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どれくらいかかるの?就職活動と一人暮らし

(画像=japolia/stock.adobe.com)

 

新年度に入り2ヵ月が経ちましたが、今の時期は就職活動に取り組んでいる学生さんやそれをサポートする親御さんも多いと思います。

就職活動は、自分らしく実りある人生を送るための重要なライフイベントの一つですが、活動にあたっては一定の費用がかかります。また、就職後は経済的に自立した大人となり、中には「はじめての一人暮らし」を始めるケースもあると思いますが、どのくらいのお金が必要か不安を覚える方もいるでしょう。

この記事では、就職活動や一人暮らしでかかる費用について紹介します。

就職活動はどれくらいお金がかかる?                   

(表1)就職活動費用の推移(総額)  単位:円

 出所:株式会社ディスコ「キャリタス就活2023 学生モニター調査(2022年10月)」

 

株式会社ディスコの「キャリタス就活2023 学生モニター調査(2022年10月)」によると、2023年3月卒業者の就職活動費用(以下、就活費)総額の平均は70,007円、前年よりも8,795円増加となっています(上表1参照)。コロナ禍で採用活動のオンライン化が進んだことにより、ここ数年の費用総額は減少傾向でしたが、新型コロナが落ち着きを見せた2022年度は対面での面接が増えたことで上昇しました。

次に大学地域別の就活費です。                  

(表2)就職活動費用の推移(大学地域別)  単位:円

 出所:株式会社ディスコ「キャリタス就活2023 学生モニター調査(2022年10月)」

 

合計額が最も高いのが「北海道」の87,008円、次いで「九州・沖縄」の83,942円、最も低いのが「中部」の62,811円です。オンライン化が進んだことでコロナ禍以前ほど差はなくなったものの、交通費や宿泊費のかかる地域の方で費用が高くなる傾向があります。

平均で7万円ほどかかる就活費ですが、キャリタス就活に寄せられた意見の中には「パソコンを新規購入した」「有料講座を受講した」など、個別では費用が20万円を大きく超えるケースもありました。そのほか、急な出費に備えて、少なくとも10万円程度の費用は見積もっておく必要があるでしょう。

なお、就活費の出どころについては、最も多かったのが「親に出してもらった」が50.5%、次いで「全額自分で工面した」の44.1%、「親に借りた(返済する)」の5.4%の順になっており、親の平均負担額は54,180円となっているようです(キャリタス就活調べ)。

学生にとって就活費の負担は小さくありませんが、自身の希望する企業の選考をお金がないために受けることができなかった場合、大きな後悔が残ってしまいます。日頃から節約したり、アルバイトで資金を貯めるのが理想ですが、経済的に自立していない学生のうちは「親に相談して協力してもらう」というのも立派な手段です。

費用に限ったことではありませんが、就職活動をする中で困ったことや悩み事があるときは、社会人経験の豊富な親や先輩、学校の就職課などに相談し、できるだけ「不安を取り除く」ことが大切だと思います。

一人暮らしはどれくらいお金がかかる?

 

一人暮らしのはじめの一歩は「住まい」を確保することになります。入居の際にかかる初期費用は「家賃のおよそ4~5ヵ月分」と言われています。

(表3) 物件の契約時に支払う初期費用

出所:株式会社リクルート 不動産・住宅サイトSUUMO「一人暮らしにかかる費用は?
初期費用、引越し代、生活費、節約&貯蓄…まるっと解説」

 

初期費用は、それぞれの項目で物件ごとに違うので、あらかじめ確認が必要です。

上記の物件契約時にかかる初期費用のほか、引っ越し費用や新生活で利用する家電や家具の購入費等がかかります。住む地域や家賃水準、引っ越しの距離、家電や家具のこだわりなどで差が出ますが、一人暮らしの場合でも初期費用を含めた総額として50万円程度のお金がかかる想定が必要でしょう。

また、一人暮らしでは月々の生活費も考えなくてはいけません。入社したばかりの新入社員は十分な収入を得ることが難しいので、収支のバランス面からも上記の費用はできるだけ抑えたいところです。

近年では賃貸契約の際の敷金や礼金が不要な物件、1ヵ月~2ヵ月分の家賃が無料になるフリーレントの物件(早期退去の場合などは無料になった分を後に支払うなどの条件あり)もあるので、そういった物件で賃貸契約の初期費用を抑えることも選択肢の一つです。学生時代に利用していた家具や家電製品等を持ち込むことで費用を抑えることもできるでしょう。

次に平均的な1ヵ月間の生活費と給与水準を見ていきます。

(表4)単身世帯(勤労者)の1ヶ月間の支出   単位:円

 出所:総務省統計局 家計調査年報 令和3年(2021)年報

 

上表は、総務省の家計調査年報で公表されている単身世帯(34歳以下の勤労者)の1ヵ月間の支出です。男性で159,286円、女性で163,130円が1ヵ月の平均的な生活費といえます。

また、厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査「新規学卒者の所定内給与額」によると、大卒男性の所定内給与額(支給される現金給与額のうち、時間外勤務手当等の超過労働給与額を差し引いた額)の平均は229,700円、大卒女性の所定内給与額の平均は227,200円です。この数値は支給額で、支給額から健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税や住民税などが引かれた金額が「手取り給与」になります。手取り給与は「支給額の80%」で簡易計算できますが、この計算に当てはめると大卒男性の手取り給与が183,760円、同じく大卒女性は181,760円になります。

平均的な収入と支出であれば赤字にはならないものの、給与水準が上がるまでは節約することも必要でしょう。また、社会人生活や一人暮らしに慣れてきたら、貯蓄や投資などで資産形成に取り組むことも重要です。結婚・出産・育児・マイホーム取得・老後資金など、人は年齢を重ねるにつれてお金との関わりが深くなっていきます。少ない金額であっても若いうちからコツコツと長期を見据えた資産形成をしていくことが豊かな将来へとつながるでしょう。

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