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元気なうちに片付けたい! 生前整理は親子の共同作業(後編)

(iStock by Getty Images)

実家の片付け、生前整理はモノが増えてしまう前から、また、親の判断力、体力ともにしっかりしているうちから始めると、苦労せずに済むことを前編でお伝えしました。とはいえ、すでに実家がモノであふれている場合も多々あります。でも安心してください。後編では、今すぐ始められる効率的で親にも納得してもらえる片付けの実践法をご紹介しましょう。

「仕分け」で見えてくる不用品と必需品

実家の片付けを挫折せずに成功させたいなら、まず肝心なのは、親子のコミュニケーションをしっかりとることです。マメに実家に通って親と会話を重ね、モノを貯め込んでしまった親の言い分もじっくり聞いてあげることが大切です。

親と一緒に片付けを進める際には、親を納得させる言葉かけがとても重要になってきます。「片付けろよ」といった高圧的な命令口調は絶対にNG。「片付けてみようよ」「一度やってダメなら戻すから、とりあえず出してみようよ」とやさしい口調にいい換えて、親子一緒の作業に誘うのが効果的です。

「捨てろ」「捨てる」は最大の禁句です。「ものを大切にしなさい」といわれ続けて育った親世代には、「捨てる」ではなく、「誰かに使ってもらおうよ」「これ私にちょうだい」などと人に使ってもらう提案を行うと、意外なほど素直に受け入れられるケースが多いのです。また、「床には何もない方がケガの心配がないよ」と親の体を気遣って片付けたいのだと、じっくり説明すると親も納得する可能性が高いといえます。

では、具体的にどう片付けていけばよいのでしょうか。もったいない精神が根付いている親世代には、「捨てる」ではなく、「仕分ける」発想で片付けを進めると作業がはかどります。まず、押入れなどに収納されている中身をすべて外に出します。次に、頻繁に「使うモノ」と1年以内には使わないと思われる「使わないモノ」。処分しても問題ない「処分品」に仕分けていきます。どこに分類してよいか迷っていると、そのたびに作業がストップしてしまうので、迷ったものをいったん保留できる「キープ品」置き場も作りましょう。

時にはプロの手を借りることも必要

この仕分けができたら、今度は日常的に「使うモノ」を、収納のなかに戻していきます。使用頻度の高いものを、立ったまま出し入れしやすい棚の位置に集中して置くようにすれば、収納の使い勝手も格段に向上するはずです。一方、「キープ品」と今すぐ「使わないモノ」は、中身をダンボール箱に入れ、邪魔にならない場所に保管しておきます。「キープ品」は半年間、「使わないモノ」は1年間保管して、「それでも利用していないなら処分を考えようね」と親の了解を取っておくと、半年後、1年後に中身を親子で見直したとき、処分することに同意してくれる確率が高まります。生前整理では、その場ですぐに処分の判断を迫らず、親の心理的な「逃げ場」を用意してあげることが不可欠です。

仕分けを行う際には、親のヘソクリにも注意してください。なぜなら、いざというときのために子どもたちに黙って貯めていた現金が古い菓子箱や書類のなかなどに紛れていて、間違って捨てられてしまうことが意外に多いからです。実家の片付けをしていたら、数百万円の現金が出てきたということも決して珍しくありません。

家族では対応できないほど、家のなかがモノであふれている状況ならば、生前・遺品整理の専門業者に片付けを依頼するという選択肢もあります。ただし、業者選びには注意が肝要です。以下の点をチェックしながら親身に対応してくれる専門業者を選ぶようにしましょう。

表 専門業者選びのチェックポイント!

☑ 見積もりに来た担当者の対応は依頼主の要望をくみとったものである。
☑ リサイクル店などではなく生前整理、遺品整理の専門業者である。
☑ 料金体系がウェブサイトなどで公開されている。
☑ 家庭の廃棄物を運搬する家庭系一般廃棄物収集運搬許可や古物商許可など必要な資格を保有している。
☑ ウェブサイトで代表者やスタッフの顔写真が公開されている。

また、ようやく片付いたスッキリ空間を、その後も保つためにも工夫が必要です。まずはモノを適量にとどめる習慣を付け、クローゼットなど収納のキャパシティは7割と決めて、その範囲内で服や日用品をやりくりしてみてください。

まだまだ先のことと考えずに、親のため自分のためにも今すぐ実家の片付けを始めてみませんか。

日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
礒部道生

日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(https://consult.nikkeibp.co.jp/financial-contents-lab/)は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

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