【★基礎からわかる「テクニカル分析」入門10-1】
株価チャートには特徴的な形=パターンがあらわれることがあります。
この「パターン分析」も、テクニカル分析の手法の一つです。
パターンの種類を大きく2つに分けると、トレンドが大きく変わるときの「反転パターン」と、トレンドが変化せずにもみ合いとなる「継続パターン」があります。
今回は「三尊型天井」「ダブルボトム」という有名な反転パターンの見分けかたを覚えていきましょう。
「反転」か、「継続」かを見分けるシンプルな方法
そうはいっても実際の相場で、大底形成の「ダブルボトム」、中段もみ合いの「トライアングル」、天井形成の「ヘッド&ショルダーズトップ」を見分けることは難しいと思います。
しかし、「反転パターン」か「継続パターン」かを見分けるシンプルな方法がひとつあります。
それは、長期投資家の買いコストとされる200日線などの長期移動平均線を使う方法です。
一般に、「継続パターン」は、需給面において買い方と売り方が拮抗しているため、200日線近辺で推移します。
これに対して「反転パターン」は、ろうばい売りや投げ売りによる大底局面や、人気過熱相場や踏み上げ相場による天井局面など、200日線などの長期線から上下に大きくかい離していることが条件となります。
三尊型天井 = ヘッド&ショルダーズトップの形
三尊型天井(ヘッド&ショルダーズトップ)が出現すると、トレンド転換のサインです。
山が3つあるチャートの形が、ご本尊と脇に2体従えて並んでいる三尊仏のように見えることからこう呼ばれています。英語では3つの山を人間の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダーズトップ」といいます。ちょうど首の部分にあたるところは「ネックライン」と呼ばれ、下値支持線として意識されます。
三尊型天井のポイントは3つあります。
ポイント1
まず、ネックラインといわれるBやDの安値を結んだ下値支持線を維持しているうちは、上昇トレンド継続とみます。しかし、いったんネックラインを終値ベースで下回ると、AとCとEの高値で「ヘッド&ショルダーズトップ」が形成されます。
これで、相場は下落トレンドへ転換したとみなします。
ポイント2
天井圏では下値支持線だったネックラインは、自律反発の「揺り戻し」が起こった際には上値抵抗線となります。
ポイント3
そのあと下落相場となって、Bの安値からCの高値の上げ幅相当が、ネックラインから下方向に調整するとされています。
あくまでも、ネックラインを下回ることが「天井」の形成とされています。
とくに終値ベースでシグナルを確認することが賢明でしょう。
チャートから天井を見つける
「ヘッド&ショルダーズトップ」の実例を見てみましょう。
①反転のサイン
まず、200日線から上方かい離していること、ネックラインを終値ベースで下回ったことを確認します。これで「ヘッド&ショルダーズトップ」が形成され、下落トレンドへ転換したとみなします。
②戻り売りポイント
次に、Gはネックライン近辺までの「揺り戻し」です。
今回の例のようにネックラインを少し上回ることもありますが、戻り売り(※下げ相場での一時的な上昇で売りポジションをとること)の好機です。
③再び買うところの目安
さらに、Bの安値からCの高値までの上げ幅880円と同じ幅を、ネックラインから差し引いた価格を目標株価として計算します。この2570円付近を目安に買い戻しされると良いでしょう。
このように、ヘッド&ショルダーズトップでは、パターン化された動き、つまりフォーメーションのなかで、目標株価を推し量ることもできるので、ぜひ活用していただければと思います。
「三尊崩れは大相場」?
ヘッド&ショルダーズトップと出来高の関係も重要です。
一般的なヘッド&ショルダーズトップでは、左肩、頭、右肩と出来高は減少傾向となり、その後、終値がネックラインを下回って、ヘッド&ショルダーズトップが形成されます。
しかし、右肩を形成する際、仮に出来高が左肩よりも急増した場合、
「三尊崩れは大相場」といわれるように、高値更新となることもあるので出来高にも注視が必要です。
ダブルボトムの形
大底形成のサイン「ダブルボトム」のポイントも覚えましょう。
ここでもポイントは3つあります。
ポイント1
まず、ネックラインであるBの高値を終値ベースで上回ると、AとCの安値で「ダブルボトム」が形成されます。
これで、相場は上昇トレンドへ転換です。
ポイント2
底値圏では上値だったネックラインが、いったんの調整の「揺り戻し」の際には下値抵抗線となります。
ポイント3
そのあと上昇相場となって、Aの安値からBの高値の上げ幅相当が、ネックラインから上昇するとされています。
あくまでも、ネックラインを上回ることが「大底形成」とされています。
特に終値ベースでシグナルを確認することが賢明でしょう。
チャートから大底を見つける
「ダブルボトム」の実例を見てみましょう。
①反転のサイン
まず、200日線から下方かい離していること、ネックラインを終値ベースで上回ったことを確認します。これで「ダブルボトム」の完成で、上昇トレンドへ転換となります。
②押し目
次に、ネックライン近辺までの「揺り戻し」です。ここは押し目の好機です。
③売りポイント
さらに、値幅計算でAの安値からBの高値までの上げ幅295円を、ネックラインに足して、目標株価3820円を計算しておきます。この水準付近を目安に売却されると良いでしょう。
このように、ダブルボトムでは、パターン化された動き、つまりフォーメーションのなかで、目標株価を推し量ることもできるので、ぜひ活用していただければと思います。
>>次のレッスン「トレンド継続のパターン『三角もちあい』を理解しよう」
>>【連載】これからの相場をテクニカル視点で読む! 中村克彦のテクニカルコラム
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