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今すぐ始める“ニューロビクス” 脳の老化は止められる (前編)

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「最近、人の名前が思い出せない」「あれ、それと言うことが増えた」……。心当たりのある人は、すでに脳の老化が始まっているかもしれません。「まだ若いから大丈夫」と思ったら大間違いです。実は、脳の老化は30代~40代から始まっています。その原因は「脳過労」です。「脳過労」にならないためにも知っておきたい、脳の老化が進むメカニズムをお教えします。

物忘れやうっかりミスが多くなったら脳過労かも

脳の老化が30代くらいから始まる人が増えています。「その大きな要因は、情報化社会が進んだために、脳に入れる情報が多過ぎることによって起こる『脳過労』です。仕事が忙しく人間関係で疲れている人、スマートフォンやパソコンを頻繁に使う人ほど、脳の回路のつながりが悪くなって、脳の衰えが進んでいる可能性が高いので要注意です」。こう指摘するのは、脳の老化に詳しい脳神経外科医、おくむらメモリークリニック院長の奥村歩さんです。

「脳過労」とは、どういう状態なのでしょうか。奥村さんは、次の表のような症状が、たびたびあるようなら、脳過労になっている証拠です」といいます。

表 こんな症状があったら、あなたは脳過労!
□ 固有名詞がすぐに出てこない
□ 2階に何かを取りにきて、何を取りにきたのか忘れてしまった
□ 今までに比べ、仕事や作業の能率が悪くなった
□ 一つのことに執拗にこだわってしまう
□ 嫌なことや失敗等が頭から離れないことがよくある
□ 自分の努力が報われないと感じている
□ 朝から晩まで目先の仕事に追われ、ぼんやりする暇がない
□ 怒りっぽく(キレやすく)なった
□ 一生懸命頑張っているのに空回りしている
□ うっかりミスが多い

30代~40代でも、いくつか当てはまる人は多いのではないでしょうか。「脳過労で、最初に出る症状は、もの忘れです。脳の検索機能が衰えて、記憶の中からの選択ができなくなるので、固有名詞が出てこない、2階に何か取りに行ったのに階段を上がったら忘れるといったことが頻繁に起こるようになります。また、仕事の能率が悪くなり、うっかりミスも多くなります」。

奥村さんによると、人間の脳は、元来、一度に複数の問題に対処するのは苦手で、1つのことしか処理できないように設計されています。例えば、2階へ行って何かを取ってくるときには、脳は、転ばないように階段を上がることと何かを取ってくるという2つの情報を処理しています。何かと忙しいビジネスパーソンの中には、さらに、階段を上がる間に仕事の懸案事項や人間関係が頭に浮かぶ等、脳に自分の処理能力を超えたタスクを強いているわけです。

脳過労を放置するとうつ病や認知症の原因に

一度にいくつものタスクを対処したりしようとせず、脳にインプット(入力)する情報と、それを処理して行動したり新しいものを生み出したりするアウトプット(出力)のバランスがとれていれば脳過労は起こりません。ところが、「情報化社会の影響でインプットが過剰になり脳が消化不良を起こしたような状態になると、脳の燃料でもあるセロトニン、アセチルコリン等の神経伝達物質の働きが低下し、脳内のネットワークのつながりが悪くなってパフォーマンスが低下します。それが脳過労です」と奥村さん。

特に危険なのが、仕事の日の帰宅後や休日も、常にスマートフォンを手放さず、事あるごとに情報サイト、メールやSNSをチェックする「ネットにどっぷりつかっている人」です。こういう癖のある人は、脳に情報を入れるばかりで脳を酷使し、活用(アウトプット)していないので、脳の活動バランスが崩れて脳の回路がフリーズする過労状態に陥っています。

過労が慢性的に蓄積し、脳のパフォーマンスが低下すると、固有名詞がすぐに出てこなかったり、物忘れをしたりするようになります。「それが脳の老化の始まりです。脳の老化が進むのは、脳細胞が減るからでも認知症の引き金になるアミロイドβが減るからでもなく、脳過労によって記憶、感情、思考、行動指令等の情報が行き来する脳のつながりが悪くなるのが原因なのです」(奥村さん)。

脳過労を放置すると、うつ病になったり、脳過労のない人より早い段階で認知症を発症したりするというのですから侮れません。「そうならないためには、早い段階で脳過労を解消することが重要です」と奥村さんは強調します。

後編では、「脳過労」の解消法について紹介します。

>>今すぐ始める“ニューロビクス” 脳の老化は止められる (後編) に続く

おくむらメモリークリニック院長
奥村歩(おくむら・あゆみ)さん
岐阜大学大学院医学博士課程修了。同大学附属病院脳神経外科病棟医長併任講師等を経て、クリニックを開設。もの忘れ外来で3万人以上の認知症患者を診療。著書に『脳の老化を99%遅らせる方法』(幻冬舎)等。

※ 『日経おとなのOFF』2017年5月号を参考に記事を作成しています。
日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 

医療ライター 福島安紀
日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(https://consult.nikkeibp.co.jp/financial-contents-lab/)は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。