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「恥ずかしくもあり」― 兜町カタリスト櫻井英明のここだけの株話

「恥ずかしくもあり」

地方の投資家さんからメールを頂戴しました。

(以下、投資家さんからのコメント)
「ストックボイス10周年記念のオンデマンド 拝見しました。
櫻井さんは、市場関係者は結果しか言わないとコメント。
未来予想を立てることが大切であると言っていました。
天気予報も昨日や今日の結果より、週間天気予報。
夏休みの旅行があるならその時の予報が知りたいはず」

わずかな時間に散りばめたメッセージをキチンと咀嚼(そしゃく)してくれた投資家さんがいてくれたようです。
別の投資家さんからのコメント。

(以下、投資家さんからのコメント)
「上がるかもしれないけど、下がるかもしれないという意見を聞いて何の役にも立たないでしょ。
と、ストックボイス10周年座談会での櫻井さんのコメント。
まさにその通りです。
投資家が聞きたいのは、経験豊かな市場関係者様がどのように今後の相場を考えてらっしゃるかです。
8月、9月で日経平均株価がいくらになるかというシナリオ。
『間違ったら、その時もう一回考える』。
櫻井さんも聴いている自分も真顔。
しかし、会場からはドッと笑いが。
笑うべきところではない。
もしかして、なんて無責任なんだと思われたのかも知れません。
しかし、自分で描いた旗印を掲げ戦いを検証し、何かを得て戦況に応じて柔軟に策を変えるのが、投資家のあるべき姿。
旗印を掲げないで戦えと言う指揮官(市場関係者)、投資家の方がよっぽど無責任。
そんな戦い方では見えて来るものも見えて来ません。
失礼ですが、笑っているうちはまだまだレベルが低いです。
『勉強はいらない。
株式市場では勉強が邪魔になっている。
それよりも感性を磨く。
情緒に流されずに数字を追いかけることが大事』と櫻井さんのコメント」。

過分の反応をしていただいたようで、気恥ずかしいものでもあります。

「覚悟」

相場師という訳ではないかも知れません、すでに古希を越えられていた元歩合外務員氏とのリーマンショック直後の会話。
清水一行氏の「小説兜町(シマ)」の主人公の老後を彷彿とさせるような老師。
江東区森下のサクラ鍋をつつきながら、静かに緊張しながらお話を伺った記憶が甦ります。
本当に静かに、そして淡々とした語り口が過去の活躍を教えてくれるような姿。
でも、子供のような筆者に対しても敬語を使われて不思議な光景でした。
「株価は不思議なもので、どんな悪材料が出ても下がらなくなるし、どんなに好材料満載でも上がらなくなります」。
ただ「今はまだそういう局面ではないように見えます」。

引用されたのは中国の「菜根譚(さいこんたん)」。
「本当は違う意味ですが・・・」として、「実は金儲けの極意は、鷹の立つこと睡るがごとし、虎の行くこと病むに似たり、なんです」。

「鷹でさえ睡るふりをして獲物を呼び寄せます。
虎が牙を向いていたら獲物は逃げ出しますから、ヨタヨタとして安心感を与えるような姿で獲物を狙うんです」と。
また「株価は上昇の前にしばらく居た場所にまた戻ってくる習性があります。
山の頂上からベースキャンプに降りてくる安心感のようなものでしょうか。

リーマンショックを経験した最近の日経平均株価で言えば、ベースキャンプは11,000円の水準だと思われますが、今回はあっさりとこれを抜けてしまいました」と。
元歩合外務員氏の経験則以上のものが起きている可能性は高いとも指摘。
ただ、最後に「気持ちは『我、出陣に憂いなし。日経平均株価8,000円を覚悟できるかどうかです』」とも。
時間が立って反芻してみると結構タメになる話というのは多いものです。
そして「陰極まれば陽」。
このリズムこそ体感しておきたいところです。

「見極めと様子見」

今東京株式市場が直面しているのは、矛盾するいくつかの方程式の解を求める作業。
成長と規律。
あるいは自由主義経済体制だけではない世界経済との相克。
常に一方が存在するテーマというのは政治経済だけでなく市場も一緒です。
そしてなかなか止揚できないのも現実です。
思い起こされるのは「見極め」と「様子見」の言葉。
「見極め」は株価のトレンドが明確でない、様子見モードの際に多用される言葉。
しかし、誰が見極めたいのかはっきりしないことが特徴です。
投資家が見極めたいのではなく、「見極めたい」と書いている記者が見極めたいだけということもしばしば散見されます。
もしも見極められることが可能ならば、株式投資で損などしない筈。
曖昧な言葉がさも現実感をともなって流通するからおかしくなるのでしょう。
「様子見」は市場取引に参加することなく、事の成り行きを見守ること。
模様眺めとも言われます。
参加できない理由は、先行きの明確な方向がつかめないこととされます。
株式市場の場合、どんなケースでも「明確に方向がつかめる」ことは稀。
直近に経済指標や決算発表が控えていると、それを待っての様子見モードとされることが多い。
またある意味、オーバーナイトをしない投資家も市場に参加してはいるものの毎晩「様子見」をしているとも考えられます。
結局、経済指標やイベントの予定がないと、それこそ為替の市場関係者などの多くはコメントが少なくなります。
そういう側面をもっているのが経済指標で、未来の市場動向にとってどの程度意味があるのか、考える必要があるのかもしれません。

 

櫻井 英明(さくらい えいめい)
ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長

日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。
幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。

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