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金融サービスを変えるフィンテック

決済分野から始まるフィンテックの潮流

 アクセンチュアの調査によると、2014年には世界のフィンテック企業に122億ドルという投資が行われたとみられ、一気に世界のフィンテック熱が高まっています。このうち、米国のフィンテックに100億ドルが投じられたと言われており、フィンテックの潮流を大きくけん引する状況にあります。特に、米国のフィンテック投資額の半分以上が「決済」分野に向けられており、ECの拡大を追い風に、飛躍的な成長を遂げる企業も現れています。

 こうしたなか、米国株式市場でペイパルやスクエアといった企業が注目を集めています。1998年に設立されたペイパルは一時、イーベイの傘下に収まっていましたが2015年に分社化して再上場を果たし、すでに時価総額は5兆円超と、日本の大手銀行並みの評価を得ています。三菱東京UFJ銀行の4月15日現在の時価総額が約7.5兆、みずほフィナンシャルグループが約4.1兆円などとなっています。また、モバイル決済サービスのスクエアは2015年11月に上場しました。スクエアリーダーを使うことによりモバイル端末が決済可能なPOSレジに早変わりすることから、クレジットカードの導入が難しかった中小零細企業の開拓が進むと期待されています。スクエアの時価総額は4,000億円を超えています。

 また、「決済」分野だけでなく「融資」や「資産運用」分野でのフィンテックの展開も注目されています。レンディングクラブは「融資」分野のフィンテックであり、クレジットカード等で借り入れていた時に比べ、個人の金利負担が平均35%程度引き下げることが可能になると注目されているのです。インターネットを最大限に活用し、低コストで利便性の高いサービスを提供するフィンテックが成長しはじめています。「資産運用」では運用方針に沿ったポートフォリオをつくってくれるロボットアドバイザーが注目されており、「ウェルスフロント」や「パーソナル」などが注目されています。

銀行法改正等の政策支援に注目

 ここにきて、日銀が導入したマイナス金利政策がフィンテックの成長を後押しするという指摘もみられます。マイナス金利の導入で、銀行が日銀の当座預金口座に預けている資金については、銀行が金利分をとられてマイナスになっています。もしも銀行がこのコスト増を利用者に転嫁すると銀行離れを加速させるとの懸念から、銀行は生産性向上により金利負担をカバーしようと、フィンテックの活用に強い関心を持ちはじめています。金融機関がフィンテックに急速に接近していることは注目されています。

 現在の銀行法では銀行によるIT企業への出資が5%未満に制限されていること(5%ルール)が金融機関の対応を遅らせている一因となっています。こうしたなか、金融庁は本国会(2016年通常国会)で銀行法を改正し、IT企業に出資しやすくする意向を表明しました。銀行法改正により、銀行によるフィンテック企業への出資や買収が増えれば、株式市場のフィンテック熱がますます高まる可能性はあるでしょう。

 また、金融機関のサービスは国際決済に十分対応できていないこともあり、金融庁は2018年をめどにロー・バリュー国際送金を提供することを目指しています。日本から海外への送金には1件につき手数料数千円かかりますが、これを10分の1にしようと計画されているのです。一方で、ビットコイン等の仮想通貨の普及もあり、仮想通貨を公的な決済手段の1つと位置付け、政府は本国会で資金決済法を改正する意向も示しています。日本ではビットコインは「貨幣」ではなく「モノ」扱いで、消費税の対象でした。政府は3月4日の閣議決定で、ビットコインなどの仮想通貨を貨幣と同じ機能を持つものと認めていました。欧州ではすでにEU最高裁で、仮想通貨をVAT(付加価値税)の非課税対象であることが明確にされています。今後は、フィンテックによるブロックチェーン技術(仮想通貨の取引を記録するデータベース技術)の活用にも弾みがつく可能性があるでしょう。

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