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先進国経済展望:緩やかな成長が続く一方、リスク要因にも注意

日欧で金融緩和が続き、米国も利上げペースの見通しを下方修正

 経済成長が勢いを欠き、インフレ率が低水準にとどまるなかで、欧州および日本では金融緩和が続いています。欧州中央銀行(ECB)は3月の理事会で、マイナス金利のさらなる引き下げや資産買い入れ政策の拡充、大規模な資金供給の再開など、包括的な追加緩和策を打ち出しました。

 日本銀行は1月の金融政策決定会合で、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を決めています。3月は現状維持となりましたが、消費者物価上昇率で2%という目標を達成することは難しいため、今後、さらなる金融緩和を迫られる可能性が高いでしょう。

 一方、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げを見送るとともに、将来の利上げペースの見通しについても、ゆるやかなものに下方修正されました。米国の労働市場は改善が続いており、インフレ率が上向く兆しも出てきているという状況をふまえれば、利上げの方向性に変化はありません。ただ海外経済や金融市場の動向にリスクが残るなかで、利上げのペースはゆるやかなものにとどまるでしょう。

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中国経済や原油価格に関するリスクに引き続き注意

 以上のように、国・地域によってバラツキはあるものの、総じてみれば米国を中心とする先進国はゆるやかな成長を続ける可能性が高いでしょう。また金融政策が緩和的であるという状況はしばらく変わらないでしょう。

 一方、(1)中国経済の減速や人民元の下落傾向、(2)原油価格の下落によるエネルギー産業の投資削減や信用リスクの高まり――などの動きから、成長ペースに弾みがつきづらいはずです。加えて、こうした動きにともなって経済がまた低調になる恐れや、金融市場が再び不安定なものになる危険性には、引き続き注意しておく必要があります。

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