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「定点観測」― 兜町カタリスト櫻井英明のここだけの株話

「定点観測」

毎年6月になると日本の南西の石垣島と北の札幌を訪れ始めて10年近くが経ちました。
ただ、毎年定点観測しているとその変化を感じることができます。
今年も沖縄・石垣→北海道・札幌と縦断してみて感じたのは、やはりインバウンドパワーの強さ。
石垣島の港近くに建設中の巨大なドンキホーテにも驚きましたが、先週末は札幌での夕食難民と化しました。
毎年利用している少し気の利いたお寿司屋さんとか焼肉屋さんは予約で一杯。
ススキノあたりのホルモン焼きまでそれこそ渋滞待ち。
この状態がハイシーズン一杯続くのならば、それはそれで景気寄与度はあるのでしょう。
しかし、「いつものあのお店に行けない」状態というのはどうなんでしょう。
外国人向けと国内利用向けとコンセプトを変えるのも難しいでしょうし、結構これから降りかかってくる問題かも知れません。
それはともかくとして、相場で重要なことの一つも定点観測です。
意外と面倒くさいことですが、これなくしては相場観はなかなか育成されないでしょう。
一見豪放磊落(ごうほうらいらく)に見えるギャンブラーのような投資家だってこれは行っているはずです。
かつての「仕手筋」と呼ばれた人たちだってきっとそうだったと思います。
小さなうねりから大きな動きの予兆を肌で感じることができる唯一の方法だと思います。
日足の動き、時間帯、移動平均線、一目均衡表の雲やボリンジャーバンドなどは機械的な観測。
そしてPERやPBR。
信用残や裁定残の動向。
日々の信用評価損益率だって見ておくこと。
見ることで肌が感じてくれることが可能になってくる気がします。
「アレ?」という違和感こそが重要なんです。
定点観測で追わない限り「アレ?」は感じられません
大げさな修辞で相場を表現したり、逆に「今日は何もない」と看過してはいけないということです。
大きな活字の見出しだけでなく、小さな活字の数字の羅列のなかにこそ真実と未来はあるもの。
多少の労苦を厭わずに、追いかけ続けること。
スポーツのプロだって日々道具に触れていないと第一線からは退かなければならないでしょう。
ちょっとしたルーティンワークこそが大きな変化を見つける土台。
そこに相場に対する敬虔さと謙虚さが加わればさらに良いのでしょう。
昔の相場師というのは大半が敬虔で謙虚だったような気がします。
沈黙寡黙こそ相場人の真骨頂でもあったということ。
「騒ぐ鳥は餌を見つけられない」なんて格言はありませんが騒がず踊らず淡々と数字を追う姿勢。
これは難しいですが必要なことだったのが歴史。

「ルールは常に変化する」

「まだはもうなり、もうはまだなり」という有名な格言があります。
「株価がまだ下がる」と思っていると反転上昇することが多く、「もう天井だろう」と思っているとさらに上昇に拍車がかかるという例えです。
「叡山の僧と加茂(川)の流れ」みたいに相場は思うようには動かないという例です。
これは材料の取捨選択も一緒。
「太陽光発電関連が買われた」という翌日には、まったく関係のない「農業関連」銘柄が上昇するなど日常茶飯事です。
「いく川の流れは絶えずして」と一緒で市場の心理と材料は常に移ろうもの。
同じところにいると飽きられてしまいますし、次々と新しい材料や銘柄を求めてさまよう傾向にあります。
ですから、今日の材料はいつまでも続かないし、明日はまた別の材料が出てくるかも知れないと予測している方が賢明です。
ギリシャの財政危機だって浮いては消え、アメリカの財政の崖問題だって消えては巡ってきました。
東京だけでなく世界の市場を覆っているのがこの移ろいやすさなんです。
ただ、材料には消える材料と蒸し返される材料の二つがあるということには注意しましょう。
騒がれて3日目に登場するものや、2週間後に登場するもの。
あるいは3ヵ月後というものもあります。
そして2度目の浮上があった材料は結構長続きするのも経験則。
「且つ消え且つ巡りて」を反復する材料こそ、未来の変化の期待をふまえた材料と考えて良いでしょう。
ということは、外国人や機関投資家などが競っている高速度取引など取るに足らないもの。
付和雷同(ふわらいどう)してスピードを競うよりも、じっくりと品定めをする方が結果的には儲かりやすい筈です。
しばしば行われるルールの改定も曲者です。
特に、会計原則や取引ルールなど大体が欧米にとって有利な方向に改正されがちなもの。
バブルの時に先物を導入して売り浴びせたのも外資系証券会社でした。
要は磐石に見えるルールや規則というのは容易に変えられるもの。
従って、未来永劫同じ環境が続くわけではないということは肝に銘じておいたほうが良いのではないでしょうか。
相手の困るルールはすぐに変更され、自分にとって都合の良いルールもすぐに変更されることがあるもの。
そういう歴史をふまえておくことは重要です。

 

櫻井 英明(さくらい えいめい)
ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長

日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。
幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。

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