額を超えた場合に、超過分が『高額療養費』として払い戻される制度です。病気やけがにより高額な医療費がかかったとしても、自己負担には歯止めがかけられているのです」。例えば、1ヵ月に100万円の医療費がかかった場合、自己負担額はその3割の30万円となりますが、高額療養費制度により自己負担額は8万7430円で済みます(年収約370万~約770万円の場合)。

傷病手当金は病気やけがによる療養により、働けなくなった場合の保障です。「4日以上連続して欠勤状態(給与が出ないこと)になると、給与の3分の2の額が最長1年6ヵ月支給されます」。

厚生年金に関して、「老齢年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)」については皆さんご存じでしょうが、ほかにも保障があることを知っておきましょう。生計維持者が死亡した場合の「遺族年金(遺族基礎年金+遺族厚生年金)」と、国が定める障がい者になった場合の「障害年金(障害基礎年金+障害厚生年金)」です。

「遺族基礎年金については、妻子が残され、かつ子どもが18歳以下(※1)の場合に出ます(※2)。子どもが1人の場合の年金額は100万3600円、子どもが2人の場合は122万7900円となります(2018年度の金額)。子どもがいない妻が残された場合には、夫の生前の給与収入などに応じた遺族厚生年金のみ出ますが、夫の死亡時に妻が30歳未満だと5年間しか出ないので注意しましょう」

※1 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子ども(=高校を卒業するまでの子ども)と、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子ども。
※2 子どものみ残された場合も出る。子ども1人の場合の年金額は77万9300円、子ども2人の場合は100万3600円(2018年度の金額)。

勤務先により保障が手厚くなることも

勤務先の制度も確認しましょう。「健康保険組合のなかには、高額療養費や傷病手当金の上乗せとして付加給付を支給するところもあり、保障がさらに手厚くなる場合があります」。高額療養費の付加給付によって医療費の自己負担が月に2万円までに抑えられるケースもあり、こうなると民間の医療保険などはまず不要だと考えられます。

死亡保障については福利厚生制度により、死亡退職金や弔慰金などが出る場合もあります。「公的保障と勤務先の保障を合算しても、まだ不足する分を民間の生命保険などで確保するという手順になります」。

下図は経済的リスクに対応する公的制度による保障と勤務先の保障、民間の保険をまとめたものです。民間の保険で確保すべき保障を検討する際の参考にしてください。「シングルだったり、結婚していても共働きで子どもがいなかったりすると、死亡しても経済的に困る人がいない場合がほとんどでしょうから、民間の生命保険などは不要なケースが多いと思います」。

図表1 30代、40代が押さえておきたい「ヒト」のリスクに対応する公的保障、勤務先の保障、民間の保険

死亡保障はグループ保険やネット生保の活用も検討

『ヒト』に関して、公的制度による保障と勤務先の保障を足してもカバーしきれない経済的リスクがあるとすれば、子育て中に生計維持者が死亡した場合ぐらいでしょう。「できるだけ低コストで死亡保障を得るには、勤務先の『グループ保険』を利用するのがお勧めです」。

グループ保険とはその会社にカスタマイズした団体扱いの生命保険や医療保険などのこと。「勤務先で取り扱いがあれば、総務や経理など福利厚生の担当部署で年1回募集しているはずです。子どもが成人するまでなど保障が必要な期間の分を確保しましょう」。勤務先でグループ保険を取り扱っていない場合には、ネット生保などの低コストな生命保険を利用するのもいいでしょう。

日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
ライター 萬 真知子

日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(https://consult.nikkeibp.co.jp/financial-contents-lab/)は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

 

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おひとりさま女子必見!シミュレーションツールで老後資産のふやし方をチェックしよう archives/5662 Wed, 22 Aug 2018 01:00:26 +0000 ?p=5662
(写真=PIXTA)

Aさんは、35歳の独身女性。仕事に熱中しているうちに友人たちは次々に結婚していき、気づいたら独身の友人はほとんどいなくなっていました。このままだと将来は「おひとりさま」の可能性もありそうだと考えると、急にお金の心配がでてきました。現在、年収は約600万円あるので生活に不自由することはありません。

しかし、「今後も結婚しないかも……」と考えると、住居はどうするのか、老後資金はどのくらい必要になるのか、どうやってお金を貯めたらいいのか、といった不安もでてきました。

近年、生涯独身でいる人、いわゆる「おひとりさま」の割合は年々増えつつあり、国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集2017」によると、2015年の生涯未婚率は男性が23.37%、女性は14.06%だということです。Aさんも今後結婚する可能性はもちろんあるのですが、「おひとりさま」でいる場合に備えてどのように老後資金を貯めればよいのか、シミュレーションツールを使ってイメージしてみましょう。

おひとりさまの老後の生活費はいくらくらい?

(写真=PIXTA)

まずは、「おひとりさま」の老後の生活費の具体的な金額として、総務省の「家計調査報告(家計収支編)(2017年)」の高齢単身無職世帯(60歳以上)の毎月の家計収支を見てみましょう。すると、収入は約11.4万円(そのうち年金等は約10.7万)、支出は約15.5万円(そのうち消費支出が約14.2万円)、毎月約4.1万円は、貯蓄等を取り崩して生活していることになります。おひとりさまでも老後資金の準備は必要だといえるでしょう。

ただ、これは調査時に単身である高齢者の数値ですので、もともと独身だった人だけでなく、以前は結婚していたのに配偶者が先に亡くなるなどの理由で独身になった人も含まれています。また、住居費を見ると1.5万円ですので、持ち家の方の割合が多い結果だと推測できます。つまり、さまざまなケースの方を平均した結果ですので参考程度にとどめ、自分の場合はどうなるのか、個々のケースで算出することが必要です。

(出典:総務省家計調査報告(家計収支編)(2017年))

おひとりさま女子は住宅資金をどう考える?

(写真=PIXTA)

Aさんの場合、現在は家賃10万円の賃貸住まいですが、5年後にコンパクトマンションを購入することも考えています。ただ、本当にマンションが必要なのかどうかがわからず迷っているようです。

住居費は、生活費のなかでも大きな割合を占めるものの1つです。今後も独身で過ごすとして、ずっと賃貸に住むのか、あるいはマンションを購入するのかは難しいところです。お住まいの地域の家賃相場や住宅価格を考慮しつつ、マンション購入後の固定資産税や修繕積立金、管理費などの新たに発生する費用も無理なく払えるのかも含め、決めると良いでしょう。

今は決断できなくても、あとで「お金を貯めておけば良かった」と後悔するより、早めに目標金額を決めて、資金を準備し始めたほうが良いでしょう。5年後にマンションを購入するかどうかは、お金を貯めながら決めても良いのです。

結果的にマンションを購入せず賃貸に住み続けたとしても、貯まったお金の使い道はいくらでもあります。例えば、高齢になってからは高齢者向け住宅に住み替えるかもしれませんので、その際の資金にすることもできますし、資産運用に回して老後の生活資金にすることもできます。

マンション購入の頭金として、あと300万円を5年で貯めたいという場合、お金が必要となる時期が近いので、確実に貯めるようにしましょう。つまり、元本割れしない預貯金で貯めるということです。利息はほとんどつきませんが毎月5万円を積み立てると、目標金額の300万円を貯めることができます。

月に5万円が厳しいなら、月3万、年2回のボーナス月に12万ずつという貯め方でも構いません。会社に住宅財形があれば利用しても良いですし、なければ積み立て貯金をすると良いでしょう。給与振込口座から自動で積み立てるように設定すれば、手間がかからず確実に貯めることができます。

おひとりさまでも大丈夫!効率の良い老後資金の貯め方は?

(写真=PIXTA)

もう1つのAさん悩みは老後資金です。公的年金だけでは老後生活が不安なので、別途老後資金を準備したいと漠然と考えてはいるものの、老後資金が実際に必要になるのは30年も先になります。このような場合は、元本確保型の商品だけでなく投資信託などのリスク型商品も併用すると効率良く準備できます。投資の経験がない方は、「リスクがある」といわれると尻込みしてしまうかもしれません。しかし、すべての資産を預貯金で持っていたら安心なのでしょうか。

一般的に、預貯金はインフレリスクに弱いといわれています。経済状況が急にインフレ状態になってしまったら、現金資産の価値は下がり、保有資産が目減りしてしまいます。現金だけでなく株や債券などに資産を「分散」すること、理想を言えば、さらに「円」だけでなく、「ドル」や「ユーロ」など通貨も分散することが資産形成のうえでのリスク分散として有効だといわれています。投資信託という商品には、あらかじめ資産を分散投資できる商品もありますので活用しても良いでしょう。

また、短期でリターンを得ようとするとリスクは大きくなりますが、老後資金を「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などのつみたて投資制度で準備すれば、投資期間も長く、投資のタイミングも分散することになりますので、さらにリスクを減らすことができるでしょう。投資利益も非課税ですので、実際に受け取るリターンも通常の証券口座などで運用するより大きくなります。

お金のふえ方をシミュレーションしてみよう

では、老後に備えてどのくらい投資をしたら良いのか、また投資でどのくらい増やす必要があるのかを考えてみましょう。みずほ証券のサイトでつみたて投資を体験できますので、自分のケースに当てはめてみるとイメージがわきます。

>>“体験!”長期分散投資がわかるシミュレーター「つみたて投資」

まずは月々の積立額1万円、積立年数30年でシミュレーションしてみましょう。例として、値動きタイプは日経平均株価を選択、積み立て開始を1988年1月と設定してみます。

すると、積立総額360万円に対して、達成額は約557万円、54.8%も増えることがわかります。ただし、投資開始時期を数年前後させるとまったく違う結果になるのにも注意が必要です。(本シミュレーターは、運用利益に対する税金や運用コスト等を考慮していません)

さらに、値動きタイプを日経平均株価ではなく「右肩上がり・下がり」「山型・谷型」「S字型」にして、ゴールの金額を変えてシミュレーションしてみると、結果も変わりますので投資のイメージがわいてくるでしょう。

つみたて投資は、大きく増える可能性もありますが、実際どうなのかわかりにくいものです。しかし、このようなシミュレーションを利用すれば投資のメリットを体験できます。まずは、老後資金の一部でも投資で準備することを検討してみてはいかがでしょうか。

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DINKS夫婦が考える老後資金の準備方法 シミュレーションしてみよう archives/5573 Wed, 08 Aug 2018 01:00:26 +0000 ?p=5573
(写真=PIXTA)

Tさんは、40歳で年収800万円の会社員です。妻も会社員で年収650万円、子どもを生む予定はなく、今後も夫婦二人で暮らしていくつもりだということです。現在の収入は十分あるものの、老後は面倒をみてくれる人もいないので、自分たちだけで生きていかなくていけないと考えています。

ただ、老後も今まで通りアクティブに生活したいと思っていて、リタイア後は年に3回は旅行に行き、そのうちの1回は海外旅行したいというのが希望です。しかし、老後にそんな余裕があるのかわかりません。そろそろ老後資金を貯める時期だとは思っているものの、子どももいないので老後資金の準備はもう少し先でもいいかな、とも思っています。

今回は、Tさんが希望通りの老後を過ごすため、どのように老後資金を準備したら良いのかシミュレーションツールを使ってイメージしてみましょう。

DINKS夫婦がもらえる公的年金はどのくらい?

厚生労働省の「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)平成28年」によると、夫婦ともに正社員中心で働いた場合、65歳以上で受け取る公的年金額の平均は年額で約372万円となっています。夫が正社員中心、妻がパート中心の場合の平均が約307万円ですので、Tさん夫婦のように共働きで定年まで働いた場合には、公的年金も平均より多くもらえるということになるのでしょう。

自分がもらえる年金額を知りたい場合、日本年金機構の「ねんきんネット」を利用すれば、過去の年金記録だけでなく、将来もらえる年金の見込額もインターネットで確認できますので、利用してみると良いでしょう。毎年届く「ねんきん定期便」にアクセスキーが記載してありますので、期限内でしたら簡単に利用登録できます。アクセスキーがわからない場合でも日本年金機構のホームページから申請すれば利用登録できますので、将来の年金額を把握するのに役立てましょう。

DINKS夫婦の老後の生活費はどれくらい必要?

公的年金だけで老後の生活費が足りない場合は、蓄えを取り崩して生活していくことになりますので、ゆとりある老後を過ごしたいなら、できるだけ多く老後資金を準備しておくことが望ましいでしょう。

生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査(平成28年)」によると、夫婦2人での老後の生活費として最低限必要と考える金額は平均で月22万円、ゆとりある生活に必要となる金額は平均で月34.9万円ということです。また、ゆとりある老後生活でのお金の使い道としては、旅行やレジャーが約6割、身内とのつきあい、趣味や教養、日常生活費の充実がそれぞれ5割前後で続いています(複数回答)。

老後資金をどのくらい準備するのかを考える場合、ポイントになるのは現在の生活レベルです。リタイアしたからといって急に生活費を減らすことは難しいものです。かといって現役時代と同じようなお金の使い方をしていると、あっという間に老後資金の蓄えを使ってしまいます。特に、Tさん夫婦のように子どもがいないので自由に使えるお金が比較的多い場合、生活レベルも自然と高くなっている可能性があります。平均より年金を多くもらえるとはいえ、公的年金だけではゆとりある老後生活は難しいかもしれません。

また、Tさんが老後の楽しみにしている海外旅行を含めて年3回の旅行は、年間100万円程度のお金がかかりそうです。すると、10年間で1,000万円は必要ということになります。このような旅行資金は、別途準備する必要があるでしょう。

また、公益財団法人家計経済研究所の「在宅介護のお金と負担(2016年)」によりますと、在宅介護にかかる費用は月に5万円(全体平均)にもなるということです。夫婦2人での老後生活を考慮すると、介護サービスにかかるお金も確保しておくと安心でしょう。

DINKS夫婦は考える 老後資金はいつから貯めれば良いの?

では、老後資金はいつから準備すれば良いのでしょうか。Tさんは40歳になったばかりなので準備を始めるには早いのでは、と考えているようです。しかし、同じ金額でも積み立てる期間の長短によって貯まる老後資金はかなり違ってきます。みずほ証券のサイトで条件を変えてシミュレーションしてみましょう。

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退職時の65歳までに老後資金として月々3万円、投資信託を購入しながら積み立てることにしましょう。値動きタイプは「山型・谷型」を選択し、ゴール時の商品価格は購入時から1割アップした3万3,000円になっていると仮定します。ただし、投資信託は値下がりする場合もありますので、中間時に1割値下がりして2万7,000円になっているという条件にしてみましょう。

まずは、積立年数が15年の場合です。積立総額540万円に対して達成額は約626万円、15.9%も増えることがわかります。(本シミュレーターは、運用利益に対する税金や運用コスト等を考慮していません)

次に、今すぐ積み立てをはじめるとして、積立年数は25年とした場合です。この場合、増加割合は同じ程度ですが、積立総額が900万円になりますので達成額は約1,044万円にもなることがわかります。これだけあれば、老後の旅行も楽しめそうです。


値動きタイプは、「過去の日経平均株価」「S字型」「右肩上がり・下がり」とさまざまなタイプでシミュレーションできますので、ゴールの金額を変えるなどしてみると、投資のイメージがつかみやすくなります。

余裕があれば「NISA」も活用してみる

毎月3万円の積立金額なら「つみたてNISA」の1年の限度額40万円の範囲内ですので、活用してみてはいかがでしょうか。20年間は運用利益も非課税になります。積立投資は、早く始めたほうが達成額も大きくなることが多いので、Tさんも老後資金の準備はすぐに始めた方が良いでしょう。

ただし、Tさんの場合は65歳までに25年間ありますので、最初の5年間は非課税枠が年間120万円までの「NISA」を活用する方法もあります。すると、毎月10万円を積み立てることができ、より大きな非課税メリットを受けることも可能になります。

現状では、「NISA」は2023年までの制度ですので、運用期間も5年しかありません。ですので、スタート時から1割価格が下がるもののゴール時には元の価格に戻っているという条件でシミュレーションしてみましょう。


すると、積立総額は600万円、達成額は約643万円になり、7.1%も増えることがわかります。夫婦2人の約5年間分の在宅介護費用に充てることができます。「つみたてNISA」と「NISA」は併用することはできませんが、年単位でどちらかを選択することができます。「NISA」をうまく活用すると、より資産を増やすこともできるでしょう。

また、個人型確定拠出年金(iDeCo)は、「つみたてNISA」や「NISA」と併用も可能です。これらの非課税で運用できる制度を利用しながら、早めに老後資産の準備をはじめてみてはいかがでしょうか。

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“フツーの生活”、続けていると“ビンボー老後”!? 会社員と自営業で必要なお金はどれくらい違う? archives/5222 Wed, 20 Jun 2018 01:00:50 +0000 ?p=5222
(写真=tynyuk/Shutterstock.com)

公的年金をあてにしてよいのかわからないため、老後資金が貯められるか心配。子育てが一段落してから老後資金を貯めていくことで間に合うのだろうか。老後資金がいくらぐらい必要で、いつから対策を練っていけばよいかは気になるところではないでしょうか。

そこで、まずは現段階でどのようなことが想定されるか、シミュレーションをもとに確認しましょう。老後資金が心配な40代の方向けに、現実を知り、どのように考えていくべきかを解説します。これにより老後資金の構築への課題や対策方法を知ることができるでしょう。

ライフシミュレーションの使い方について

将来家計のお金がどうなっていくのかを知るには、金融機関のホームページに掲載されているシミュレーターを活用するのが便利です。
ここでは、みずほ証券のホームページに掲載され、誰でも簡単に無料で使える生涯収支シミュレーター「あしたのおかね」を利用してみましょう。
あしたのおかね」では、最初に5つの質問について答えていきます。ご自身の状況やお考えにもっとも近いものを選択することで、モデルケースをもとに確認していきましょう。ここでは事例として、以下のご家庭を想定していきます。

<事例>
夫Cさん43歳(会社員)、妻Dさん41歳、子2人13歳と8歳
① 今後お子さまが増える予定はない
② 今後の生活は一般的な(ふつうの)生活を送りたい
③ 住宅ローンを返済中
④ 現在の金融資産は800万円
⑤ Cさんの手取り年収は450万円、Dさんの手取り年収は100万円
⑥ Cさんの退職金予定額は1,900万円、Dさんの退職金はないものとして考える
⑦ 年金収入は2人で23万円(Aさん16万円、Bさん7万円と仮定)
⑧ 支出累計は当初のシミュレーター通りとし変更しない(高校から私立に入学など)

5つの質問は、以下のとおりです。

(1) 年代を選択する

まずはご自身の年代を選択してください。Cさんの場合、「40代」を選択します。

(2) 結婚しているかどうか

次に、結婚しているかどうかを選択します。「結婚している」「結婚する予定はない」「将来結婚したいと考えている」、この3つから該当するものを選択します。Cさんの場合、「結婚している」を選択します。

(3) 将来の予定を含めたお子さまの人数を選択する

お子さまの人数を選択します。このとき、将来の予定を含めてこうありたいという希望のままに人数を選択していきます。Cさんの場合、今後お子さまが増える予定はないものとして「2名」を選択します。

(4) 将来の生活はどうなりそうか

将来の生活を思い描いたときに、生活が「ゆとりがある」「ふつう」「ひかえめ」のいずれに当てはまりそうかを選択します。Cさんの場合、「ふつう」を選択します。

(5) 現在の住まい状況を確認

最後に、現在のお住まいの状況を確認します。「賃貸」「持ち家でローン返済中」「持ち家でローンなし」の中から選択します。このとき、将来持ち家をお考えでも現状は賃貸であれば「賃貸」を選択します。親と同居している場合には、「持ち家でローンなし」を選択します。

Cさんの場合には住宅ローン返済中ですので、「持ち家でローン返済中」を選択します。

この5つの質問に回答すると、今後想定される概算金額が表示されます。このため、自身の金融資産、手取り年収、支出状況にあうように設定を変更します。

Cさんの場合、シミュレーション結果を確認すると90歳時点で約1,429万円不足するとの結果がでます。もしこのままいくと老後資金が大いに不足する可能性があることがわかります。
人生100年と呼ばれる時代ですから、90歳段階で1,429万円不足することは不安材料となることでしょう。

自営業の方の場合に注意したいこと

Cさんのシミュレーションは会社員を想定しています。もしCさんが自営業者であった場合にはどのようなことが想定できるでしょうか。最も大きな影響が出るのは公的年金の部分です。

仮に20歳から国民年金のみの加入であれば40年間国民年金保険料を支払ったとしても国民年金額は年間で77万9,300円(2018年度)の受け取りにすぎません。もし妻Dさんもパートであれば、お互いに国民年金のみの加入となります。

また、自営業者の場合、ご自身で積み立てを行っていかなければ一般的に退職金はないといえます。こうした違いがその後のライフプランを検証する際に大きな差となってでてきます。

Cさんの場合を自営業者としてシミュレーションしてみると、なんと90歳時点で約6,761万円が不足することに。つまり、自営業者の場合には特に早め早めの老後資金設計をしていく必要があることがわかります。

<事例>
夫Cさん43歳(自営業)、妻Dさん41歳、子2人13歳と8歳
⑨ 今後お子さまが増える予定はない
⑩ 今後の生活は一般的な(ふつうの)生活を送りたい
⑪ 住宅ローンを返済中
⑫ 現在の金融資産は800万円
⑬ Aさんの手取り年収は450万円、Bさんの手取り年収は100万円
⑭ 退職金はないものとして考える
⑮ 年金収入は2人で12万円(Aさん6万円、Bさん6万円と仮定)
⑯ 支出累計は当初のシミュレーター通りとし変更しない(高校から私立に入学など)

会社員・公務員でも、公的年金や退職金が減らされる可能性に備えること

それでは会社員、公務員の方が安心かといえばそうともいえません。シミュレーション結果からも老後資金が不足することがわかりますし、今後、公的年金が減らされる恐れもあります。退職金も必ずしも想定と同様の金額が受け取れるとは限らないでしょう。

そうした事態に備えて、シミュレーションで不足する額以上にお金を準備しておくのがよいでしょう。実際にシミュレーション通りに公的年金や退職金がもらえなかった場合の備えは用意しておき、ゆとりのある老後を目指すのが吉ではないでしょうか。

統計データから老後生活資金を知る

(写真=tynyuk/Shutterstock.com)

それでは、実際に現在の高齢者の方々の生活実態を知り、より具体的な目線で老後資金をどの程度必要ととらえるべきか考えていきましょう。

総務省「家計調査報告(家計収支編)―平成29年(2017年)平均速報結果の概要」によれば、二人以上の世帯のうち無職世帯(平均世帯人員2.41人,世帯主の平均年齢73.7歳)の実収入は1世帯あたり1ヵ月平均20万3,254円です。これに対して消費支出は23万7,619円であり、差額3万4,365円が不足分となっています。この不足分は、退職金やこれまでの貯蓄でまかなう必要があります。

それでは65歳から90歳までにどの程度が不足分に該当するでしょうか。25年間の不足分は、3万4,365円×12ヵ月×25年=1,030万9,500円と計算できます。つまり、1,030万円ほどの資金が65歳段階で確保できていれば90歳までの生活費は確保できる見込みとわかります。

ただし、この金額はあくまでも現段階ですでに公的年金を受給されている方の話になります。今後、公的年金の受け取りが減るおそれがある点なども考慮すると、さらにお金を貯めておくべきです。また、退職後も海外旅行など楽しみたいという方は、ゆとりある老後設計を行っていくべきです。そのため、あくまでも上記金額は参考としてお考えください。

老後資金はいつから貯め始めるのがよいのか

老後資金はいつから貯めるべきでしょうか。それは、早いにこしたことはありませんが、子育てや住宅ローンで大変というケースもあることでしょう。

例えば、他の資金のやりくりで大変という方は、月額1万円は少なくとも積立貯蓄で行うなどの計画をたて、コツコツ貯めていきましょう。そして、ある程度子育てや住宅ローンに目処がついてからは、退職時期まで何年あるかを逆算し貯めることができる分はできるだけ老後資金として確保していきましょう。

時間のある方や資金に余裕のある場合は、預貯金と変動商品をうまく活用し、将来に向けて資産形成を始めるのがよいでしょう。早め早めに始めることで、時間を味方につけることができます。

時間は元には戻らない。だからこそ、まずはシミュレーションによる現状把握を

老後資金計画はできることから一つずつ着実にやっていきましょう。時間は元には戻りません。老後資金が不足する場合には、働くことも一理あります。ただし、皆さんのやりたいこと、過ごしたい生活とかけ離れないようなプラン構築をすべきです。

とはいえ、老後資金構築はできても、目の前の他の資金が不足するといったこともあります。優先順位を決め、いずれの資金も不足しないような資金配分を考えてみましょう。そのためにも、シミュレーションをまずは行い、自分の現在の状態を確認してみるのがよいでしょう。
>>生涯収支シミュレーター「あしたのおかね

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5分でわかるあなたの“生涯収支”。手取り年収400万円家族は将来お金が足りない!? FPがアドバイス! archives/5209 Mon, 18 Jun 2018 01:00:32 +0000 ?p=5209
(写真=tynyuk/Shutterstock.com)

「教育費が今後どのぐらいかかるのか心配。」
「住宅ローンもあるので無理のない返済プランなのか知っておきたい。」
「家族環境が変わり、当初の想定と異なる状況となったため、あらためて状況確認と今後の貯蓄をどう考えればよいか確認したい。」

30代~40代を中心にこうした悩みをお持ちのご家庭も多いのではないでしょうか。その解決の糸口として利用できるのが、「ライフシミュレーション」です。実際にどれくらいのお金がかかるのか、今後想定される状況を把握していきましょう。

5分でわかるあなたの生涯収支!?

将来家計のお金がどうなっていくのかを知るには、金融機関のホームページに掲載されているシミュレーターを活用するのが便利です。
ここでは、みずほ証券のホームページに掲載され、誰でも簡単に無料で使える生涯収支シミュレーター「あしたのおかね」を利用してみます。

モデルの参考例として、以下のような手取り年収400万円の子持ち30代夫婦のご家庭を想定して、生涯収支をシミュレーションしてみました。

<事例>
夫Aさん33歳、妻Bさん30歳、子1人3歳
① 将来、もう一人子どもが欲しいと考えている
② 今後の生活は一般的な(ふつうの)生活を送りたい
③ 持ち家で住宅ローンを返済中
④ 現在の金融資産は600万円
⑤ Aさんの手取り年収は350万円、Bさんの手取り年収は50万円
⑥ Aさんの退職金予定額は1700万円、Bさんの退職金はないものとして考える
⑦ 年金収入は2人で23万円(Aさん16万円、Bさん7万円と仮定)
⑧ 支出累計は当初のシミュレーター通りとし変更しない(高校から私立に入学など)

あしたのおかね」では、最初に5つの質問について答えることにより、まずは大まかな試算を行い、その後、収入や支出などの補正を行うことで、生涯収支をシミュレーションしていくことができます。
それでは、ご自身の状況やお考えにもっとも近いものを選択しながらシミュレーションをやっていきましょう。

5つの質問は、以下のとおりです。

(1)年代を選択する

まずは、ご自身の年代を選択してください。Aさんの場合、「30代」を選択します。

(2)結婚しているかどうか

次に、結婚しているかどうかを選択します。「結婚している」「結婚する予定はない」「将来結婚したいと考えている」、この3つから該当するものを選択します。Aさんの場合、「結婚している」を選択します。

(3)将来の予定を含めたお子さまの人数を選択する

お子さまの人数を選択します。このとき、将来の予定を含めてこうありたいという希望のままに人数を選択していきます。Aさんの場合、「2人」を選択します。

(4)将来の生活はどうなりそうか

将来の生活を思い描いたときに、生活が「ゆとりがある」「ふつう」「ひかえめ」のいずれに当てはまりそうかを選択します。Aさんの場合、「ふつう」を選択します。

(5) 現在の住まい状況を確認

最後に、現在のお住まいの状況を確認します。「賃貸」「持ち家でローン返済中」「持ち家でローンなし」の中から選択します。このとき、将来持ち家をお考えでも現状は賃貸であれば「賃貸」を選択します。
親と同居している場合には、「持ち家でローンなし」を選択します。
Aさんの場合には住宅ローン返済中ですので、「持ち家でローン返済中」を選択します。

この5つの質問に回答すると、今後想定される概算金額が表示されます。

手取り年収・支出などを設定しよう!

ここまでの5つの質問に答えただけのデフォルトの状態では、年代や配偶者の有無、子どもの人数などからあくまでももっとも平均的な、概算のイメージを提示しているにすぎません。このため、皆さんの実際の手取りの年収や支出のパラメータが実情に合っていないかもしれません。ここからは金融資産、手取り年収、支出状況について、皆さんの実態にあうように設定を変更していきましょう。

Aさんの場合、シミュレーション結果を確認すると90歳時点で約2,768万円不足するとの結果がでました。

住宅ローンや教育費はなんとかカバーしていけたとしても、老後資金が不足する可能性が大いにありうるということになります。

教育費や住宅ローンの落とし穴は?

このシミュレーションは、あくまでも各項目ごとの条件設定により結果が異なってきます。例えば、モデルプランでは、高校から私立に入学することを前提に検証してきました。もし、中学から私立に入学する場合など状況が変わった場合には、さらにお金が必要となります。このほか、教育費は上昇傾向にあること、子どもの人数により変わってくることも要確認です。

また、大学の授業料を確認してみても消費者物価と比べて年々高くなる傾向があります。今後も授業料が上昇するのであれば、さらに家計の負担が増える可能性もあります。

住宅ローンに関しても想定外のことが起こりえます。例えば、変動金利で住宅ローンを返済されている場合には、将来金利が上昇することがあった場合に総返済額が当初よりも増加するおそれがあります。

教育費と住宅ローン返済が同時に重なる場合には、さらに要注意です。当初はなんとかなるだろうと思っていたとしても、いざその状況が訪れると家計は火の車になることも。そうした状況にならないように、事前に余裕のある資金計画を立てることが重要です。

シミュレーションからわかること!

Aさんご夫妻の場合、シミュレーションから長い目でみて収入よりも支出の方が多いことがわかりました。あくまでも前提を置いたシミュレーション結果であるため、必ずしもそうなるとは言い切れないものの、今の生活設計のままでは将来厳しい状況が待ち受ける可能性があることがわかりました。
また、自身の希望通りに生活したい場合には、はたしてこのままでよいのかということも確認できました。

シミュレーションでは、どれくらいの支出・収入であれば資金面での不安がなくなりそうかも確認できます。収入や支出等を変更することで、長期的にみて収支に問題が生じないケースはどんな場合か検証してみましょう。

教育費や住宅ローン。今後の対策はどうしたらいい?

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(写真=tynyuk/Shutterstock.com)

もし、シミュレーションにより明らかに今後収支がマイナスとなり、家計が火の車になりそうとわかった方は、どの設定を変えればそうした状況を解決できそうか考えていかなければなりません。

一般的な資金計画における対策方法としては、収入を増やす、支出を減らすの、いずれかもしくは両方にメスを入れていきます。

●「収入を増やす」観点

会社員の方の場合、営業などの歩合給を除くとなかなか難しいかもしれません。以前のように給料も右肩上がりに増える時代とは言い切れなくなっているためです。子どもがある程度大きくなったら奥様の職場復帰を検討するなど、ご家族の希望も重視しながら収入を増やす方法を考えてみましょう。

5年~10年以上など中長期的な観点で今ある貯蓄を増やしたいというご希望の場合には、資産運用も検討されるとよいでしょう。また、なかなかお金が貯まらないという方は強制的に積立貯蓄を実践し積み立てたお金はなかったものとして考えていくのもよいのではないでしょうか。

●「支出を減らす」観点

現在の家計簿や支出状況から無駄な支出がないかどうかを確認してみましょう。日々の買い物はもちろんのこと、毎月支払いのあるようなもので無駄遣いはないかどうかにメスを入れていきます。家族環境が変わることで生命保険の見直しも行っていきましょう。一般的に被服費や保険料、電話料金、飲食費(特に外食)などが見直ししやすい支出です。その際に、無理に支出をカットするとむしろストレスがたまる一方になりかねませんので、できる範囲でコツコツ行っていくことが継続できるポイントになります。

まずはシミュレーションで現実を知ろう

ご自身の現実を知るためにもシミュレーションを行ってみましょう。シミュレーションを通じて最後に簡単なアドバイスを受けることもできます。問題点が何なのか、今できることには何があるのかを考え、心配事を一つ一つ解決していきましょう。何事も早め早めに行動することで対策方法も複数行うことができます。将来慌てずに心配せずに生活できるようにするためにも、シミュレーションを行ってみませんか。

>>生涯収支シミュレーター「あしたのおかね

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はじめてのロボアド!みずほ証券の「あしたのそなえ」をやってみた2 archives/5161 Mon, 11 Jun 2018 01:00:39 +0000 ?p=5161
(写真=PIXTA)

 

ロボアド(ロボアドバイザー)に興味があるものの、まだ始めたことのない人も多いのではないでしょうか。ロボアドを始めてみたいけれど、ロボアドを使うタイミングがわからない、はじめ方がわからない……。そうした疑問にお答えするため、ロボアドのイロハについて解説していきます。

ロボアドはこんな時に使うのがおすすめ

ロボアドはどのような時に利用するのがよいのでしょうか。ロボアドを頼もしいと感じる人は、(1)運用がはじめての場合、(2)あれこれ悩む時間をつくりたくない場合、(3)投資経験はあるがイマイチ運用がうまくいっていない場合、(4)本業に専念したい人――などではないでしょうか。

1.運用がはじめての場合

運用がはじめての人は運用の仕方も、投資金額も、どの程度増やすのがよいのかよくわからないかもしれません。そのため、全部ロボアドにお任せするほうが気軽に投資できるのではないでしょうか。

2.あれこれ悩む時間をつくりたくない場合

あれこれ悩む時間をつくりたくない人は、ロボアドに任せれば悩む時間も減らせます。悩めば悩むほどどうしてよいかわからなくなるというあなたには、ロボアドで向いている資産運用方法を検討してみてもよいかもしれません。ロボアドの診断通りに運用したほうがシンプルで気長に運用できる可能性もあります。

3.投資経験はあるがイマイチ運用がうまくいっていない場合

これまで投資の経験はあるが、イマイチ運用がうまくいっていない。市況が不安定になれば不安になる日も増える。こう感じる方は、ご自身での我流を見直すチャンスかもしれません。ロボアドは機械的に判断できます。

4.本業に専念したい人

本業に専念したい人や仕事で忙しい人はどうでしょうか。お金に働いてもらいたいものの、本業で忙しいからできない。このような人は自動化を進めましょう。本業でしっかりと稼ぎながら、手元の資金をロボアドにより自動運用していく。こうすることで、本業も資産運用も順調となるようなライフプランを構築することができます。

ロボアド、みんながギモンに思うことは?

(写真=PIXTA)

ここで、ロボアドに関して皆さんが疑問に思うことにお答えしていきましょう。

●ギモン1 ロボアドを利用している人はどんな人なの?

若年層の割合は多いものの、20代〜60代・70代まで広い層が利用しています。ロボアドのメリットは、時間を節約できる点です。そのため、資産運用の知識がなくとも運用が開始できるので、さまざまな層の人に活用されています。

●ギモン2 ロボアドを利用するのは難しいのでは?

ロボアドはまったく難しくありません。複数の質問に対して回答するだけで、どのような資産運用が向いているのか、導き出してくれます。

●ギモン3 本当に増える?

答えは市場動向に左右されますので、必ずしも増えるとは限りません。ただ、ロボアドの良いところは、決められた方針にしたがって運用を行いますので、皆さんの考え方とまったく違う運用などは行われません。中長期的な目線からコツコツ資産形成したいと考えるのであれば、市場動向に一喜一憂することなく、長期に運用していくことをおススメします。

●ギモン4 ロボアドはどの程度の資金から運用できるの?

金融機関によってはシミュレーションのみができるロボアドもあります。また、1万円からスタートできるものもあれば、10万円が最低投資金額というところもあります。いずれにせよ、少額からスタートすることが可能です。

●ギモン5 ロボアドではどのような先に投資をするの?

投資先は投資信託やETF(上場投資信託)などが一般的ですが、ロボアドによって異なります。

●ギモン6 ロボアドはすべておまかせなの?

ロボアドで運用する時、おまかせタイプ(投資一任型)と、アドバイスタイプ(運用助言型)に分かれます。ロボアドによってどちらのタイプか異なりますので、よく確認をするのがよいでしょう。

実際に「あしたのそなえ」をやってみた

それでは実際にロボアドをどのように使っていけばよいのか、一つの事例をもとに説明していきます。ここでは、Bさんの例をもとに考えてみたいと思います。

Bさんは
・職業は会社員、年齢は30代で、年収は700万円程度。投資の経験はそこそこあり、老後資金準備のために新たに投資を行おうと考えている。
・老後資金準備のための投資であり、リスク・リターンは中程度でしっかり運用したいと考えている。また、損失がでた場合にはそのまま運用し、特に何もしないタイプ。
・商品の選択や実際の運用は、これまで投資の経験を活かして自分で行いたいと考えている。

それでは診断を開始します。
まずは、「投資タイプ診断をはじめる」をクリックします。


クリックすると、「ご利用にあたってのご留意事項」が掲載されていますので、必ず確認したうえで次の画面へ進みます。

次からは、6つの質問から投資家のみなさんの投資タイプ(投資意向やリスク)を診断します。
Q1では年齢を聞かれます。Bさんは30代ですので、30代を選択します。

Q2.では投資経験について聞かれます。Bさんは投資経験がそこそこあるため、「投資経験はあるが、自分の投資スタイルを探している」をクリックします。


Q3.では現在の年収を聞かれます。Bさんは年収700万円ですので、「500万円~800万円未満」をクリックします。

Q4.では投資目的を聞かれます。Bさんは「老後資金準備」のために運用を考えているため「老後に備えて資産を増やしておきたい」をクリックします。


Q5.では投資方針を聞かれます。Bさんは「リスク・リターンは中程度」と考えているため「リスクもリターンも中くらいの商品」をクリックします。

最後のQ6.では「投資した100万が3ヵ月で70万円になってしまいました。どうしますか?」と聞かれます。Bさんは損失がでた場合にはそのまま運用し、特に何もしないと考えていますので、「このまま運用を続ける」を選択します。


上記6つの質問に回答すると、ご自身のリスクに対する診断が公表されます。事例の場合、「バランスタイプ」と診断され、堅実タイプと積極タイプの中間に位置します。堅実タイプに比べると株式の比率が高くなり、リスクは4%前後となるように設定されます。

そして、リスクに対する考え方にあった分散投資モデルの一例が示されます。Bさんのケースでは、期待できる収益率の目安が6.0%、リターンの統計的な変動幅は4.5%とリターンをとれるように株式を組み込む設計を行いつつも債券の比率を高めることで、バランスよく運用するスタイルが提案されていることがわかります。

あくまで上記の診断結果は仮定の話になりますが、10年後にどの程度になっているか将来予測も示されており、シミュレーションにより100万円投資したらどうなりそうかを把握できます。Bさんのケースでは、10年後に確率95%で136万円~230万円の中で推移すると想定されています。

ここまで目を通したら、なんとなく運用をどう行えばよいかがわかりました。次に、ご自身の投資スタイルを考えていきましょう。「投資スタイルを選択する」をクリックします。クリックすると、以下の3パターンから、ご自身にあう投資スタイルを選択します。Bさんは、商品の選択や実際の運用は、これまで投資の経験を活かして自分で行いたいと考えていますので、「セルフ派」を選択します。


セルフ派をクリックすると、複数ファンドを組み合わせて分散投資を行う提案を受けることになります。国内株式から海外リートまで、おすすめの金融商品が提示されます。仮に投資金額を100万円と入力すると、以下のような提案を受けることになります。こうしてご自身の考え方、資産運用スタイルに合う投資商品を探すことができました。


あとは、この方針に従って運用を行うことで、資産運用を手軽に開始することができます。

いろいろ考えるよりもロボアドを使ったほうが効率的

時間はみな平等に与えられています。どのように使うかで人生は異なってきます。本業に専念したい方、旅行など好きなことに時間を使いたい方、考え方は人それぞれです。時間を有効に使いたい方は、ロボアドに任せたほうが効率的な資産運用が期待できそうです。

いろいろ考えるよりもロボアドを使ったほうが結論がでてすっきりするかもしれません。一度「あしたのそなえ」を利用してみましょう。皆さんにとって最適な資産運用手段を発見できるかもしれません。

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はじめてのロボアド!みずほ証券の「あしたのそなえ」をやってみた1 archives/5116 Fri, 08 Jun 2018 01:00:06 +0000 ?p=5116
(写真=PIXTA)

資産運用はやってみたいけどよくわからない、手間暇かかるから結局やっていない……。そんな皆さんでも気軽に運用できる方法があるのをご存じでしょうか。それは、AI(人工知能)を使った運用方法、ロボアドです。ロボアドを利用することで、自身の考え方をもとに、どのように運用を行っていけば良いのか導いてくれます。いったい、どのように使えばいいのでしょうか?

「ロボアド」って?

ロボアドとは、ロボットアドバイザーの略称で、ロボアドバイザーとも呼ばれます。資産運用のアドバイスをAI(人工知能)がしてくれます。これまで資産運用をしたくてもなかなか手が出せなかった人たちでも、手軽に、気軽に運用を行えるように開発されました。

具体的には、どのような投資を行うべきなのか、投資家のリスクに対する考え方を質問により導き出し、そのリスクに応じた資産運用の提案を行ってくれます。現在ではたくさんの金融機関がこのロボアドを導入し、資産運用の提案をパソコンやスマホひとつで簡単にできるようにしています。

ロボアドには2つのタイプがある!

ロボアドには「投資一任型」のおまかせタイプのものと、「投資助言型」のアドバイスタイプの2種類があります。それぞれのタイプについて簡単に説明しましょう。

●投資一任型のおまかせタイプ

「投資一任型」のおまかせタイプは、要は全部おまかせのロボアドです。簡単なアンケートの答えにあわせて商品別の運用比率などを答えてくれますが、投資を始めることを決めたら、後はおまかせ。お金を入金すると自動的に売買(購入、リバランス)をしてくれます。はじめて投資をする人はおまかせタイプからはじめてもいいかもしれませんね。

●投資助言型(提案型・アドバイス型)のアドバイスタイプ

「投資助言型」のアドバイスタイプはアンケートの答えに合わせて運用比率などを答えてくれるところまではおまかせタイプと同じですが、実際の運用ではロボアドのアドバイスを参考に、投資家の皆さんが運用比率や商品を入れ替える作業を行います。たとえば、ロボアドのアドバイスが国内債券が30%の比率だったとしても、10%に減らしてその分国内株式を20%分増やすなどの運用もできます。フレキシブルに変更できるので、少し運用のことがわかるようになってきた人向きだといえるでしょう。

ロボアドにはどんなメリットがあるの

ロボアドについて概要をお伝えしましたが、具体的にロボアドのメリットとはどのようなものでしょうか。

その1.時間の有効活用ができる

どのように運用を行うべきか考える時間がなかった人でも、自身の考え方に合った運用方法をロボアドが提案してくれるため、一から勉強する必要がなく、時間を有効活用できます。

その2.低コストの資産運用、資産管理が期待できる

金融機関の営業担当者が行ってきた提案を機械、AIが代わりに行うため、結果的に低コストの資産運用、資産管理を実現することが期待できます。

資産運用を行ったことがなかった人や、運用開始後にどう見直せば良いかわからない、という人にはロボアドを使った資産運用は向いているといえます。

(写真=PIXTA)

ロボアドにはどんなデメリットがあるの

一方、ロボアドにはデメリットもあります。メリットを知ったら、次に必ずデメリットも確認しておきましょう。

その1.ロボアドは絶対ではない

ロボアドは投資家の皆さんへのアンケートにもとづいて、投資提案を行ってくれますが、これは絶対ではありません。投資趣向が変われば、それにともなって投資対象なども変化しますし、変動商品は100%利益がでるとは限りません。ロボアドの提案を参考にしながら、自分でも資産運用を行ってみるなど、同時進行で運用することが肝心です。

その2.100%利益がでる仕組みではない

AIを活用して、効率的かつ効果的な運用を目指しているのがロボアドですが、将来を正確に予想することは難しいため、リターンを得ることができない可能性もあります。

その3.ロボアドには管理手数料がかかる

投資一任型のロボアドについては、年間、運用残高の0.5~1.5%程度の管理手数料がかかるものもあります。ご自身が運用を始めるロボアドにはどのくらい手数料がかかるのかを確認しておくのがよいかもしれません。

「あしたのそなえ」でできることとは?

それでは、ロボアドを実際に使ってみましょう!ここでは、みずほ証券の資産運用ロボアドバイザーである「あしたのそなえ」を利用して、どのような仕組みなのかを説明していきます。

あしたのそなえは、2017年12月8日から開始したロボアドサービスで、誰でも利用可能な投資助言型(提案型・アドバイス型)のロボアドバイザーです。スマホからもアクセス可能であり、入力する項目は6つのみ。いつでもどこでも気軽に試すことが可能です。

各質問に対して入力を行うと、診断結果ができます。この診断結果では、5段階のリスク許容度に応じた分散投資モデルの参考例や、投資先資産クラスの配分割合、将来における資産変動範囲シミュレーションなどが表示されます。

また、みずほ証券でとり扱つているETF、インデックスファンド、アクティブファンドなどの金融商品が提示(提案)されますので、それらの金融商品を参考に運用を実際にはじめるきっかけとすることができます。

どのような運用が自身に向いているのか知りたい、とりあえず診断を受けてみたい、実際に運用する方法として参考にしたいなど、あしたのそなえは多くの方々にとって便利なサービスです。一度試してみましよう。

実際に「あしたのそなえ」をやってみた!!

それでは実際にどのように行えばよいのか、一つの事例をもとに説明していきましょう。Aさんの例をもとに考えてみましょう。

Aさんは
・職業は会社員、年齢は30代で、年収は700万円程度。これまで投資の経験はなく、これから投資をはじめたいと考えている
・投資の目的は、住宅費用の準備のためでありリスクはあまり取りたくないが、一定のリターンはほしいと考えている(リスクもリターンも中程度)。また、損失がでた場合にはそのまま運用し、特に何もしないタイプ。
・商品の選択は、はじめての投資であるため、1つのファンドにすべてをまとめて運用したい。

それでは診断を開始します。まずは、みずほ証券のホームページから「あしたのそなえ」をクリックし、「投資タイプ診断をはじめる」をクリックします。

クリックすると、「ご利用にあたってのご留意事項」が掲載されていますので、必ず確認したうえで次の画面へ進みます。

次からは、6つの質問から投資家のみなさんの投資タイプ(投資意向やリスク)を診断します。
Q1では年齢を聞かれます。Aさんは30代ですので、30代を選択します。


Q2では投資経験について聞かれます。Aさんは投資の経験がないため、「投資経験なし、これから投資をはじめたい」をクリックします。

Q3では現在の年収を聞かれます。Aさんは年収700万円ですので、「500万円~800万円未満」をクリックします。

Q4では投資の目的を聞かれます。Aさんは住宅購入資金の準備のためであるため、「住宅資金や教育資金を準備するため」をクリックします。

Q5では投資方針が聞かれます。Aさんは「リスクもリターンも中程度」と考えているため「リスクもリターンも中くらいの商品」をクリックします。

最後のQ6では「投資した100万が3ヵ月で70万円になってしまいました。どうしますか?」と聞かれます。Aさんは損失がでた場合にはそのまま運用し、特に何もしないと考えていますので、「このまま運用を続ける」を選択します。

上記6つの質問に回答すると、自身のリスクに対する診断結果がでてきます。Aさんの場合、「やや堅実タイプ」と診断され、リスク回避を中心としつつもリターンを期待しているため、債券を主力としながら株式も組み入れるスタイルが良いと提案されました。

そして、リスクに対する考え方にあった分散投資モデルの参考例が示されます。Aさんの場合では、期待できる収益率の目安が3.9%、リターンの統計的な変動幅は2.6%と比較的変動を抑えながらリターンをとりにいくスタイルが提案されています。

あくまで上記の診断結果は仮定の話になりますが、10年後にどの程度になっているか将来予測も示されており、シミュレーションにより100万円投資したらどうなりそうかを把握できます。ここまで目を通したら、なんとなく運用をどう行えばよいかがわかりました。

次に、自身の投資スタイルを考えていきましょう。「投資スタイルを選択する」をクリックします。クリックすると、以下の3パターンから、自身にあう投資スタイルを選択します。Aさんの場合では、「お任せ派」を選択します。

お任せ派をクリックすると、1つのファンドで分散投資ができる「みずほラップファンド(堅実型コース)」が提示されました。このファンドを選択することにより、日々いろいろと考えることなしに運用を行ってくれます。こうして自身の考え方、資産運用スタイルにあう投資商品を探すことができました。

いろいろ悩むならまずは「あしたのそなえ」を使ってみよう

このように、ロボアドバイザーを活用することでものの数分で皆さんにあった資産運用スタイルを知ることができます。一から資産運用を勉強している時間のない方、あれやこれやよりも即実践で資産運用を行いたい方は、まずはロボアドバイザー「したのそなえ」を使ってみましょう。老後資産形成などお金の面での不安な要素を取り除いてくれる強い味方となってくれるかもしれません。

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6月施行の民泊法、企業の関連ビジネスの展開を後押しへ archives/5111 Wed, 06 Jun 2018 01:00:46 +0000 ?p=5111
(写真=PIXTA)

民泊を全国で本格的に解禁

6月15日に、一般住宅の空き部屋に旅行者などを有料で泊める民泊を全国で本格的に解禁する「住宅宿泊事業法(民泊法)」が施行されます。従来、合法的に民泊を営むためには、旅館業法に基づく「簡易宿所」として許可を得るか、国家戦略特区の制度を導入した地域(東京都大田区や大阪市など)で認定を受けて行う必要がありました。法施行により、これまで禁止されていたエリアでも営業が行いやすくなる一方、多くを占めるとみられる違法民泊は取り締まりが厳しくなります。法的な手続きをとらずに営業してきたこれら貸し手が民泊をやめる動きが増えるとの見方もあります。

民泊法の概要~営業日数は年間180日まで

民泊法の概要をみると、部屋を貸し出す民泊事業者は都道府県などへの届け出、仲介業者は観光庁への登録、物件の運営管理を代行する管理業者は国土交通省への登録がそれぞれ必要となります。

民泊事業者には、物件の衛生確保や苦情への対応、宿泊者名簿の作成、民泊住宅とわかる標識の掲示などを義務付けるほか、年間営業日数を180日までに制限。近隣とのトラブル防止などの観点から、自治体が民泊法に上乗せする独自の条例を設け、営業日数や地域など、民泊事業の実施を制限することも認めています。また、家主不在型の物件の場合、民泊事業者は衛生確保などの業務を管理業者に委託しなければなりません。

民泊事業者が届け出を怠るなど、法令に違反した場合は、業務停止命令や業務廃止命令を受け、従わない場合は6ヵ月以下の懲役や100万円以下の罰金が科されます。

民泊需要は堅調見込み、東京・大阪の民泊人気高い

海外で普及が先行した民泊サービスですが、日本でも今後の需要拡大が見込まれます。訪日外国人客の増加が続いており(2017年は前年比19.3%増の2,869万人)、2020年には東京五輪が控えます。

また、最近では訪日客だけでなく、日本人の旅行者やビジネス客の利用も広がっているもようです。通常のアパートなどに加えて、古民家といった個性のある物件が増えていることも、民泊の人気を後押しするとみられます。

さらに、日本の主要都市への民泊人気も高い状況です。民泊仲介ビジネスの世界最大手である米エアビーアンドビーが17年12月に公表した18年上半期(1~6月)の同社サイトの民泊予約状況では、世界で最も予約件数が多かったのは東京で、大阪も3位でした(2位がパリ、4位がニューヨーク)。

法施行が企業の民泊関連ビジネスの展開を後押しへ

民泊法では、年間営業日数を180日までに制限しているほか、近隣トラブル防止などの観点から、自治体が民泊法に上乗せする独自の条例を設けることも認めており、こうした規制が貸し手の事業意欲減退につながるとの懸念があります。実際、3月15日から始まっている民泊営業を希望する物件所有者の都道府県などへの届け出は低調が伝えられます。

ただ、法施行によって合法的な民泊が増えれば、企業にとっては仲介や運営管理代行等の関連ビジネスを展開しやすくなるでしょう。実際、国内の民泊仲介ではエアビーアンドビーが先行していますが、民泊法施行を前に最近では日本企業の民泊ビジネスへの参入、取り組みも進展しています。また、コンビニ各社が民泊のチェックイン拠点として自社店舗を活用し、利用者のついで買い需要をねらおうとする動きも出ています。訪日客が増加を続けるなか、民泊は中長期的には成長が期待されており、今後、投資テーマとして注目度を高める可能性があるでしょう。

 

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教えてFPさん!仮想通貨の買い方とは?売却したら税金がかかるの? archives/4608 Fri, 06 Apr 2018 01:00:02 +0000 ?p=4608 scene
(写真=PIXTA)

仮想通貨に興味をもち、購入してみたいもののどこで買ったらよいのかわからない。購入の仕方から実際の売買の仕方を知りたいと思う人もいるのではないでしょうか。そこで、仮想通貨の購入方法や税制について一緒に考えてみましょう。

気になる仮想通貨の購入方法とは

仮想通貨を購入するためにはいくつかのステップがあります。

●ステップ1 仮想通貨取引所の選択

最初に決めるのは、仮想通貨の取引所の選択です。仮想通貨の取引所についてはさまざまな報道が行われていますが、日本国内には金融庁・財務局に登録している仮想通貨交換業者が16業者あります(2018年3月17日現在)。まだ申請中の取引所を含めるとさらに多くの取引所がありますが、選ぶときには仮想通貨交換業者として登録されているかどうかも検討材料のひとつにしてもよいでしょう。

また、仮想通貨の取引所を選ぶにあたり、「手数料」「取引のしやすさ」「チャートの見やすさ」「仮想通貨取引所のセキュリティや管理体制」などの観点も忘れないようにしましょう。

例えば、手数料には、「取引(購入)手数料」「入金手数料」「出金手数料」などがありますが、これらは仮想通貨取引所によって異なります。取引金額によっても手数料が変わるため、相対比較をするのもよいでしょう。

加えて、取引のしやすさやチャートの見やすさは、使い勝手の良さという視点で重要です。取引画面やチャートの見やすさ、スマートフォンでの取引のしやすさを検討するのがよいでしょう。

仮想通貨での取引をするにあたり、大切なことのひとつには取引所のトラブルや信用性があります。大手の資本が入っているかどうか、セキュリティや管理体制はしっかりとしているかどうかも確認しておきましょう。

●ステップ2 口座開設をしよう

仮想通貨の取引所を決めたら、実際に口座開設を行います。口座開設には、本人確認書類の写しやマイナンバーに関する書類が必要になります。あらかじめ準備しておきましょう。口座開設の申し込みをしてから、実際に取引ができるようになるまでの日数は取引所によってバラバラです。

●ステップ3 入金作業を行おう

仮想通貨取引所で口座を開設できたら、次は入金作業を行います。今やインターネットバンキングでも振込ができますが、銀行などからの振込のほか、クレジットカードによる入金が行える場合もあります。クレジットカードによる入金には手数料が取られる場合があります。銀行の振込手数料とクレジットカードの手数料のどちらが安いのかを確認してから、入金作業を行うのがよいでしょう。

●ステップ4 仮想通貨の購入

入金が確認できたら、いよいよ仮想通貨を購入します。取引所にもよりますが、さまざまな仮想通貨を取り扱っていますので、どの仮想通貨を売買したいかチャートや市場動向、世界経済情勢等をよくよく見極めて判断していきましょう。

実は仮想通貨は少額でも購入ができます。価格が値上がりしている仮想通貨もあるので100万円、200万円といった資金がないと買えないと思う人もいるかもしれませんが、実際には1万円以下でも購入することができます。大きな金額で仮想通貨を購入するのが怖いという人は少額で購入して、実際の値動きを確認してみるのも一案でしょう。

仮想通貨を売買したら、税金はどうなるの?

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(写真=PIXTA)

仮想通貨は売買することで利益を得ることができます。買った値段よりも高く売ることができればそれが売買益になります。このほか、マイニングで得られた仮想通貨を売却した場合も売買益が発生します。

また、保有する仮想通貨をもとにモノやサービスを購入した場合に差益が生じた場合があることでしょう。例えば、10万円で購入した仮想通貨が20万円になり、これをもとに20万円分のモノを購入した場合、10万円が利益に該当します。

そして、忘れてはならないのが、保有する仮想通貨をもとに他の仮想通貨を購入した場合です。そのときには、いったん仮想通貨を売却して日本円に換算し、その後、再度異なる仮想通貨を購入するという作業を行ったと考えることになります。つまり、いったん利益確定して、そのお金で違う仮想通貨を購入することになるのです。そのため、当初に購入した仮想通貨に利益が発生していれば交換時に売買益が発生することになります。

仮想通貨はこうした利益に対して、税金がかかります。具体的には所得税と住民税です。ただし、注意しなければならないのが、上場株式や投資信託の税金とは異なる点です。

上場株式や投資信託の売買益には、譲渡所得として20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)がかかりますが、仮想通貨の売買益は総合課税の対象となる雑所得に該当します。雑所得は、他の所得と合算して税金が課税されます。

給与所得と退職所得以外の所得が年間で20万円を超える場合には確定申告が必要で、所得税・住民税の課税対象となります(なお、20万円以下でも住民税の申告は必要です)。

総合課税における所得税の計算は次の速算表に基づき行います。

<総合課税における所得税の速算表>

仮想通貨と株式の売買益、不動産の売買益は損益通算できるのか?損失の繰り越しは可能?

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(写真=PIXTA)

それでは、仮想通貨で生じた売買損は上場株式等や不動産の売買益と損益通算できるのでしょうか。仮想通貨取引をしている人のなかには株式投資をしていたり、不動産投資をしていたりする人もいるかもしれません。それらと損益通算ができれば、より利便性が高まりそうです。しかし、現行の法律では、損益通算をすることはできません。

例えば、上場株式等であれば他の上場株式等、投資信託、債券の売買損益と損益通算をすることができます。また、不動産に関しては、不動産の売買損益同士が通算できるほか、不動産で生じた損失を不動産所得から差し引いてもなお損失が残る場合には、事業所得や給与所得から差し引いたうえで所得税の計算ができるようになっています。

一方、仮想通貨は、仮想通貨同士の売買損益を通算したうえで利益がある場合には課税対象となります。仮想通貨で損が発生した場合には翌年以降への損失繰り越しもできません。

仮想通貨で得た利益に対する税金の計算事例

ここで、仮想通貨で得た利益にいくら税金がかかるのか、簡単な事例を紹介しましょう。

例えば、1月から12月までの1年間の給与所得が400万円、仮想通貨の売買益が200万円ある方を考えてみましょう。

会社員の場合、速算表から、下記の様に計算できます。
400万円×20%-427,500円=37万2,500円

これが給与に対する所得税になります。この税額は源泉徴収により自動的に給与から差し引かれています。

これに仮想通貨の利益を加えて確定申告は行います。仮想通貨の売買益が200万円加わると、1年間の所得は600万円となります。

速算表から、下記の様に計算できます。
600万円×20%-427,500円=77万2,500円
77万2,500円-37万2,500円=40万円

上記が追加で支払う所得税額となります(実際には復興特別所得税も加えて納付します。また別途住民税がかかります)。

仮想通貨の売買では、売買益に自動的に税金が引かれる仕組みとはなっていないため、納税時に支払いが行えるように対応しておかなければなりません。

仮想通貨の税金で注意することは?

以上、仮想通貨の売買益と税金について解説してきました。仮想通貨は売買益が雑所得の対象となります。株式の売買益や不動産の売買益と仮想通貨の損失は損益通算できません。
収益状況によっては所得税の最高税率45%がかかることもあります。こうした課税の仕組みを知ることで、税金の支払いはもちろんのこと、今後の仮想通貨の売買においても留意しておきましょう。

仮に昨年仮想通貨の売買益が生じ、所得税、住民税を支払ったとしましょう。そして今年、売買損が生じても損益通算できません(逆もしかり)。やり方次第では税金が払えないといったことも起こりえますので、税金の支払いのための資金を管理するなど売買だけではなく資金管理もしっかり行ってください。

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