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米6月FOMCで利上げ実施なら一段安の可能性も

FOMC
(写真=PIXTA)

・ 年初来の上昇相場が一服、5月以降は下落局面に転じる
・ 商品市況の上昇頭打ちや、米利上げ観測再燃が重しに
・ 6月の米FOMCで利上げ実施なら、一段安となる可能性にも留意

新興国・資源国通貨は年初来の上昇が一服し、5月以降下落する展開に

 新興国・資源国通貨は5月以降、下落に転じる動きとなっています。中国経済の先行き懸念が和らぎ、原油等の商品市況が反発、アメリカの利上げ観測の後退による米ドル下落等から、年初来堅調に推移してきました。しかし、ここに来て商品市況の上昇が頭打ちとなってきていることや、足元の良好な米経済指標を受けて早期のアメリカの利上げ観測が再浮上していること等から上昇が一服して、相場の潮目が変わってきました。また、オーストラリアでは、インフレ指標の悪化を受けて豪州準備銀行(RBA)が追加利下げを実施したことで豪ドルが下落しました。さらに、トルコでは、ダウトオール首相の辞任で政局不安の強まったこともありトルコリラが下落しているので、個別の要因も相場の押し下げに影響してきています。

図1

米6月FOMCで利上げ実施なら、米ドル高から一段安の可能性にも留意が必要

 今後の新興国・資源国通貨は、商品市況の動向やアメリカの金融政策をにらんで円高や円安に振れやすい展開が想定されます。4月に行われたアメリカのFOMC議事要旨で、大半の参加者は6月の会合で利上げをすることが適切になる可能性があると指摘していた一方で、6月3日に発表された5月の雇用統計が弱い内容だったことから6月半ばに予定されているFOMCで利上げをするかどうかがにわかに注目されています。仮に利上げがアメリカで実施されれば、新興国・資源国通貨は対米ドルで一段安となる可能性があります。一方、原油価格は引き続き堅調に推移しているため、中国経済の見通しも落ち着いていますので、過剰にリスクが低い資産への投資が増えなければ、新興国・資源国通貨の調整も小幅な動きにとどまるでしょう。また、ブラジルではルセフ大統領の弾劾裁判開始で政権交代の可能性が一段と高まっていることがあり、引き続きレアルの下支え要因となり大きく下がらずに済むでしょう。

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