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禁止から解禁へ 副業起業の時代がやってきた(前編)

会社員を続けながら、自分の特技や知識を生かして副業としてビジネスを立ち上げる――そのような起業を選ぶ人が増えています。これまでは、副業禁止規定によって、原則副業を許可していない会社が大半でした。しかし、政府が「働き方改革」の一環としてパラレルワーク(副業・兼業)の推進を打ち出したことを受け、副業解禁への取り組みが活発化しています。企業が副業を解禁するねらいとその効果について、起業コンサルタントの中野裕哲さんに聞きました。

人材不足が引き寄せた副業解禁の流れ

2016年にロート製薬、2017年は、ディー・エヌ・エー(DeNA)、ソフトバンク、コニカミノルタ等が相次いで副業の解禁に踏み切りました。2012年から認めているサイボウズでは、副業を「本-副」という優先順位のついた「副」ではなく、複数の仕事を持つ“複業”としてとらえ、積極的に推奨。2017年からは、新たに採用時から複業を前提とした「複業採用」を開始しています。サイバーエージェントの子会社サイバー・バズでも、同社で副業する人材を採用する「助っ人採用」をスタート。他社で働く高い経験値を持った人を受け入れることで、ノウハウの構築や生産性の向上につなげることがねらいです。

こうした動きの背景にはいったい何があるのか。起業コンサルタントの中野裕哲さんは、「最も大きな要因は、生産年齢人口の減少による人手不足」と説明します。「優秀な人材に、ほかの会社から移ってもらうことが難しいなら、週に1、2回手伝ってもらう形でもいいから採用したい、そのような企業側の思惑が副業解禁の背景にあります」

少し前までは、副業といえば、「本業側の情報が漏洩する危険がある」「副業によって本業が疎かになる」「人材の流出につながる」等の懸念が経営側に強く、デメリットばかりが取り上げられ、「だから副業はけしからん、取り締まろう」と禁止されてきました。ところが昨今、副業をやらせることのデメリットよりもメリットの方が大きいと考える企業が増えてきました。

「例えば、副業を行うことで社員は本業では経験できない幅広い体験を積むことができます。副業で得た知識や経験、人脈等を本業側に持ち帰り、仕事に生かすことも可能になる。つまり、コストゼロで社員研修を行っているようなもの」と、中野さんは本業側にとってのメリットを指摘します。

また、「副業可能」な会社であること自体が、その会社の魅力となり、優秀な社員の獲得につながります。「副業ができる会社でなければ、就職したくない、という動きが、とくに若くて優秀な層を中心に現れてきています」

さらに、特筆すべきは、社員の間の「この会社では、やりたい仕事をやらせてもらえない」「給料が増えない」といった不満を、副業を解禁することでなくす可能性があるということ。「人手不足のなかで、離職に歯止めもかけられるとなれば、企業も本腰を入れないわけにはいかなくなります。今はまだいくつかの先駆的な会社だけの動きですが、メリットが大きいことが広まるのに歩調を合わせ、解禁する企業は確実に増えていくでしょう」

副業起業で、リスクを押さえ、やりたかったことに挑戦

とはいえ、政府が「働き方改革」の一環として旗振りをしている割に、副業を認めている会社はまだ少数派。リクルートキャリアが2017年に行った調査(中小、中堅、大企業をランダム抽出した1,147社が対象)によると、副業を容認している企業は全体の約23%にとどまっています。

図 社員への兼業・副業に関する推進・容認の割合

出典:リクルートキャリア「兼業・副業に対する企業の意識調査」

 

禁止理由を見ると、「社員の長時間労働・過重労働を助長する」が最多。時間管理は企業にとっても、働き手にとっても大きな課題のようです。「だからこそ、副業起業をおすすめしたい。休日に自分の時間を切り売りするようなアルバイトをすることも副業ですが、それでは長時間労働につながるだけです。会社員をやめることなく、自分の特技や経験を活かしてやりたかったビジネスに挑戦する、それが副業起業です。自分の時間を切り売りするのではなく、自分の時間を使って自分でレールを敷き、自分のビジネスを育てていきましょう」

図 社員への副業容認・推進の状況

出典:リクルートキャリア「兼業・副業に対する企業の意識調査」

 

>>禁止から解禁へ 副業起業の時代がやってきた(後編)に続く

中野裕哲(なかの・ひろあき)
起業コンサルタント®、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナー(CFP®、一級ファイナンシャルプランニング技能士)、宅地建物取引主任者。起業コンサルV-Spiritsグループ代表。
起業家支援をライフワークとし、「まるごと起業支援ドットコム」を主催。年間約300件の起業相談を無料で受け、多くの起業家を世に送り出している。日本最大級の起業支援ポータルサイト経済産業省後援DREAM GATEにて7年連続相談件数日本一。起業の最前線、現場での支援経験に基づく独自の起業・独立ノウハウに定評がある。http://v-spirits.com/

日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
ライター 平林理恵
日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(https://consult.nikkeibp.co.jp/financial-contents-lab/)は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。