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2018年は「セルインメイ」になる? データから読み解く需給好転のサイン

「Sell in May」に、今年はあてはまるか? 5月の<中村克彦のテクニカルコラム>
今、気になる相場の話題をみずほ証券の中村克彦さんにわかりやすく解説してもらうこのコラム。
相場の世界には「Sell in May」=「5月に株を売れ」という格言があるように、5月は株価が軟調となるアノマリーがあるといわれています。はたして今年の日本市場についてもこれがあてはまるのでしょうか? 中村さんに聞いてみました!

先人たちが残した相場の格言

―― ゴールデンウィークにいろいろ調べて良い銘柄を見つけたんで「さぁ買うぞ!」と思ったものの、アノ格言の存在が気になって…

相場格言では「5月に株を売れ(セルインメイ)」といわれる時期に差しかかってきましたね。過去のデータをつぶさにみれば、格言とは異なる一面がうかがえます。はたして本当に日本株の5月相場は弱いのか。今後の見通しを探ってみましょう。

―― よろしくお願いします!

データでみる5月相場 ~騰落は五分五分、直近は4年連続高

1949年以降の日経平均株価を振り返ると、5月相場における3つの特徴が浮き彫りになってきます。

まず1つ目は、5月相場の騰落は五分五分と、実はさほど弱くないということです。

2つ目は月間▲10%超の急落が3回にとどまっていることです。そのうち2回は近年に偏っており、2010年に取引所が新しい売買システムを導入しことが影響していると考えられます。ミリセカンドという速さで高頻度取引(HFTHigh Frequency Trading)が繰り返され、株価の振れが拡大しているんですね。2010年5月はギリシャ危機と米フラッシュクラッシュ、2012年5月は欧州債務問題再燃等が引き金となり、日本株の急落を招いています。

3つ目は相場格言に反し、足元の5月相場は4年連続高と堅調に推移していることです。これはアベノミクスによる金融緩和の追い風が影響しています。

―― アベノミクス強し。ここのところは相場格言をはね返しているんですね。セルインメイも気にしなくていいのかも…?

注目ポイントは移動平均線の収束=需給好転のサイン

長い目でみると、テクニカル指標の一部では需給改善の兆しもうかがえます。

注目したいのは日経平均株価の「移動平均線の収束」です。これは一定の値幅調整と日柄調整を経ることから、短・中・長期投資家の買いコストが接近していく状態です。

チャートでみると短・中・長期の3本の移動平均線が収束していっていますよね。
これは要するに、需給のしこりがほぐれていることを示唆しています。この移動平均線の収束ポイントでは、市場の材料に対して株価が上下に動きやすくなります。

―― 本当ですね。3本の移動平均線が収束して、そのあと発散しています。

実際、(1)2016年11月のトランプショック、(2)2017年9月の北朝鮮リスクを振り返ると、25日線(短)、75日線(中)、200日線(長)が収束したのち、株価が大きく上放れています。

2018年3月下旬、米中貿易摩擦懸念による警戒感が高まり、日経平均株価は20600円台まで急落しました。しかし、足元では25日線・75日線・200日線が収束しており、需給好転の兆しがうかがえます。仮に日本株が調整しても、収束ポイントあたりで下げ渋る展開が想定されます。

今後の見通し~今年の5月相場は底堅い展開か、下値めどは21500~22000円

―― 中村さん的に、今年のメイはどうするべきだと思いますか!?

2018年は足元(5/7)までの日経平均株価は戻りを強めているとはいえ、依然として年初来マイナス圏に沈んでいます。つまり、「5月に株を売れ」はあまり賢明でなさそうです。

そのなか、テクニカル面では需給改善の兆しがうかがえます。25日線・75日線・200日線が21500~22000円台に収束しており、強いサポートゾーンとして意識されるでしょう。今年の5月相場は底堅い展開が想定されます。

相場格言の「セルインメイ」に従うよりも、相場の流れを先読みする「先見の明(センケンノメイ)」が重要かもしれませんね。

―― う、うまい(!?)笑。
私も“センケンノメイ”で投資することを心がけたいとおもいます。今月もありがとうございました!

移動平均線の収束(いどうへいきんせんのしゅうそく)

移動平均線の収束とは、複数の移動平均線が接近するポイントを指します。一般的には25日線・75日線・200日線を使います。一見すると株価の動きがさえないようにみえますが、値幅調整と日柄調整が一巡しつつある重要な局面です。需給のしこりがほぐれ、市場の材料に対して株価が上下へ動きやすくなっている状態です。また、株価が上放れや下放れをした際、売買代金の増加をともなうとその信頼性は高まります。

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