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第3回 30代、40代の悩みを解決 住まいと教育にいくらかかるの?

【第3回】
住居費と教育費は人生のなかでも大きなお金がかかる費目です。それだけに、正しいポイントを押さえて資金プランに取り組めば、お金の面で大ケガをすることなく人生100年時代を歩んでいけるはず。マイホーム資金計画や家計運営アドバイスに定評のあるファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんにお聞きします。この回では、住まいに関して30代、40代の方が多く悩まれる、「持ち家or賃貸」について考察します。

持ち家と賃貸、損得で選ぶのは難しい

30代、40代になると、今後住まいをどうしたらいいのか悩むものです。そのときに気になるのが持ち家と賃貸のどちらが“得”なのかということ。「ですが、持ち家と賃貸の損得を示すシミュレーションには、あまり意味はありません」と深田さん。「というのは、購入する物件の価格帯や固定資産税、賃貸の家賃や引っ越しの頻度などの条件設定次第で、結果はどちらにもなるからです」。

では、何を判断材料にすればいいのでしょうか。「購入と賃貸にはそれぞれメリットとデメリットがあるので比較検討し(図表1)、どちらのメリットを優先するかで結論を出すのが一つの方法です」。

図表1 持ち家と賃貸のメリット・デメリット

※ ファイナンシャルプランナー深田晶恵さんのお話をもとに作成。

持ち家は「老後の安心」、賃貸は「フレキシビリティ」がメリット

持ち家のメリット・デメリットからみていきましょう。「いろいろ列挙しましたが、持ち家の最大のメリットは『老後の安心』です。老後までに住宅ローンを完済していれば、年金生活に入ってからの住居費は大幅に減らせます。現役中の住宅ローン返済は、いわば老後の家賃の前払いということになります」。一方、デメリットはライフスタイルの変化や、災害、ご近所トラブルなどの不測の事態に柔軟に対処しにくいことです。

もう一方の賃貸のメリット・デメリットはどうでしょう。「賃貸の最大のメリットは、一言でいうとフレキシビリティ。ライフスタイルの変化や不測の事態があった場合に転居しやすい点です」。しかし、老後も賃貸生活を続けるには、年金生活に入っても家賃を払い続けられるように、家賃分を上乗せして老後資金を準備しなければなりません。これは大きなデメリットです。「購入のメリット・デメリットと賃貸のメリット・デメリットは表裏一体の関係にあるのです」。

年金生活で家賃を支払うのは厳しい

30代、40代だと年金生活に現実感を持つのが難しいかもしれませんが、住居購入のメリットである「老後の安心」には大きな効果があると深田さんは指摘します。「現状の年金制度で試算すると、老後の年金額は夫婦で年間280万円が目安。ただし、額面上の金額なので手取りは約250万~260万円ぐらいです。この場合、冠婚葬祭費や家電の買い替えなど年に数回不定期にかかる特別支出を考慮すると、1ヵ月に使えるお金は約16万~17万円程度。家賃を月10万円と仮定すると、残りの6万~7万円で食費や水道光熱費といった生活費をやりくりしないといけないことになります」。

※ 金額は厚生労働省発表の夫婦2人分の標準的な年金額などを参考に深田さんが試算。

老後も家賃を支払い続けることになると、家計はかなり厳しい状況に追い込まれそうです。「老後も賃貸生活を続けられるのは、家賃分を上乗せした老後資金を貯められる人。例えば、現役中に共働きで水準以上の収入があり、しかも家計管理がきちんとできていて、年間100万~200万円以上の貯蓄がコンスタントにできているケースなどに限られるでしょう」。

購入するなら身の丈にあった物件を

老後の安心確保のために、仮に購入することに決めたとしましょう。「その場合、身の丈に合った物件の購入が前提条件となります」。今は超低金利のため、返済期間を最長の35年に設定すると、身の丈を超えるような高額な住宅ローンも組めてしまいます。例えば、35歳で4000万円のローンを変動金利(0.675%)、35年返済で借りたとします。月々の返済額は約10万7000円になります。

「月10万円程度の返済額は一般的で、家賃並みというイメージ。一見、無理なく返せそうですが、問題は完済時の年齢です」。35歳で35年返済となると、完済時には70歳になっています。「現状の年金制度では受給開始年齢が65歳なので、年金生活に入ってからも5年間もローン返済が続くことになります。年金生活に入ってからの家賃の支払いが難しいように、ローンの支払いも難しいといえます」。

したがって、本当に老後の安心を確保するには、年金生活に入る前に完済できるローンを組むこと。「それには返済期間を『65歳 − 借入時の自分の年齢』までにするのがポイントです」。現在35歳の人なら、65歳 − 35歳 = 30年以内で返済期間を設定することになります。金利の種類は将来の金利上昇リスクを軽減するために、「全期間固定金利」か「10年固定金利」を選択しましょう。「この条件でローンのシミュレーションをしてもらってください。無理な返済額になったら身の丈にあっていない価格の物件だというシグナルになるので、無理のない返済額に収まるよう物件価格の予算を下げましょう」。

また、当初の完済年齢は65歳でも、できれば60歳完済を目指しましょう。ローンの完済年齢を65歳とし、毎月の返済額が10万円程度だとすると、現状の一般的な定年の年齢である60歳時点でのローン残高は600万円前後になります。「このぐらいのローン残高なら、現役中に繰り上げ返済をしたり、定年時に退職金の一部を充当したりすることで、60歳時点で完済することも難しくはなく、その後は住居費の負担が一気に軽くなります」。なお、マイホームの購入時には、諸経費とは別に物件価格の1~2割の頭金を準備しましょう。「全額ローンはNGです」。

図表1 身の丈にあった住宅ローンを組むポイント

●返済期間 「65歳 − 借入時の自分の年齢」で設定
●金利種類 全期間固定金利 または 10年固定金利
●自己資金  諸経費 + 物件価格の1~2割相当の頭金を準備

子どもを持つ予定の共働き夫婦の注意点は?

共働き夫婦がマイホームを購入する場合、注意したいのが子どもの保育園入園。マイホーム購入の前に子どもが保育園に入園すると、問題が発生すると深田さんは指摘します。「特に首都圏では入園事情が厳しいため、やっと入れた保育園の権利を手放せない=保育園に通える範囲でマイホームを購入することになり、選択肢が非常に狭くなってしまいます。“保育園縛り”とでも呼ぶべき状況に追い込まれるのです」。

共働き夫婦は通勤しやすさを優先し、物件価格が高いエリアに住んでいるケースもよくあるため、マイホームも高額な物件を買わざるを得なくなる場合が少なくないでしょう。「保育園縛りを避けるには、子どもはこれからという夫婦だったら、夫婦2人での賃貸の住まいも子育てがしやすそうなエリアから選び、そこでマイホームを購入するといいでしょう。郊外であっても、駅近の物件を選べば通勤の利便性はある程度確保できると思います。すでに子どもが保育園に入園している場合、どうしても現在住んでいるエリアで購入したいのであれば、物件価格を下げるために中古物件も選択肢に含めることをお勧めします」。

現状は共働きでも、子どもが生まれると状況によっては妻が働けなくなるケースもあります。「それも考えあわせたうえでの無理のないローンを組みましょう」。

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日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
ライター 萬 真知子

日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(https://consult.nikkeibp.co.jp/financial-contents-lab/)は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

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