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「自由奔放」― 兜町カタリスト櫻井英明のここだけの株話

「自由奔放」

月曜早朝に兜町の証券会館での「朝活」というのを開催しています。
通常のIRセミナーなどでもそうですが、最近思うのは「参加者が若くなってきた」ということ。
以前は老練で経験豊富な投資家さんが多かったのですが、最近はこの風景が変わってきました。
東京だけではなく、この数ヵ月で札幌、名古屋、富山などでもこの若返り現象が見られました。
300人くらいの参加者のセミナーで何回か聞いてみたのは「今年儲かった人?」。
必ず数名が挙手されます。
きっと遠慮して挙手されない方もおられるでしょうから、実数はもっと多いのかも知れません。
最近投資を初めたという女性投資家さんがおっしゃったことが記憶に残っています。
MX テレビの東京マーケットワイドで政府の資料とか紹介していただいているのをジックリ読んでいます。
そして、自分で銘柄を探して買ってみると、結構いい値動きをしてくれます」。
自分で考える投資家さんが増えてきたということなのでしょう。
別のある女性投資家さんに質問されたのは「どうもわからないんです」。
「先日、他のセミナーで聞いたんですが、設備投資はこれから拡大しないっていうんです。
でも、どうもそんな気がしなくて・・・」。
見方はいろいろあるのでしょうが、個人的にはIT投資の拡大に期待したいところ。
そして、「PERの高い銘柄しか人気化しないから低PERはダメですと言われました。
これも疑問なんですけど・・・」。
つまり、今人気化している銘柄だけを追いかけて、放置されている銘柄は追うなという内容だったのでしょう。
でも、半年とか1年の時間軸で考えれば、半年前に何の人気もなかった銘柄が2倍、3倍になっているケースは多いもの。
「設備投資は期待できない。銘柄は今が旬の銘柄を選びなさい」。
きっと、そんな講演だったのでしょう。
「割安株は買ってはいけない」というのは、一面「割安株は割安株ではない」に通じるもの。
間違ってはいないのかも知れませんが、投資は個人の自由というのが大前提。
そして、その自由さというのが市場にあふれてくれば、市場はきっと元気を取り戻すのでしょう。

「まさに個人投資家の相場。老後2,000万円不足問題から個人の反攻が始まった」という声も聞こえます。
2,000万円」問題が提起したことは結構大きいようです。
社会人向けに金融経済教育セミナーは大盛況。
とある証券会社ではiDeCo(イデコ)やNISAの申込件数は、報告書発表後に約2倍に増加との報道も。
「これまで、政府や金融業界がいくら貯蓄から資産形成へとキャンペーンを行っても投資や運用への理解はなかなか深まらなかった」という指摘もありました。
2,000万円をめぐる話題は、国民の関心を資産形成へと向かわせるきっかけとなったことは金融業界にとって追い風となった」。
過去何十年もバラ色の夢を語ってきた市場関係者にとっては、180度違った姿勢での投資家の増加。
将来への不安が、株式市場を再認識させてくれたという格好となりました。
「個人どこへ?閑散相場」という指摘もありました。
4-6月の個人の株式売買代金は49.8兆円。
前年同期比23%の減少。
20121012月の31.2兆円を下回ってきました。
背景には、ここ数年の大型IPOの不振との見方もあります。
しかし、NISAなどで「ほったらかし投資家」の増加という指摘。
銘柄の「縦追い」でも「横追い」でもなく、ほったらかし。
実は、これはアレコレ毎日考えるよりも一番いい投資法かも知れません。
「売りたい時まで放っておく」。
そして、「売りたい時が売り場。買いたい時が買い場」。
こういう自由奔放な投資戦略は、あれこれ迷ったり右往左往したりするよりも賢明に見えてきます。
「自説、感情、願望より現実が優先するのが相場。
相場の仕事は上がる、下がる、もみ合うという3つだけ。
大切なのは相場に対するリスペクト」。
深みのある言葉です。

「歴史」

金利というものが市場でネタになっています。
その金利。
カトリックでは禁じられていたという歴史があるというから面白いものです。
しかし、貨幣経済が広く浸透した13世紀頃から、実態としては金利が一般的に存在していたようです。
16世紀には宗教改革の指導者の一人であるジャン・カルヴァンが5%の利子を認めました。
イギリスでは1545年にヘンリー8世が10%以内の利子取得を認める法令を発布しました。
余談ですが・・・。
日本で初めて出来た貨幣「和同開珎」。
西暦708年からあったといいますから、その頃から金利も存在していたと考えられます。
鎌倉時代などを経て、江戸幕府の最初の頃は年率20%が上限金利でした。
元文元年(1736年)には15%に引き下げ。
天保13年(1842)の法令では法定利率が年率12%に引き下げられたといいます。
でも江戸時代はまた低い金利だったようにも思えます。
現在も適用されている利息制限法は明治10年(1877年)施行。
その頃の金利は最高日歩50銭、年率で換算すると182.5%というものでした。
1954年に利息制限法の改正と出資法が施行
これ以降も何度か上限金利の引き下げが行われ現在の上限金利20%に落ち着いたというのが歴史。
因みに、出資法改正による上限金利の変遷。

上限金利 
1954 109.5%
1983 73%
1986 54.75%
1991 40%
2000 29.2%
2010  20%

金利の上限というのは法律で制限されているというのが現実です。
しかし、面白いことに金利の下限は法律で制限されていません。
だからマイナス金利が登場するのは法的には異常ではありません。
でも・・・。
法の世界では、金利のマイナスは影響を与えないと考えているのでしょうか。
因みに、高度経済成長時代の過去最高の普通預金の金利は1974年の3.0%
今の普通預金の金利は0.001%程度ですから、3000倍も違うということ。
定期預金で考えてみても、おおよそ500倍くらいは違います。
昔の金貸したちが得ていたのはプラスの金利。
しかし、法外な高さは禁じられていました。
ある意味で事実上略奪されてしまった金利も、実は「得ていた筈の財産」とすればすごい料率になるでしょう。
この議論は当然法的にされてはいません。
しかし、上も下も限界はあるというのが市場であることに間違いありません。

ところで・・・。
意外なところで世界史とか地理とかいうものが、市場観測では結構役立つことがあります。
例えば、アメリカとメキシコの問題。
今の境界線に壁を作るということが話題になりますが、もともとテキサスやカリフォリニアなど米中西部はメキシコだったのが歴史。
それを踏まえると移民が多いという現実も意外と納得できてしまいます。
歴史的には自分たちの国を移動するという行為と考えられなくもありません。
これが底流にもあるということに気が付かないと、事の本質には迫れないような気がします。
あるいは、中国という国。
ココは領土が広い代わりに接する国も多いです。
南を攻めれば北から攻められるという形は変えようがありません。
だから周囲を制圧するのは難しく、朝貢なんてことも行っていました。
しかし、貢物の何倍ものお返しをするのだから財政的には持ちませんでした。
あるいは、海洋戦略でインドシナなどへ出ようとしても、もともとは大陸国家。
なかなか勝てるものではなかったのでしょう。
この地理的位置というか、地政学というものは過去からも未来も変えようがないもの。
これらを踏まえて米中貿易摩擦問題なども考える必要があるでしょう。
国家戦略と地政学、あるいは大地の形状というのは、意外と凝視しておかなければならないものです。

 

櫻井 英明(さくらい えいめい)
ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長

日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、20087月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。
幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。

 

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