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先進国経済展望:緩やかな成長が続く一方、リスク要因にも注意

先進国は国内需要を中心にゆるやかな成長

 中国をはじめとする新興国経済が減速し、原油価格が下落して製造業やエネルギー産業の生産活動を抑制しています。こうした中でも、先進国経済は国内需要を中心にゆるやかな成長が続いています。ただし、その成長ペースにはバラツキが生じています。今後もこうした傾向は続く可能性が高いでしょう。

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 米国経済は最近までゆるやかに成長してきました。一時浮上した、減速を懸念する声は小さくなっています。海外経済の減速やドル高、原油価格下落の影響などから、製造業は今後も足取りの重さは残るとみられるものの、持ち直しの動きがみられます。

 また、雇用や賃金が増えるとともに、ガソリン価格が下落していることから、個人消費が堅調に推移しています。この個人消費の堅調さが雇用の増加につながり、さらなる消費の増加を促すという好循環が維持されているため、米国経済は今後もゆるやかな成長が続く可能性が高いでしょう。

 また、欧州経済についても、個人消費や住宅市場を中心にゆるやかな成長が続いています。ただ、失業率が依然として高水準であることや、金融機関のバランスシート調整の遅れなどから、米国ほどしっかりとした成長ではありません。このため、金融緩和に依存してばかりではなく、インフラ投資や企業の設備投資を促す政策が求められます。

 一方、日本経済は2015年10-12月期の実質GDPが前期比年率▲1.1%となるなど、回復の動きが止まっています。欧米との大きな違いは個人消費が低調な点であり、賃金が伸び悩む状況で、消費者の節約志向は根強く残っています。

 また、人口が減少する中で、中長期的な成長期待を持ちづらいことから、企業は国内での投資に慎重な姿勢を続けています。こうした経済状況のもと、夏場には参議院選挙を控えているため、追加の景気対策や消費税率引き上げ見送りの可能性がにわかに浮上しており、当面はその議論の行方が注目されます。

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