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超高速計算機として期待が高まる量子コンピュータ

(写真=The World in HDR/Shutterstock.com)

現在のコンピュータとまったく異なる作動原理で超高速計算

次世代の高速計算機といわれる「量子コンピュータ」が注目されています。量子コンピュータは、作動原理が現在のコンピュータとまったく異なり、原子や電子など、極めて小さな「量子」の世界で起こる物理現象を利用するものです。

現在のコンピュータは情報を0か1かで表現して1つずつ順番に計算します。これに対して、量子コンピュータは量子の世界の特殊な現象を利用し、0と1を重ね合わせてまとめて一度に計算。スーパーコンピュータ(スパコン)も大幅にしのぐ超高速計算が可能になると期待されています。

AI研究や新薬開発など活用が期待される分野は幅広い

高い計算能力を持つ量子コンピュータを使うことで、さまざまな製品開発やサービスの分野の発展に貢献することが期待されています。注目される活用例の1つとして、人工知能(AI)の研究への応用が挙げられます。AIの性能向上には膨大なデータを機械学習、つまりコンピュータ自身に学ばせることが必要ですが、量子コンピュータを使うことでこの機械学習が飛躍的に進むと考えられています。

また、創薬分野に利用すれば、多数の化学物質の機能を調べるシミュレーションが短時間で行え、新薬の開発スピードが速まるとみられています。そのほかにも、車のGPSのデータを収集して渋滞に巻き込まれない最適ルートを瞬時に探し出すことや、気候変動の解析、宇宙探査の計画、新素材の開発、投資銘柄のポートフォリオ作成をはじめ、幅広い分野で量子コンピュータの活用が期待されます。

短時間で計算が終わる量子コンピュータは、消費電力が現在のスパコンと比較してかなり小さくて済むとされています。さらに、膨大で複雑なデータ解析が必要なAIや自動運転などの普及が今後期待される一方、現在のコンピュータは半導体の性能などから近い将来、処理能力に限界が訪れるとの見方が根強くあります。このような点も、量子コンピュータが注目される背景といえるでしょう。

カナダのベンチャー企業が商用化、米大手IT企業なども開発を推進

量子コンピュータの開発や活用の動きでは、2011年にカナダのDウエーブ・システムズというベンチャー企業が世界で初めて同コンピュータを商用化しています。同社の製品は、膨大な数の可能性のなかから最適な組み合わせを選び出すといった限られた機能しかないのですが、それでも応用範囲は広く、すでに米国のNASAや軍事関連メーカーなどが採用。ドイツの自動車メーカーも車の流れをスムーズにする研究に使っています。

日本企業でも、Dウエーブ社の量子コンピュータを使い、検索履歴からインターネット利用者各人に適した広告配信や推奨商品を提示する精度を高めることを目指したり、車の最適ルートを瞬時に導き出して渋滞解消などにつなげる実証実験を始めようとする動きがあります。

一方、米大手IT企業のなかには、Dウエーブ社のものと異なる方式で汎用性が高いとされる量子コンピュータの開発・実用化に取り組むところがあります。今年11月には、日本の大手通信企業も光に情報を載せる独自の手法を採用した量子コンピュータを試作し、利用を無償公開すると発表しました。国内外の企業が開発や活用の動きを加速させるなか、今後、量子コンピュータは投資テーマとしてさらに注目を集める可能性があるでしょう。

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