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業況判断は悪化も、大幅な下振れにはいたらず

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(写真=PIXTA)

 全国の企業動向を把握するために日本銀行は3、6、9、12月に企業短期経済観測調査、通称「日銀短観」を実施しています。調査方法としては全国の約1万社の企業を対象に、企業が自社の業況や経済環境の現状・先行きについてどうみているかといった判断に加え、企業収益や新卒採用者数、設備投資額などの値を集計しています。

 2016年3月の日銀短観では、企業の業況判断が悪化するとともに、収益計画は慎重であるということが明らかになりました。一方、設備投資計画は底堅いため当面の懸念はあるものの、現時点で企業マインドが大きく下振れるには至ってないことがわかります。

 今回の短観は日銀の経済・物価見通しに大きな修正を迫るものではないとみられます。しかし、円高の進行が続けば収益を圧迫するとともに、企業の景況感や将来の物価見通しが下振れるリスクが高まることになります。 

製造業を中心に業況判断が悪化

 日銀短観で発表される企業の景況感を集計して指数にしたものを「業況判断DI」といいます。日銀短観によると、大企業・製造業の業況判断DIは6(前回2015年12月調査比▲6ポイント)、大企業・非製造業の業況判断DIは22(同▲3ポイント)となりました。ともに前回の調査から悪化するとともに、市場の予想も下回る結果となりました。また、中堅企業や中小企業を含めた全規模・全産業の業況判断DIは7(同▲2ポイント)となり、先行きについても企業の業況判断は全体的に悪化しています。

 総じてみれば、非製造業よりも製造業の業況判断の悪化幅は大きく、海外経済の減速や円高の進行が企業の業況判断を慎重にさせた面が大きいとみられます。一方、非製造業では国内消費の低迷に加えて、インバウンド需要の増加ペースが鈍化していることが業況判断の悪化に影響しているとみられます。

挿入 図1

収益計画は昨年に比べて慎重であり、円高の影響に注意

 全規模・全産業の2016年度の収益計画をみると、売上高は前年度比±0.0%、経常利益は同▲2.2%、当期純利益は同▲0.4%となりました。

 期初段階の調査として比較すると、経常利益の計画は15年度の計画(同+0.6%)を下回っており、企業が利益見通しに対して慎重な様子がうかがえます。これは海外経済の減速や円高、内需低迷等の要因が影響しているとみられます。

 なお、大企業・製造業における16年度の想定為替レートは1ドル=117.46円となっており、現在の市場実勢からは大幅な円安水準となっています。

 現時点では収益計画が固まっていない企業が多いとみられています。そのため、ドル円レートが現状程度の水準で推移していく場合、計画が固まってくる次回6月調査で想定レートが円高方向にシフトする可能性があります。それに応じて利益計画が下方修正される点には留意が必要です。

設備投資に対するスタンスには底堅さ

 全規模・全産業における2016年度の設備投資計画(含む土地投資額)は前年度比▲4.8%となりました。計画が固まっていない3月調査時点で弱めの計画となることは例年通りであり、期初計画としての比較では、15年度(同▲5.0%)とおおむね同水準となりました。

 今後、計画が固まってくる6月調査での修正状況を確認する必要はあるものの、15年度の計画で下方修正の動きがみられなかったこともふまえると、企業の設備投資に対するスタンスが大きく慎重化した様子まではうかがえません。

挿入 図2

短観は日銀の見通しに修正を迫るものではないが、円高がリスクに

 このように、今回の日銀短観では業況判断が悪化したものの、水準としてはプラスの領域を維持しているほか、設備投資計画は底堅い結果となっています。当面の懸念はあるものの、現時点で企業マインドが大きく下振れるには至っていないと考えられ、日本銀行の経済・物価見通しに大きな修正を迫る内容とはいえないでしょう。

 しかし、足元にかけて円高が進行しており、こうした動きが継続すれば、収益を圧迫するとともに企業の景況感や将来の物価見通しが下振れるリスクが高まることになります。

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