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第2回 人生100年時代の賢いお金とのつきあい方

【第2回】
人生100年時代のマネープラン。第1回で30代・40代がまず取り組みたいこととして家計管理をあげました。第2回では家計管理のポイントを、ファイナンシャルプランナー深野康彦さんに教えてもらいます。

“プチ決算”でみえてくる、家計の傾向を把握する

30代・40代を家族構成で分けると、シングル、共働き世帯、専業主婦世帯の3つのケースに大別できます。「どのケースでもやってほしいのが家計の実態把握です。それには年に1回、会社の決算と同じような“わが家のプチ決算”を行い、改善点がないか確認しましょう」(深野さん)。

年単位で家計を把握すると、ボーナスの収支も含めた全体像がみえるので、月単位の管理だけではわからなかった問題点も浮かび上がってきます。「また、共働き世帯の場合、お互いのお金の使い方に干渉しないというカップルも少なくないのですが、蓋を開けてみると実はどちらも貯蓄していなかったというケースも見受けられます。一つ屋根の下では必ず情報公開。これを機にお互いの収支をつまびらかにして、計画的な家計に生まれ変えましょう」。

プチ決算の手順は下表のとおり。まず年間の手取額と年間の貯蓄額を計算します。年間の手取額は給与所得者の場合、源泉徴収票からわかります。年間の貯蓄額は、定期的に貯蓄をしている場合にはその年額を、余った金額を貯めているという場合には預金通帳などをもとに年末の残高から年始の残高を差し引くと、1年間に貯まった金額が出ます。

図表3 “プチ決算”の手順

年間の手取り額から貯蓄額を差し引くと年間の支出総額が計算できます。支出の内訳については、水道光熱費や家賃、住宅ローン、保険料など銀行引き落としやクレジットカード引き落としになっている費目については調べればわかるはずです。食費や日用品費など主に現金で支出している費目については、家計簿などをつけていないとよくわからないものですし、何に使っているかわからない使途不明金もあるかもしれません。

「それらを把握するために、面倒かもしれませんが3ヵ月程度家計簿をつけてみることをお勧めします。つけかたは、手書きでもアプリでも構いません」。

予算立て+給与天引きで貯まる家計に

こうしてプチ決算ができたら、今の年間貯蓄額のペースで、今後のライフプランが目的の時期に達成できるのか考えてみましょう。

「難しい場合には家計を見直して、使い過ぎの費目を削るなどします。そして、必要な貯蓄額が確実に捻出できるように、今後は食費にいくら、水道光熱費にいくらといったように、家計を予算立てして管理するようにします。ただし、無理な予算にしないように注意してください」。

計画的に目的の資産を保有するには、先取り貯蓄の仕組みを作ることがポイントになります。「勤務先に給与天引きの財形貯蓄や社内預金があれば利用しましょう。それらの制度がない場合には給与振込口座のある銀行で自動積立定期預金が活用できます。普通預金口座から自動積立定期預金口座への振替日を、給料日の翌営業日などに指定しておくと、給与天引きと同じ感覚で貯められます」。

すでに100万円以上の貯蓄がある場合には、積立投資も選択肢になります。

人生100年時代はバランス感覚が大事

予算立てして先取り貯蓄をすれば、お金は貯まっていきます。「もう一つ上手に家計管理をするうえで知っておいてほしいのが、人生には貯めやすい時期と貯めにくい時期があるということ。30代・40代で貯めやすいといわれるのは『シングル時代』や『共働き世帯で子どもが生まれるまで』です。この時期は家計に余裕があるはずなので貯蓄のアクセルを踏み込みましょう」。

反対に貯めるのが難しいのは出産後。「子どもが生まれて妻が専業主婦になったり、共働きを続けても保育料がかかったりするためなかなか貯蓄が進みません。こういう時期には『赤字を出さなければよし』と割り切ることも必要です。無理に貯め続けようとすると、生活に潤いがなくなり、精神的に参ってしまうおそれがあるからです」。

先々への不安から資産を保有することを重視するあまり、お金を使うことに罪悪感を抱く30代・40代も少なくないと深野さんは続けます。

「100年時代の家計に最も必要なのはバランス感覚だと思います。お金は使うことも大事。例えば、子どもが小さいお宅なら家族旅行。思い出は人生を豊かにします。今しかできないことを楽しむ予算も取るように心がけましょう」。

転職や副業など働き方が多様化するなか、稼ぐ力をつけるためにスキルアップにお金をかけることも重要になってきそうです。「自分という人的資本を磨くことも投資の一つと考えましょう。長く働き続けるためにメンタル面も含めて健康に留意することも重要です」。

また、今は子育てなどで妻が専業主婦でも、家計の先行きを考えるならいずれ働くことを念頭に置いておいたほうがよさそうです。「妻も一定以上の給与所得者になれば将来厚生年金が受け取れるので、老後の生活設計も楽になります」。

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日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
ライター 萬 真知子

日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(https://consult.nikkeibp.co.jp/financial-contents-lab/)は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

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