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アメリカが深刻な人手不足!? 学校にたどり着けないスクールバス

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スクールバスがスクールにたどり着けない?

毎週土曜朝8時、自宅近所にあるスクールバスの停留所まで子どもたちを連れて行きます。ニューヨークの郊外、40分くらい走ったところにある日本語の補習校に向かう真っ黄色のスクールバスは、その日も遅れて到着しました。子どもたちが乗りこむ際、いつものように運転手にあいさつをしようと、自分もバスのステップに足をかけると、あれ?いつもの運転手さんではありません。体調でも崩したのかな、と思いながら、「Good morning, and have a safe trip ! (おはよう、安全運転で!)」と声をかけ、その数分後にバスは無事出発。近所に住む親たちも解散し、そこから数時間は親が待ちに待った自由時間です。

自分も家に戻り、20分ほどくつろいでいると、スマートフォンのチャット・アプリが忙しそうにメッセージを表示していることに気がつきました。よく見ると、同じバスに子どもを乗せている親のチャットルームがいつになく騒がしく、どうしたものかとチェックすると、スマートフォンを持ってバスに乗っている子どもの1人が親に「SOS」を発信したといいます。「このバス、学校に着かないかもしれない…」と。

さすがに目の前が真っ白になりました。チャットルームを通じ、他の親もみな動転しているのが伝わってきます。「これはどう対応するべきなのか?」「なにか事件に巻き込まれたのか?」「学校に連絡するべきか、バス会社に連絡するべきか、それとも警察?」「自分もクルマを出してバスを追いかけ、ニューヨーク警察に協力し、カーチェイスをした方が確実かも知れない」「いや、落ち着け。その子どものイタズラ、という可能性も否定できない」。さまざまな思いが頭をよぎります。

その後、スマートフォンを持たせている親がGPS機能を使い、バスの位置を確認すると・・・、どうやらバスの運転手が道に迷ったらしいのです。「スクールバスがスクールにたどり着けない、なんてことがあり得るのか?」、自分のなかで不安が怒りに変わっていくのがわかります。

可能な限り冷静な声で学校とバス会社に連絡すると、これまでのベテランの運転手が他社に引き抜かれ、新入りの運転手がルートの担当となったとのこと。聞けば運転手の雇用市場がホットで、運転手不足が深刻化。バス会社が苦労して雇っても、すぐに他社に引き抜かれてしまうので、まだ経験の浅い運転手に頼むしかないとのことです。結局、バスは20分遅れで学校に到着。後で子どもに聞いたら、「バスで草の上を走ったよ!」とのこと。いったいどこを走ったのか…。

雇用市場がタイトになりすぎるのも…

4月上旬に発表された3月の米雇用統計は、失業率が6ヵ月連続で4.1%となり、2000年以来の低水準が維持されていることが明らかになりました。景気が良くて人手不足、という話もわからない訳ではないのですが、スクールバスの運転手の経験が浅く、学校にたどり着けなくなるほど、雇用市場がタイトになるのもどうかと思います。

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