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米ドルは基軸通貨であり続けられる?【外国為替の基礎知識】

(元画像=vladwel/stock.adobe.com、 編集=お金のキャンパス編集部)

この記事は、みずほ証券YouTube公式チャンネルとのコラボ企画です。みずほ証券の鈴木さんが外国為替の基礎知識を解説する「みずほ為替塾」から、ポイントを要約してお届けします。(記事一覧はこちら)

今回のテーマ 米ドルは基軸通貨であり続けられる?

今回は、ドル/円が「ドル安円高」に向かう要因として挙げられる「アメリカ衰退説」から、米ドルは基軸通貨であり続けられるか?という点を鈴木さんが解説しています。

そもそも基軸通貨とは

鈴木さんは、基軸通貨に求められるのは「為替市場で中心的な役割を果たし、信認と利便性の高い」ことと言い、基軸通貨の条件として次の4つを挙げています。

 
 ✔︎ 信用と流動性が高い
 ✔︎ 政治や経済が強く安定
 ✔︎ 金融市場が発達
 ✔︎ これらを守る軍事力

 

通貨の力だけでなく発行元である国の力も条件に含まれています。基軸通貨は世界経済の中心的存在ですから、政治的にも軍事的にも強い力が求められるということでしょう。

鈴木さんは続けて、基軸通貨の必要性について説明しています。なぜ基軸通貨というものが必要になるのか、次の動画を通して基軸通貨の役割が理解できます。

鈴木さんの解説動画はこちら
「なぜ基軸通貨が生まれるのか」から再生が始まります。

米ドルの存在感

今回のテーマである「アメリカ衰退説」を考えるにあたって、経済力の指標を確認しています。4大通貨(米ドル、ユーロ、円、英ポンド)の発行国を含む、G7と中国の名目GDPの推移を解説しています。
次のグラフでは、近年中国が台頭している様子が見てとれます。中国の増加分を相殺するようにアメリカ、日本、ドイツ、イギリスの割合が減少していますが、アメリカは依然として高い割合を保っています。

出所:ブルームバーグよりみずほ証券作成

それでは、通貨としての存在感としてはどうでしょう。次のグラフは「世界の外国為替の取扱高に占める主要通貨の割合」です。上のグラフで分かる中国の台頭も、通貨の勢力には反映されていないようです。

 

出所:国際決済銀行(BIS)よりみずほ証券作成

鈴木さんはこのことから、基軸通貨として認められるには、その国の経済力だけではなく、通貨としての信用や流動性、そして利便性といった点で世界に認められていることが重要であると説明しています。

基軸通貨交代の可能性

基軸通貨の条件を踏まえて、鈴木さんは米ドル以外の通貨が基軸通貨になる可能性について解説しています。

米ドル以外の主要通貨である「ユーロ」「円」「英ポンド」と「人民元」について、基軸通貨としての資質を次のように評価しています。

 
 ✔︎ ユーロ:財政政策は統一されていないため不安定
 ✔︎ 円:長期成長性に欠け、軍事力を持ち合わせていない
 ✔︎ 英ポンド:EU離脱後の長期的な成長が不透明
 ✔︎ 人民元:政治制度が共産主義である規制が多い

これらの観点から、鈴木さんは現時点で米ドルに代わって基軸通貨となる通貨は見当たらないと考えています。可能性としては、中国が民主化し為替市場でも人民元の影響力が増すことなどが考えられますが、具体的な材料とは言えない状況です。

 

結論

「米ドルは基軸通貨であり続けられる?」というテーマについて、鈴木さんは「基軸通貨にふさわしいのば米ドル」であり「この状況はしばらく続く」と予想しています。

つまり「アメリカ衰退説」による「ドル安円高」はいまのところ見込めず、通貨戦略的に国際分散投資で最重要なのは米ドルである、と結んでいます。

 

鈴木さんの解説動画はこちら
「基軸通貨の地位」から再生が始まります。

 


シリーズ「外国為替の基礎知識」は本記事で終了です。(記事一覧はこちら)

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