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年末に株価はなぜ上がる? 「お金の流れ」を読んで上昇トレンドに乗ろう

今年もあとわずか!12月の<中村克彦のテクニカルコラム>

今、気になる相場の話題をみずほ証券の中村克彦さんにわかりやすく解説してもらうこのコラム。
2017年をしめくくる今回は、「年末にかけて株価が上がる」現象をとりまくお金の流れについて教えてもらいました!

12月相場は「掉尾の一振(とうびのいっしん)」を意識! 上げ平均5.2%、下げ平均4.8%

―― いつの間にかもう年末! 1年が本当に早すぎます…。
年末といえば大納会(年内最終取引日)にむけて株式市場が盛り上がるイメージがあります。でも、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?

日本株には年末にかけて上昇傾向となる「掉尾の一振」という相場格言があります。

これは、海外投資家の決算対策売りや個人投資家の損益通算売りなどにより株価が下押ししたあと、12月末にかけてファンドなどのお化粧買い(ドレッシング)による株価押し上げの状況が一因とされています。

―― ただの偶然というよりは、12月特有の事情があるから上がりやすいということなのですね。

ちなみに、東証再開以降(1949~2016年)の年末の日経平均株価の勝敗と上昇確率みると、やはり12月26日や28日は勝率70%を上回っています。ただ、大納会の勝率はまちまちです。

過去27年間(1990~2016年)における日経平均株価を振り返ると、12月相場は17勝10敗。年末高のイメージが強いですが、勝率はさほど高くないといえます。

27年間の12月の月間騰落率をみてみると、上げた年の平均上昇率は5.2%、下げた年の平均下落率は▲4.8%という結果になりました。これを2017年11月末値22724円に当てはめてみると、2017年12月の想定レンジは「21600~23900円台」が見込まれます。

―― 12月30日が土曜日なので今年の大納会は12月29日ですね。日本株はアノマリーで上がりやすいとはいっても、今年ははたしてどうなるのでしょうか?

ポイントは「海外マネーがどこに流れるか」。東証REIT指数に底入れの兆しも

世界のお金はぐるぐると、さまざまな国や資産に投資されて循環しています。
マクロな視点に立って、年末の日本株にマネーが向かうかどうかを考えてみましょう。

―― 具体的には、何に注目すればよいでしょうか。

2017年初めより下落基調を続けていたREIT市場に変化の兆しがうかがわれます。
11月の東証REIT指数は4ヵ月ぶりに反発。今春に金融庁が過度に分配金を支払う投信を指摘したことを機に毎月分配型投信の資金流出が続き、REIT市場全体を下押しました。

ただ、予想分配金利回りをみると、足元は4.3%台まで上昇。長期金利が低迷するなか、利回りの側面から投資妙味が高まっています。

―― たしかに日経平均株価と東証REIT指数を比べてみると、11月のはじめにお金の流れが変わっているようにもみえます。

投資部門別売買状況をみても、海外勢はJ-REITを2017年9~11月と3ヵ月連続で買い越しています。海外マネーは急騰した日本株を売り越す一方、利回り妙味の高さからJ-REITに向かいつつあります。


―― ということは、年末の日本株には海外マネーはあまり流れ込んでこないかもしれませんね。

市場全体のボリュームを表す東証1部売買代金は、2017年11月の1日当たりが3.2兆円台まで増大しました。ただ、例年12月の海外勢はクリスマス休暇にはいり、商いは細る傾向がみられます。

さらに2017年の日経平均株価はすでに年初来で約2割上昇しているだけに、年内の上値余地は限られるでしょう。国内勢の下値買いが期待されるものの、海外勢の上値追いは慎重にみておくことも必要です。一方、東証REIT指数は年初来で約1割下落しており、戻り余地が見込まれます。

仮に掉尾の一振がみられるなら、今年はREIT市場の可能性が高さそうです。

掉尾の一振(とうびのいっしん)
掉尾の一振(とうびのいっしん)とは、大納会に向けて株価が上昇する「年末に起きる株高」のことをいう。掉尾とは「物事が最後になって勢いの盛んになること」、一振とは「きっぱりととり払うこと」を意味することから、物事の最終局面で勢いを増すといったことが語源とされている。

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