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“主人公”の投資家になる ―兜町カタリスト櫻井英明のここだけの株話

こんにちは、兜町カタリスト・ストックVOICEキャスターの櫻井英明です。
40年近く株式市場の現場でその動きを眺めてきました。
そんな視点から株式市場で気がついたことや多少のウンチクをお伝えしていこうと考えています。よろしくお願いします。

「記憶」

1月の株式市場は、日経平均株価でみると月初3日で約1,085円上昇。月末6日で約1,025円下落。
一気に上放れた大発会は23,000円の壁を登りきってのロケットスタート。
「1年の計は発会にアリ。今年1年の強気相場を象徴する」という声も聞こえました。
89年以降、2017年まで1月相場は15勝14敗。
ただ今年の大発会よりも上昇幅が大きかった92年、96年の日経平均株価は年間で下落していますから微妙なアノマリー。
変動が大きいのも大発会の特徴。
89年以降、過去30年間で日経平均株価が1%以上変動したのは18回。
そのうち1%を超す上昇となったのは、今年の分を含めると13回となりました。
株式市場は記憶と推理の世界ですから、こう言った記録を頭に入れておくと良いでしょう。
毎日毎日動くのが株式市場ですから、どうしてもその流れに右往左往しがちになるもの。
でも、何も目印がないところでは動けないのも株式市場の特徴です。
「過去はこうだったから」というのは絶対的基準とはなりえませんが、少なくとも何かの目印にはなるはず。
だからアノマリーに注目するヒトも多いのでしょう。
最近では株式市場にAI(人工知能)が登場してきましたが、それでも「人間」が主役ですし「主人公」。
だからこそ、過去の記憶というのが結構意味を持ってくるように思えます。

「もうとまだ」

格言では「戌笑う」の2018年。
産業革命の流れはますます大きくなり、それを先取りした株式市場の成長も期待できる年。
気が付くか気が付かないかが大きなパフォーマンスの差をもたらす年かも知れません。
株は時間の積み重ね。
その貴重な時間が刻まれていくなかでの産業構造の変化こそがマーケットの主導役でしょう。
新常態とか新常識というのが意外とキーワード。
状況が新たな展開へと向かうような予感は誰しもが感じているに違いありません。
悲観一色だった市場はようやく温まり、悲観と楽観の同居状態となってきました。
津田梅子さんの言葉を引用した総理大臣の今年の年頭所感では、「未来は、変えることができる。 すべては、私たち日本人の志と熱意にかかっている。150年前の先人たちと同じように、未来は変えられると信じ、 行動を起こすことができるかどうかにかかっています」と、述べられ、結論は「実行の一年」でした。
とはいえ、「もう」と「まだ」の交錯は戌年も続くのでしょう。
「高きをば、せかず急がず待つは仁。向かうは勇、利乗せは智の徳。」(三猿金泉秘録)。
昔の格言はまるで出陣する武将のような勇ましさを秘めていたものですね。

「干支から」

干支と相場をもう少し深掘りしてみると・・・。
「戊(つちのえ)」は「土」の性質。
一方「戌(いぬ)」も「土」の性質。
「戊戌」は2つの「土」の組み合わせ。
同じ性質の組み合わせの解釈は「勢いが増す」と解釈されています。
そして「戊(つちのえ)」は「茂が語源で、草木が繁盛して盛大になること」。
「戌(いぬ)」は「切るという意味で、草木が枯死すること」。
枯れるという側面と、生い茂るという側面。
「一方が枯れて、一方が盛大になる」。
あるいは「この時期に枝や葉を切らなければいけない」。
大きな変化と胎動の時期と考えると結構株価が動く年になりそうな気配です。
この「繁盛と枯死」から想像した今年のキーワードは「拾う勇気と捨てる勇気」。
これは銘柄だけではなくシナリオや戦略に通じるでしょう。
「次元を変えた目標、次元を超えた戦略」がなければ、市場は枯れゆくのみ。
そうではなく、ワープすることが求められているのは、市場も証券マスコミも個人投資家の皆さんも機関投資家も一緒。
既成概念のその先に新たな展開はあると信じたいものです。
人真似でなく、独自の視点を磨くと少しは感動に出会えるのではないでしょうか。

驚きがあるからこそ株式市場は人とマネーを惹き付けてきました。
株式市場は確かに「欲望のぶつかりあいの場、欲望の血圧計」です。
それよりも投資家の皆さんが重要視されるのは「相場で常に主人公、主役であること」。
ココだけは変わらない心理でしょう。
相場には酷寒の日も酷暑の日もあります。
でも小春日和や春眠だって巡ってくるもの。
厳しい気候を嘆かず明るい日を待てば良いだけのこと。
この時間軸も必要でしょう。
「相場は変わり、世界が変わる」。
第5次産業革命だってその先触れは相場の世界からの初陣と考えて良い筈です。

研究開発型企業のトップと話していて面白いのは時間軸の差。
株式市場で面白そうな材料は先端的研究開発の世界ではすでに過去のこと。
IoTもロボットもあるいはAIも「もう面白くない」という答えが戻ってきます。
研究開発の世界が見据えているのは「その先の世界」。
この時差って意外と心地よく感じられることが多いもの。
もっとも相場は「適温」ですから、暖機運転の後でないと相場にはなりません。
早すぎても遅すぎてもいけないというのは鉄則でしょう。
でも、タイムマシンに乗ったように現実の研究開発の世界を眺めてみると、意外と楽しいのも事実。
生活が変わる、世界が変わる、そして相場も変わるものなのです。

「マグロ」

年末年始恒例のマグロ漁師のドキュメンタリー番組を見ていて思ったことが二つ。
一つは「漁師がマグロを選ぶのではなく、マグロが漁師の餌を選ぶ」。
主役は漁師ではなく、激闘のシナリオライターはマグロだということ。
株式市場でも投資家が銘柄を選ぶのではなく、実は急騰銘柄に選ばれた投資家になるかどうかという解釈が可能になります。
主客に関しての既成概念の交代です。
もうひとつはシケで漁に出られないときの漁師の行動。
トップ漁師は船の掃除にいそしみ、そうでない漁師は休みます。
いつも漁に出られないのは株式市場も一緒。
だったら漁に出ないときの行動は、銘柄研究や罫線比較に充てることが重要になるのかも知れません。
まさに「雲外蒼天」。
シケの中ではわかりませんが、雲の上は必ず晴れているものです。

 

櫻井 英明(さくらい えいめい)
ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長

日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。
幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。