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高まる中国の教育熱、盛り上がる教育サービス市場

(写真=sakkarin sapu/Shutterstock.com)

中国の大学入試「高考(ガオカオ)」に今年は約940万人が挑む

科挙(かきょ)の伝統を有する中国では、教育はより良い仕事や生活を得るための有効手段と考えられており、根強い高学歴志向があります。昨年から全面的に施行された2人っ子政策による幼児人口の増加や、世帯収入の持続的な上昇にともなう教育支出の増加、海外留学人気などを追い風に、教育サービス市場の拡大が期待されます。

毎年6月、中国では大学入試、通称「高考(ガオカオ)」が実施され、今年は約940万人が受験に挑みました。各大学の合格者数や合格ラインは受験生の出身地域や戸籍によって異なり、一般的に地方の学生が都市部の有名大学に入ることは難しいといわれています。

たった1回の試験で大事な子どもの将来が決まるとなれば、保護者の教育熱は高まらざるを得ません。子どもがほぼ毎日、塾や習い事に通う姿は、激しい受験戦争だけでなく、教育にはお金を惜しむべきではないと考える親の愛情の表われでもあります。大学受験は受験生の能力や努力のみならず、経済力が必要とされる時代に入ってきました。

海外への留学も増加

中国国内での良質な教育資源が限られるなか、進学競争が激化していることに加え、就職情勢も厳しいことから、子どもの選択肢の幅を広げるためにインターナショナルスクールや留学支援サービスへの需要も拡大しています。

2016年に中国から海外へ留学した学生は約54.5万人にのぼり、私費留学は国費留学の約17倍に達しました。これらの現象に後押しされ、中国の教育サービス市場は安定成長期を迎えつつあります。また、現在では大手による更なる事業拡大の動きが見られると同時に、小規模企業のとう汰も進んでいます。

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