
ビール職人が手塩にかけて造る高品質なビール
スーパーや飲食店などで、クラフトビールという商品をよく見かけるようになりました。クラフトビールとは、その名の通り、小規模な醸造所でビール職人があたかも「手工芸品(craft)」のように造っているビールのことです。
日本では1994年に酒税法が改正され、ビールの最低製造数量基準が2,000キロリットルから60キロリットルに緩和。これをきっかけに、全国各地に小規模なビール醸造会社が誕生し、一時的な「地ビール」ブームが起こりました。
クラフトビールは、この地ビールと同じものと認識されることが多いのですが、地ビールはブームが後退する過程で、町おこし目的で造られた品質のわりに価格が高いビールという負のイメージも持たれました。そこで近年では、ビール職人が手塩にかけて造り出す高品質なビールを特にクラフトビールと称し、差別化を図るようにもなっているようです。
一般のビールと異なる個性的な味わいが楽しめることで人気
クラフトビールは、一般のビールとは異なる製法で造られることで、かんきつ類など種類ごとに個性的な味わいを楽しめるのが特徴です。
実際、クラフトと銘打ってある商品を飲んでみると、一般のビールより見た目が濃く、味も強いアルコール度が感じられるなど、味や品質にこだわりを持つ消費者を中心に人気が高まっていることにも納得できます。
その分、価格は割高なのですが、ベルギービールの普及にみられるように、高品質かつ美味であればそれなりに高くてもよいと考えている人は増えていると思われます。
2017年2月に始まったプレミアムフライデーは、特別な時間にワンランク上の消費を楽しんでもらうことが目的の1つとなっていますが、クラフトビールはこうした“ちょっとぜいたくをしたい”時の需要に応える商品としても期待されるでしょう。
国内ビール大手も取り組みを強化
米国ではビール市場全体に占めるクラフトビールの比率が数量ベースですでに1割を超え、日本でも現在1%に満たない同シェアが2021年には3%程度と、徐々に拡大するとの見方があります。
こうしたなか、最近では国内ビール大手も数少ない成長分野としてクラフトビール市場に参戦。例えば、クラフトビール専門の子会社を設立したり、米国や日本の有力クラフトビールメーカーとの資本業務提携を行うなどの動きが出ています。
今後、ビール大手各社のクラフトビールへのさまざまな取り組みに注目する動きが出てくるかもしれません。
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