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インド・モディ政権の人気に陰り見られる中、州選挙は与党が一矢報いる 破産法成立で不良債権処理に弾み

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(写真=PIXTA)

・ 大型州議会選挙では政権に対する人気に陰りがみられていたが、与党インド人民党(BJP)が一矢報いる
・ 倒産・破産法が上院でも成立したため、銀行の不良債権問題の進展が見込まれる
・ 米利上げの前倒し観測が重しも、インドルピーは改革進展で相対的に底堅い展開となるとみている

州議会選挙では与党が一矢報いる

 インドでは4月から5月にかけて大型州議会選挙の投票が行われ、5/19に開票が行われました。5つの州のうち、国政与党のインド人民党(BJP)と同じく最大野党国民会議派(INR)が一騎打ちとなったアッサム州ではBJPが前回の5議席から躍進し、過半数近くまで増加しました。

 一方でINRは議席が約3分の1に減る惨敗となり、州与党の座を失いました。

 
【キャ】インド・モディ政権の人気に陰り見られる中、州選挙は与党が一矢報いる 破産法成立で不良債権処理に弾み-図1

 モディ政権は、政権発足以来進めてきた経済改革が企業や金持ち優遇との批判を受けたことや、BJP幹部によるイスラム教徒に対する宗教的な不寛容発言などもあって2015年2月のデリー首都圏、11月のビハール州議会選挙で敗北していました。つまり今回の勝利は、モディ政権に対する人気に陰りがみられていたなかで今回一矢報いた形と言えます。

 この結果をもたらした理由として考えられることは、モディ首相が16年2月に発表した16年度予算において、農民の所得倍増のため、農業生産用の灌漑(かんがい)設備の投資増加、農民向け信用の増加、健康保険プログラムの導入などの支援策を盛り込んだことなどがあります。

 今後は17年3月~5月ごろに5つの州議会が任期満了となります。うち、BJPは1州で与党、1州で最大野党、その他は少数野党となっており、州選挙における劣勢を挽回(ばんかい)するか注目されています。

少数与党の上院で破産法成立したことに高評価、不良債権の処理に弾み

 モディ政権は5月上旬に倒産・破産法を成立させました。これにより企業の破産処理を円滑にして銀行が不良債権の圧縮を行いやすくします。少数与党である上院でも成立に至ったことは評価されています。

 不良債権比率は要管理債権を含めると、国営銀行を中心に10%を超えています。政府は銀行に対する公的資金を漸次注入していますが改善が遅れています。今回の倒産・破産法成立が中期的に不良債権問題の進展に寄与するでしょう。

ルピーは米利上げ時期の前倒し観測などを受け上昇一服

 インドルピーは2016年2月末にかけて1ドル=68.7ルピー台までルピー安となったあと、4月初めにかけて66.2ルピー台まで上昇しました。これは、注目された16年度予算案では、懸念されていた公務員の給与引き上げの影響が限られ財政規律が維持されたことが要因と見られます。

 その後はグローバルなリスクオフや州議会選挙結果の見極めなどにより上値が重くなり、66ルピー台で推移、5/19には米追加利上げ時期の前倒し観測などを受け、一時67.2ルピー程度まで下落しました。

ルピーは相対的に底堅い展開も 2015年には外国からの直接投資が過去最高を更新

 今後のインドルピーは、新興国通貨のなかでは相対的に底堅く推移するとみています。

 理由として考えられることとして、

(1) モディ政権が州議会選挙で一矢報いたほか、2017年春前後の次回州議会選挙まで期間が空く
(2) 政府がトップダウンで決定できる事項などを中心に投資促進に向けた動きが続いている
(3) 銀行の不良債権問題が景気の重しとなっていますが、中央銀行の利下げや公的資金の注入、不良資産の切り離しスキーム(SPV)の導入、倒産・破産法の成立が寄与する
――などが挙げられます。

 加えて、日本などの外国に州首相が投資誘致のため積極的に訪問しており、インドに対する直接投資はこうした州を中心に2015年は過去最高を更新していることも注目されます。

 リスクとしては、米国の追加利上げ観測の前倒しにより投資家がよりリスクオフ(リスクの低い資産や投資対象に資金を移すこと)が続くことなどが挙げられます。

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