みずほ証券 公式チャンネル 今月のマーケット動向は?
Home / お金のコラム / 信用取引で資産が1年間で〇倍に!なぜそうなったのか振り返ってみた。【第4回:経験から学んだ「My 絶対ルール」】

信用取引で資産が1年間で〇倍に!なぜそうなったのか振り返ってみた。【第4回:経験から学んだ「My 絶対ルール」】

この連載は、そろそろ老後のことも気になりだした一般の個人投資家 白鳥さん(60代前半男性・素顔はちょっとコアラに似ている)が2018年にスタートした信用取引を振り返るシリーズ「第3弾」です。いままでの体験記と合わせてお読みいただき、お楽しみください。

第1弾 「110万円からはじめるリアル投資の全記録。白鳥さんの信用取引体験日記」を読む
第2弾 性格も知識も異なる二人で、100万円を元手にネット信用取引に挑戦!を読む

信用取引によって、ここ1年間で資産を6倍に増やしたという白鳥さん。いったい、どのようなやり方でそのような成果を出すことができたのでしょうか?全4回で詳しく解説していただきます。

第1回 成果をもたらした投資スタイル「白鳥流・時間分散投資」とは?
第2回 この1年間でやったこと
第3回 データからみる成果検証
第4回 経験から学んだ「My 絶対ルール」

最終回となる第4回は、白鳥さんがここ1年間信用取引で学んだという、5つのルールを解説していただきます。

信用取引の「リスク」との付き合い方

今回の成果に繋がった理由には、連載の前半でお話ししたように、投資銘柄を特定のETFに絞ったこと、信用取引を駆使したこと、自分流の時間分散投資を行ったことなどがあげられると思いますが、一番大きい理由は、やはり1年間を通じての上昇相場に、今回の投資方法がピッタリとはまったことだと思っています。逆に、下げ相場となっていたら損切りを何度も繰り返したところで、別の投資方法が思いつくまで、投資はしばらくお休みとなっていたと思います。ラッキーだったといえばそれまでですが、今後の投資に向けて大切ないくつかの学習がありましたので最後にご紹介します。それは主に信用取引のリスクに関わるもので、私に投資を勧めてくれた方や、たまに投資に関して情報交換している友人と話しているなかで明らかになってきました。友人たちから「発想が白鳥らしい。理屈はわかるし、正しいとは思うけど、それを信じて貫くのは実際には難しい」と言われたことをまとめてみました。

信用取引のリスクに関する「My 絶対ルール」
投資額の大きさとリスクの大きさを考える
投資額の大きさとリターンの大きさを、わけて考える
損切りを躊躇すればするほど不利になる
期間利益目標をセットすると無理する場面が訪れる
リスクの想定と対応策を具体的に決めてから投資する

この5つのルールを「よくある考え方」と比べながら解説していきます。

①投資額の大きさとリスクの大きさを考える

例えば、損切りラインをマイナス2万円と決めて実行したとすると、投資額10万円なら8万円が手元に残り、100万円なら98万円が手元に残ります。損切りラインを決めておいてそれを守ることができれば、投資額を大きくしても、1回あたりの損失や取引合計額の損失額を一定の範囲に制御することができます。
ただし、損切りラインに到達するのは、10万円の場合は、例えば100円の株価がマイナス20円になったときで、100万円のときは100円の株価がマイナス2円になったときなので、到達するまでのスピードが全然違います。だから投資額が大きいときは、ちょっと目を離したすきにマイナスが大きくなっている可能性がありますので、注視しておく必要があります。ただ、投資額が大きいと怖いと感じる人が多いのは、10万円のときはマイナス2万円にしていた損切りラインを、100万円のときはマイナス20万円にするといったように、比例関係で捉えているからだと思います。

よくある考え方 投資額の大きさとリスクの大きさを比例させると、投資額を大きくするのに覚悟がいる。

コアラ流
投資額を大きくしても、損切りラインを決めておくことで、リスクを制御することができる。(ただし株価変動を注視しておく必要がある)

② 投資額の大きさとリターンの大きさを、わけて考える

利食いラインについても損切りラインと同じ考え方ができると思っています。例えば、3万円増やそうとしたとき、10万円の投資なら100円の株価が130円にならないと達成できませんが、100万円の投資なら100円の株価が103円になれば達成できます。しかし、一般的に、10万円のときはプラス3万円としていた利食いラインを、100万円のときは大きく(そのままプラス30万円に)しがちなのだろうと思います。こうしてしまうと、リスクを考慮すると達成する可能性は相対的に低くなります。プラス3万円なら到達していたが、プラス30万円には到達することなく、相場次第で結果、損切りラインで着地してしまうといったことはよくあるケースだと思います。
当然、投資額をいくら増やしても利食いラインを決めた1回当たりの利食い額は変わりません。そのかわりに、投資額100万円と10万円の例では、利食い額に達成するために必要な値上がり幅が1/10で済みます。言い換えれば、比較的小さな値上がりで利食いができる、利食いまでにかかる時間を短くすることができる、ということになります。
これは、元手よりも投資額を大きくすることによる信用取引の利点を、「利益の拡大」よりも「利食いにかかる時間の短縮」に求める考え方です。利食いにかかる時間を短縮することができれば、投資機会を増やすことができます。コツコツと利益を積み重ねる「白鳥流・時間分散投資」の基本スタンスは、この考え方の上に成り立っています。

よくある考え方 10万円で3万円の利益が目標なら、100万円で30万円の利益が目標になる。

コアラ流
投資額を大きくしても利食いラインは維持。利益の拡大よりも「投資機会」を重視。

③ 損切りを躊躇すればするほど不利になる

設定していた損切りラインを大きく超えてしまうことはどうしても起こります。この1年間は幸運なことに、ほとんど損切りをすることはありませんでしたが、投資を始めた頃から私はどうやら比較的躊躇せずに損切りができるようです。「損が拡大していくのを見るのが怖い」「待っていれば良い方向に動く気がまったくしない」という性格が、躊躇せずに損切りできる一番の理由だとは思いますが、実は、今回の投資方法では損切りを躊躇すること自体にあまり意味がないということが挙げられます。「第3回:データからみる成果検証」のなかでお話ししましたが、今回の投資方法では、リスクに対する心構えがきちんとできれば累積の投資額が大きいほど有利になると考えています。つまり、損切りを一度躊躇してしまうと累積の投資額はなかなか増えません。凍結期間といえるほど長期離脱になることも十分にあり得るので、そういう意味でも躊躇は不利をもたらすと考えられます。

よくある考え方 こんな大きな損切りはできない!凍結期間に突入。
(いつか好転することを期待しつつ)

コアラ流
損が拡大する可能性を抱え続けるのは、精神的に負担。しかも、凍結期間は投資機会の逸失。

④ 期間利益目標をセットすると無理する場面が訪れる

私の投資仲間には、一定期間の目標利益(例えば今月の目標)を決めて投資をしている人もいますが、私がセットするのは「損切りライン」と「利食いライン」だけで、「一定期間の目標利益」はセットしたことがありません。もちろん、資産形成は計画的にできるに越したことはありませんが、私にはできる気がしません。むしろ私の場合は、今月の目標利益を決めてしまうと、月末に「目標にあと少しだから、少し投資額を増やそう」や、「先週のマイナスを取り戻さないと今月の目標が達成できないから、利食いラインをあげよう」といった具合に、普段とは違う何らかの無理をすることになり、逆に傷口を広げる可能性が高くなる気がします。この考え方も、周りの人からすると私の特徴のようです。

よくある考え方 一定期間の利益目標をセットして、計画的な資産形成を目指す。

コアラ流
期間利益目標はセットしない。制御できるのはリスクで、リターンではない。

⑤ リスクの想定と対応策を具体的に決めてから投資する

投資を始めた頃、「どうしよう?」と思うことが何度もありました。その都度、起こる事象を理解していき、今でも知らないこと、経験していないことはたくさんあると思いますが、おおよその出来事は想定できるようになったと思っています。そうなると、事前に心の準備ができます。私にとってはこれが大きいです。例えば、株価が暴落するといった出来事も、想定さえしていればビックリすることもなく、対応策まで決めておけば冷静に対処できると思っています。対処が正しいかは別にして、差し当たり、ガッカリすることはあってもビックリすることはまずなくなります。この1年間の投資も、損切りラインもナンピン間隔もナンピン回数もあらかじめ決めて投資を始めるというやり方をしていますが、「株価がどうなったら何をするのか、その時の利益や損はいくらになるのか」を、すべて見通してから投資を開始しているのが特徴だと思います。友人と話した限りですが、損切りラインを決めたナンピン買いという考え方が私らしいそうです。

よくある考え方 購入した株が値下がり、しかし、今後の値上がりを予想してナンピン買い。さらに値下がりをした場合も、その場で対策を検討。

コアラ流
「何が起こったらどうするか」を具体的に決めてから投資。あらゆるパターンをあらかじめ想定しておくだけで、リスク対応力は格段にあがるはず。

あとがき

この1年間の信用取引の成果について、友人の力を借りながら評価をしてきましたが、特に、自分なりのリスクマネジメントの考え方が一歩前進したような気がします。ここに記載した内容は、すべての相場環境で通用するのかどうがかわりませんが、これからもさまざまな投資方法にチャレンジしながら、以上のような考え方にも磨きをかけていきたいと思っています。

信用取引のリアルな体験記をお届けするシリーズ第3弾「信用取引で資産が1年間で〇倍に!」はこれで終了です。今回は2020年2月から1年間の投資について白鳥さんに振り返っていただきました。この期間の上昇相場によって良好な資産形成ができただけでなく、白鳥さんとしては何よりも投資スタイルの形成について、学びの多い投資生活だったそうです。
今回の連載を通してお読みいただき、すでに信用取引をされている方、信用取引の経験はないけど興味をお持ちの方に、投資スタイルの探求について参考になれば幸いです。

第1回 成果をもたらした投資スタイル「白鳥流・時間分散投資」とは?
第2回 この1年間でやったこと
第3回 データからみる成果検証
第4回 経験から学んだ「My 絶対ルール」

【過去の「信用取引シリーズ」】
110万円からはじめるリアル投資の全記録。白鳥さんの信用取引体験日記~50代男性がお金と健康な身体を手に入れるまで~
性格も知識も異なる二人で、100万円を元手にネット信用取引に挑戦!