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「つみたてNISA」に「iDeCo」、国はどうして次々と制度を作るの? (後編)

(写真=Thinkstock/Getty Images)

「つみたてNISA」や「iDeCo」等、税金がお得になる新しい制度が続々と導入されています。(前編はこちら

少額でも利用できるお得な制度を活用して、長期でこつこつ老後資金を育てよう。

投資で税金が優遇される制度が次々に登場

2014年に始まった「少額投資非課税制度NISA」は聞いたことがあるでしょう。株式や投資信託による収益が5年間、非課税になります。2018年からは、積立専用の「つみたてNISA」も始まります。二つの制度の概要を表にまとめました。

いずれも、NISAやつみたてNISAを取り扱う金融機関に口座を開いて利用します。限度額いっぱいまで利用すると、元本で最大数百万円の投資が可能。この収益が非課税となるのは大きいですね。ただし、同じ年に併用して利用することはできません。また、値下がりしてしまった場合は、そもそも税金がかかりませんから、税制上の恩恵はありません。NISAやつみたてNISAの口座で購入した金融商品は、売りたいときはいつでも売ることができます。もちろん期間いっぱいまで持ち続けることもできます。

一方、60歳以降にならなければ引き出すことができない老後資金用の制度が確定拠出年金です。企業型と個人型(通称iDeCo)があります。企業型を利用できるのは勤務先が制度を導入している会社員。個人型は、会社員を含め、自営業者や公務員、専業主婦(夫)まで幅広い人が利用できます。企業型では通常、掛金は勤務先が出してくれます。福利厚生の一環である企業年金という位置づけだからです。

個人型は自分の意思で加入し、掛金を自分で払います。運用収益が非課税になることに加え、掛金は所得控除の対象ですから、加入中の現役時代の所得税や住民税が軽減されます。節税しながら老後の準備ができるというわけです。企業型、個人型いずれも受け取り時にも税金の優遇が受けられます。

注意点は、個人型の場合、運営管理機関(確定拠出年金を取り扱う金融機関)等に払う手数料も自分持ちということです。確定拠出年金は、NISAとは異なり、投資商品のみならず、定期預金や保険商品も利用できます。家計の金融資産と同様に、確定拠出年金の運用においても、投資信託の比率が低いのが日本の特徴です。受け取りは60歳以降ですから、40歳以下の人なら20年以上の運用期間があります。リスクのある商品を選んで一時的に値下がりしたとしても、時間の経過とともに価格が戻り、収益が得られる可能性はあります。収益が大きいほど、非課税という口座の特徴が生きてきます。

「ドル・コスト平均法」で優遇口座を賢く使いこなす

NISAや確定拠出年金等、せっかくの優遇口座を開くなら、賢く使いこなしたいもの。とはいえ、投資は未経験だし、元本割れするかもしれない値動きの大きな金融商品は不安という方におすすめしたいのが「ドル・コスト平均法」です。ドル・コスト平均法は、毎月決まった日に決まった金額を買いつけていく方法。投資信託等の値動きする商品をドル・コスト平均法で買っていくと、何度にも分けて買うことで、さまざまな価格で購入でき、一度に買うよりもリスクを抑えるとともに、決まった量を買い付けるよりも平均買付単価を下げるという効果も期待できます。
次の図をご覧ください。

(*みずほ証券:「「投資信託の積み立て」で利用される“ドル・コスト平均法” とは?」より

お金がないから投資ができないと思っている人も、この方法なら、少額から積み立てで投資を始められます。つみたてNISAは、まさにそれができる口座。また通常のNISA口座も積み立てに利用することができます。確定拠出年金は、毎月、限度額の範囲内で掛金額を決めて積み立てていきますから、自動的にドル・コスト平均法が働く仕組みになっています。

日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
フィナンシャルプランナー 坂本綾子
日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(http://consult.nikkeibp.co.jp/sp/money/)は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

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