
アメリカという大国を率いる大統領がもうすぐ決まろうとしています。運命を占う大統領選挙は“2016年11月8日”。
元大統領ビル・クリントン氏の夫人であるヒラリー・クリントン候補か、不動産王のドナルド・トランプ候補か、アメリカ国民はいったいどちらを選ぶのでしょうか―?
想定される市場の反応は?
激戦を繰り広げている両候補ですが、どちらが大統領になるかで金融市場の反応は大きく異なることが予想されます。
<クリントン候補が勝った場合>
民主党のクリントン候補が勝利した場合、政策の継続性確保が好感され米国株の上昇が予想されます。
就任から4年以内に太陽光パネル5億枚以上を目標に掲げ、インフラや再生可能エネルギー関連企業が恩恵を受けると言われていますが、一方で製薬関連企業は悪影響が見込まれています。
<トランプ候補が勝った場合>
共和党のトランプ候補が勝利した場合、米国株は調整局面となることが想定されます。
過激な発言で注目されているトランプ候補が勝てば、政策の大幅変更への不安感が強まり市場はリスク回避に動く可能性あります。
インフラ関連・石油・石炭といった従来型エネルギー産業が恩恵を受ける一方で、生活必需品セクターやオバマケア関連(病院運営会社や医薬品卸売業、ドラッグストア運営等)の企業は悪影響を受けるとみられています。
意外に影響力が大きい「テレビ討論会」。接戦を制するのは…!?
大統領選挙に向けて、各候補が政策について討論を交わす「大統領候補討論会」が選挙までに3回(加えて、副大統領によるものが1回)行われ、この様子は全米にテレビで生中継されます。このテレビ討論会は有権者達が非常に注目しており、番組内での討論の優劣が選挙情勢を大きく左右すると言われています。
これまでも、各候補の支持率は上がったり下がったりを繰り返しており、現時点ではクリントン候補がわずかにリードしているものの、討論会の流れによってはトランプ候補が逆転する可能性もおおいにあります。
クリントン候補・トランプ候補、それぞれの経済政策の違い
クリントン候補は富裕層への課税強化や最低賃金引き上げにより格差や不公平を是正する一方、インフラや製造業、科学技術、クリーンエネルギーへの投資する意向を示しています。海外への租税回避を抑制し、雇用創出や賃金上昇につながらない貿易協定には反対しています。
一方トランプ候補は税制改革・規制緩和・貿易政策・エネルギー政策を4つの柱として所得税の最高税率や連邦法人税率の引き下げ、ビジネスや雇用創出を阻害する規制緩和などを主張していて、TPP(環太平洋経済連携協定)の撤退、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉を掲げるなど、貿易を制限して自国の利益を保護しようとする姿勢をとっています。
またクリントン候補・トランプ候補、どちらになっても公共インフラ投資は重視とのこと。クリントン候補は就任後5年間で2,500億ドルの直接投資、トランプ候補は少なくともその2倍は投資すると表明しているので、インフラ関連企業にとっては追い風となりそうです。
両候補の主張する主な経済政策をまとめると以下のようになっています。
テレビ討論会を控え、いよいよ終盤戦といった雰囲気が漂ってきた大統領選。アメリカ国民の心をつかむことができるのは、いったいどちらの候補になるのでしょうか? そして、はたしてそれぞれが掲げる政策は実現するのでしょうか? 今後もその動向に注目です。