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使わないのはやっぱり損?! 今からはじめるふるさと納税(前編)

(iStock by Getty Images)

「自治体に寄附をすると、実質2,000円の負担で各地の特産品がもらえる制度」として人気の「ふるさと納税制度」。制度の内容がコロコロと変わり、一時の過熱感は落ち着いた印象も。それでもふるさと納税はお得なのでしょうか? 前編ではふるさと納税制度のおこりと、制度が変わっての「イマ」についてご紹介します。

自治体を応援したいという気持ちを伝える制度

ふるさと納税制度は、地域経済の再生を目指して2008年から始まりました。この制度が始まったことで、自分の出身地や応援したい自治体を選んで自由に寄附ができるようになりました。

ふるさと納税を通じて寄せられた資金は、その地域の子育て、教育、街づくりなどに活用されるだけでなく、被災地支援としても役立てられています。ご存じのように、ふるさと納税は寄附金控除の対象となります。寄附をした人は所得税や住民税の控除が受けられるほか、地域の特産品などがお礼として受け取れます。この返礼品の内容次第でふるさと納税の受入金額が違ってくるので、各自治体は知恵を絞ってよりよい返礼品を提供しようと競い合っています。

2017年度の受入金額は3600億円超! 10年間で約45倍にも!

総務省自治税務局の『ふるさと納税に関する現況調査結果(平成29年度実績)』によると、制度が始まった初年度の2008年度に81.4億円だったふるさと納税受入額は、10年後の2017年度には3653.2億円まで膨らみました。10年間で約45倍にも増えています。「ふるさとチョイス」や「さとふる」などのふるさと納税専門のポータルサイトがスタートした2012~2014年頃からは、返礼品で納税先を選びやすくなって受入額が伸び、さらに2015年にふるさと納税の控除額が2倍に拡充し、確定申告をしなくても控除が受けられる「ワンストップ特例制度」が創設されてから飛躍的に伸びました。最も多い大阪府の泉佐野市は、2017年度の受入額が135.3億円にも達しています。

上記調査によると、ふるさと納税の受入額のうち、返礼品の調達に係る費用が38.5%、返礼品の送付に係る費用が6.6%あります。実は、総務省からは返礼品の調達費用を3割以下にするよう通知が出ています。

グラフ ふるさと納税の受入額および受入件数(全国計)

出典:自治税務局市町村税課「ふるさと納税に関する現況調査結果(平成29年度実績)」より

返礼率が3割を超えるもの、地場産品以外の返礼品はNGに!

2017年4月に総務大臣から都道府県知事に出された通知では、自治体間の返礼品競争が過熱していること。また、ふるさと納税の趣旨に合っていない返礼品が送付されていることが指摘されました。次のものは返礼品として送付しないように通知されたのです。①金銭類似性が高いプリペイドカード、商品券、電子マネー、ポイントなど、②資産性が高い電気・電子機器、家具、貴金属、宝飾品、時計、カメラ、ゴルフ用品、楽器、自転車など、③価格が高価なもの、④寄附額に対する返礼品の割合が3割を超えるもの。

さらに、2018年4月の通知では、返礼割合が3割を超えている自治体への是正が促され、返礼品は、自治体内で生産されたものや提供されるサービスが適切であるとしています。これを受け、返礼率が3割を超える返礼品を提供する自治体は着実に減ってきています。

是正されても魅力ある制度「代理寄附」という役割も

引き続き、総務省は是正を勧告していくということなので、これまでのような豪華な返礼品はさらに減っていくでしょう。しかし、自分で自治体を選んで寄附ができるところ、さらに使い道まで選べる自治体もあるところ、返礼率3割でも特産品などの返礼品を受け取れるところなど、魅力のある制度であることに変わりありません。

最近では、納税先への移住体験、地元のアクティビティや産業体験、温泉の割引券や空き家になった実家の見守りサービスなど、品物に限らず体験やサービスが受けられるものも増えています。

また、2016年の熊本地震から始まったのが、ふるさと納税による「代理寄附」という仕組みです。災害時の寄附を被災地に代わって被災していない自治体が取りまとめ、事務や連絡の手間を提供して被災地支援をしようという取り組みです。ふるさと納税の仕組みを使って支援することができるので、被災した自治体に対して手軽に素早く寄附をすることができます。

【後編】「使わないのはやっぱり損?! 今からはじめるふるさと納税」はこちら

日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
生島典子

日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(https://consult.nikkeibp.co.jp/financial-contents-lab/)は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

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