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資格コンサルタント鈴木秀明氏に聞く! 人生100年時代の、資格から入る学び直し(第2回)

人生100年時代、これからの人生を豊かにするための「資格取得」。これまで約590の資格・検定を取得してきた資格コンサルタントの鈴木秀明さんは、資格を取得することには、多くの効果が期待できると話します。第2回は、専門家の視点から、資格取得によって人生にどのような影響や効果があるのかをお伝えします。

≫「【第1回】資格コンサルタント鈴木秀明氏に聞く! 人生100年時代の、資格から入る学び直し」はこちら

資格取得を通して享受できる6つの効果

――年間50個もの資格を取り、現在約590個(2018年9月時点)の資格を取得している鈴木さんですが、これまでたくさんの資格を取ってきて、資格を取ると具体的にどのようなメリットや効果があると感じていますか?

鈴木さん 私は資格取得の効果は、大まかに6つに分類されると考えています。

鈴木さんが考える資格取得の6つの効果

1. 法的効果
2. シグナリング効果
3. コミュニティ効果
4. 学びの効果
5. 経済的効果
6. 精神衛生上の効果

まず1つ目は「法的効果」。その資格を持っていないと特定の仕事に就けないとされているような国家資格などです。例えば「行政書士」、「宅地建物取引士」、「気象予報士」などがあります。

――鈴木さんは、今あげていただいた「行政書士」、「宅地建物取引士」、「気象予報士」すべて取得していますが、この資格を使って何かお仕事をされていますか?

鈴木さん いえ、私はあくまでも「資格をたくさん持っていること」自体を強みにして資格の専門家として活動しているので、基本的には個々の資格を直接的に「飯のタネ」として仕事にしているわけではないですね。

意外な資格が“個性”を生み出す

――直接仕事にしないのに、勉強して資格を取ってしまう鈴木さんはスゴイですね。

鈴木さん その“スゴイ”が重要なんです(笑)。自分の得意分野や強みを周りにアピールする際に、ただ「○○が得意です」とだけいっても、具体的にどの程度できるのか、本当にそれだけのスキルがあるのかを明確に伝えるのは難しいですが、資格があれば「○○検定1級です」とスキルを客観的に一言で示すことができます。私はそれを「シグナリング効果」と呼んでいます。つまり、周りから「スゴイ」と思ってもらえる効果です。これが2つ目の効果です。

例えば、難易度が高いといわれている「中小企業診断士」は、法律上その資格を持っていないとできない仕事があるわけではないので、事実上の法的効果こそないですが、履歴書の資格欄に書けば「スゴイ!」と思われるような資格の一つです。

――「アロマテラピー検定」や「メイクセラピー検定」など、一見、鈴木さんはまったく興味がなさそうな分野の資格も取得されていて、「鈴木さんって面白い!」と感じました。

鈴木さん そういった意外性のある資格も、ある種のシグナリング効果が期待できますね。第1回でもお伝えしたように、「こう見えて○○の資格を持っています!」という、自分のユニークな一面を相手に印象付けることができますし、「キャラ付け」を演出したり、個性をアピールできるんです。

人生の楽しみが広がり、堂々と行動できるきっかけに

鈴木さん 3つ目は、私が「コミュニティ効果」と呼ぶものです。資格によっては、合格者のみが参加できる会やイベントなどがあって、資格を取ることで人脈が広がり、自分と同じ趣味や得意分野を持つ人たちとのネットワークができます。「野球知識検定」やアニメに関する検定など趣味性の強い検定は、ファンサービスのようなイベントを開催することが多いです。

――もともと趣味としている分野であるなら、自分の知識を試したいという気持ちも強くなって、勉強にも熱が入りそうですね。

鈴木さん 自分の得意分野はもうすでに十分知識があると思いがちですが、意外とまだまだ知らないこともあるものです。どんな資格でも、試験勉強の過程で学んだことは何らかの糧になっているはずで、必ず意義があります。それが4つ目の「学びの効果」です。すぐには役立たなくても、学んだことが将来生きてくることもありますし、そういう意味では「取ってもムダな資格」など一つもないと私は考えています。

5つ目は「経済的効果」。いわゆる「ご当地検定」や、食べ物分野の検定などに多いのですが、合格すると、提携している施設やお店で割引や限定グッズなどの特典を受けられる資格があります。そのような、ストレートに経済的な恩恵が受けられるメリットのことです。

――「法的効果」、「シグナリング効果」、「コミュニティ効果」、「学びの効果」、「経済的効果」とここまでで5つご説明していただきましたが、これだけの効果があると気持ちが前向きになりますね。

鈴木さん はい、最後の6つ目は、この資格を取得したことで自信がつき、前向きな気持ちで堂々と行動できるきっかけになるというもの。私はこれを「精神衛生上の効果」と呼んでいます。

私自身、「これだけ資格を持っていれば、何かあっても人生なんとかなる!」と思えてきますから、常に精神的に余裕を持てていると思います(笑)。

取得する資格や検定によって、それぞれがもつ効果の内容はさまざまですが、6つ目の「精神衛生上の効果」はどの資格にもあてはまるのではないでしょうか。人生100年時代においては、常に前向きな気持ちで人生を歩むために、たまには資格取得へのチャレンジを通じて精神的な成長を目指すのがよいのではと感じました。第3回では、ビジネスに役立つ資格を分野別に紹介します。

 

鈴木秀明氏
資格・勉強コンサルタント

1981年富山県生まれ。東京大学理学部卒。東京大学公共政策大学院修了。All About「資格」ガイド。取得資格はFP技能検定1級、証券アナリスト、気象予報士をはじめとして約590個。ジャンルを問わず幅広い分野の資格・検定を取るのが趣味で、ほぼ毎週何かしらの試験を受けている。著書に『効率よく短期集中で覚えられる 7日間勉強法』(ダイヤモンド社)などがある。

日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
吉田明乎

日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(https://consult.nikkeibp.co.jp/financial-contents-lab/)は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

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