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「毎年恒例・夏のスタジオジブリのアノマリー」― 兜町カタリスト櫻井英明のここだけの株話

「アノマリー」

スタジオジブリの作品が金曜ロードショーで放送されると、「円高株安」というアノマリー。
アノマリーだから根拠はありませんが、リーマンショック以降に結構流行しました。
最近ではあまり使われなくなったアノマリーでもありますが、今年もその季節がやってきました。

7月20日「時をかける少女」。
7月27日「バケモノの子」
日テレ金曜ロードショーの恒例、今年の「夏は、アニ金。」

第1弾は細田守監督作品SP。
そして8月10日「ハウルの動く城」。
8月17日「となりのトトロ」。
8月24日「猫の恩返し」。
恒例のスタジオジブリ3週連続特集です。
8月31日は「メアリと魔女の花」。
ジブリ都市伝説は最近、鳴りを潜めてきていますが、意味なく気にはなるものではあります。

最近読んだ、興味深く、面白かったある歴史書。
そのなかの陰謀論のパターン分析について。
(1)一般的に考えられている被害者と加害者の立場を逆転する手法
(2)結果から逆算をして、最も利益を得た者を真犯人として名指しする手法
(3)最終的な勝者が、すべてをコントロールしていたとする手法
加害者と被害者の逆転というのは、それこそ真実を隠すための勝者の方法。
そして、「最も利益を得たものを真犯人として指名」は市場でよくお目にかかる話。
最終的な勝者がすべてコントロールしていたというのも、市場が好む論法です。
確かにわかりやすい陰謀論には与したくなるのは人情でもあるでしょう。

しかし、「思惑的売買」なんて表現で市場展開を片付けられてしまうのも何か情けないというのが現実。
ヘッジファンドやCTFが絶対的に間違うことがなく、もしも市場の支配者であるなら、年間利益のマイナスなんてある訳はないでしょう。

市場変動はおそらく機関投資家にも、個人投資家にも、海外投資家にも、国内投資家にも平等に訪れている筈です。
そこから歪みを見つけられるかどうかが課題。
当然ながら、ここにスピード感や時間間隔などの能力差はあるでしょう。
しかし、事前から事後がわかっている投資家はいるはずがありません。
もし存在するとすれば、それこそ神と呼んでも良いのでしょうが、市場に神は存在していません。
トレードのスピードくらいは差が出ることはあるでしょう。
しかし、時間の推移と結果の予測は万人平等と考えるべきと考えています。
「パッと見たときに常識を覆す論には、知的興奮を伴う驚きがある。
それが陰謀論の怖さです」。
結構興味深い言葉です。

スタジオジブリ作品が放送されたから株が下落したのではありません。
リーマンショックの頃にたまたま放送されていることが気になったから「スタジオジブリ伝説」。
結果と原因が入れ違うと陰謀論になるというのはよく理解できそうな気がします。

「相場は怖い?」

「上がった下がった、滑った転んだ」。
結局、瞬時しか見ていないからそうなるのでしょう。
何の準備もしていないから「大丈夫?」の声。
相場は毎日あるのですから、当然上がる日もあれば下がる日もあります。
その勝負は結果で出るのですから、上がったことが喜びでない日もあります。
逆に下がった日が「シメシメ」と考えられる日もあります。
上がれば大丈夫、下がれば不安。
そもそも大多数は「大丈夫?」と、怖がるほど恐れてもいないでしょう。

経験と教養に裏打ちされた投資家さんは、老練に相場を見ているものです。
刹那的(せつなてき)恐怖や、瞬間的な熱狂に翻弄されたりはしない筈です。
逆説的ですが、「ハイアンドロー」の世界で育ってくるとなかなか老練さは磨かれないのかも知れません。
大袈裟な表現と、迎合的な恐怖感を盛り込んだ同情的表現には流されない方が良いでしょう。
「大丈夫?」という人は、その質問をした瞬間に「大丈夫?」なんて考えてはいないことが多いもの。
何も考えていないから「大丈夫?」なんて、安易な表現ができるのかも知れません。
熟練した達者さんの市場では通用しないように思えてきます。
株式市場は「買う人が多ければ上がる、売る人が多ければ下がる」。
そういう単純な論理で動いています。

しかし、それだけでは説明にならないので、鎧と槍のような要素を持ち出して解釈しようとする場所。
鎧と槍なら良いですが、身にまとったり装ったりするものが矛と盾だと矛盾することもあります。
その矛盾を消すために、視点が遠くなったり、見えなくなったり。
ところが、矛盾した理論でも時には理路整然として説得力もあり市場は騙されやすくなります。
持ち出す材料が大きくなればなるほど、見えにくくなる傾向も否定できません。
特に、海外の話に転嫁されると、一度は納得させられた気になるもの。

繰り返しますが、基本は売りと買いの需給の関係。
その清純で単純な要素が化粧した理論武装で汚されるから、見えなくなるのかも知れません。
体感リズムこそ本当の相場観。
この体感リズムが理解できなければ市場は遠い存在。
そして、とっても「怖い」場所になります。

櫻井 英明(さくらい えいめい)
ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長

日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。
幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。

 

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