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豪州の最大貿易相手国は、もはや日本ではない! 中国と豪州の貿易蜜月関係

China
(写真=PIXTA)

 著しい経済の発展にともなって、中国で資源ニーズが高まり、資源豊富な豪州からの輸出が増えました。その結果、以前は豪州にとっての最大の貿易相手国は日本でしたが、2007年には中国になりました。

 2015年12月には、両国間の商品とサービスにおけるFTA(自由貿易協定)が発効しました。これで輸出の際にかかる関税が豪州からの輸出額の86%以上、中国からの輸出額では82%が撤廃されることになり、さらに貿易が盛んになることが予想されます。

 経済・産業ともに急成長を見せてきた中国と、密接な関係にある豪州との貿易事情を紹介します。

2国3脚? で駆け抜ける中国と豪州

 2014年から2015年にかけて、およそ1兆380億豪ドルもの商品が両国間で取引されました。この数字は豪州の対日本、韓国、アメリカ3国すべての額を合わせた数字をも上回ります。中国への輸出額が810億豪ドルと全体の29.5%、中国からの輸入額も570億豪ドルと全体の18.4%を占めています。

 豪州国内で販売されている中国からの輸入製品は、豪州国内で生産された商品のおよそ2.81倍となっています。ほとんどの分野でローカルプロダクツを大幅にしのぐ「中国製品に頼った」マーケットになっているのが実情です。特に衣料品は「Made in China」の文字が目立ちます。

 豪州でも特にビクトリア州は中国にとっての一番の相手先です。対ビクトリア州への輸出額は204億豪ドルを記録。過去4年で30%、およそ43億豪ドルの増加を示しました。

中国-豪州間での輸入・輸出事情

 豪州から中国への輸出品目で一番多いのが「自然資源」です。金属類で29%、鉄鋼石・燃料・潤滑油などが25%、コール・ブリケット(レンガの種)などが15%、天然ガス5%、食料品・動物14%、肉類5%、シリアル類4%、加工品6%、無鉄鋼素材4%、機械・車部品6%となっています。

 FTAが結ばれたことで、ほとんどの産業分野であらゆる製品・サービスが積極的に輸出されることになります。今後どのような商品が中国側に多く輸出されると予想されているのでしょうか。

 たとえば、豪州の食品は安全性の基準や品質の高さに定評があります。そんな背景を受けて、オージービーフなどをはじめとする食料・飲料品が増加傾向にあります。中でも粉ミルク、シーフード、フルーツ、麦類、加工食品、フルーツジュース、香辛料・調味料などは、今後さらに輸出額が増えることが期待されます。

 一方、中国から豪州への輸出はコンピューターや携帯電話などの機械類、工業製品、衣料品、靴などの繊維商品が多くを占めています。

 中国にとっても豪州は重要輸出国です。香港を筆頭に、メキシコ、カナダ、アメリカに続き大きな輸出相手国になっています。

サービス産業は好調 観光客や留学生で溢れる豪州

 モノの取引が盛んに行われているのと並行して、ヒトが主役のサービス産業も好調です。

 ツーリズム市場を覗いてみると、中国から豪州に訪れる短期観光客は全体の13%、また中国から豪州への留学生も全体の29%と驚異的な数字を見せています。しかしながら、中国ではツーリズム市場や留学などの教育市場は不調となっています。外国人の受け入れに、やや難色を示しているのが実情です。

 中国はe-Commerce(イーコマース)の分野で米国を追い越し、3億5,000万人に及ぶ世界ナンバーワンのネットショッピング利用者を抱えています。そのような中国の巨大な消費市場に支えられているのが豪州です。2019年の関税100%撤廃で、両国間の貿易速度はさらに加速していくことが考えられます。

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