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「銘柄を知るには」― 兜町カタリスト櫻井英明のここだけの株話

「精通する」

銘柄アプローチというのは、ひとさまざま百人百様。
業績スクリーニング、テクニカル、需給、指標面などなど秘伝の秘宝は誰もが一つや二つは持っているものです。
しかし、そこにあるのは銘柄であって企業ではないような気がします。
先入観なく、予断なくピュアな心で銘柄を眺め尽くすというのは単純なこと。
でも、意外と強いアプローチになりそうです。
フィルターを通して選別した銘柄は、どうしても同じような傾向になりがち。
株価が下落したり、当期の業績が悪い銘柄は除外されがちです。
できるならば「その会社は誰が何をやっているのか、強みは何なのか」
そして「どこをめざしているのか」。
ここをトコトン考え尽くしてから、初めて罫線(チャート)を見るというような作業をするのも一考でしょう。
罫線が同じなら株価もそこから同じ動きをするという訳ではありません。
企業はグラフではありません。
無機質な罫線もたまには浮かび上がって、何かを訴えかけることもあります。
でもそれは滅多にあることではありません。
必要なのはピュアな視点と心眼なのでしょう。

株で儲ける秘訣は「実務に精通すること」。
数字や罫線は見ることが多いですが、その企業の実務は意外と見られないもの。
何をして、どこへ向かっているのか。
「何がコア事業で、社会が必要とし、未来展望が明確で、強い技術・営業力・経営者がいるかどうか」
ココがポイントということ。
世界が変わってきたのは、企業がけん引してきたから。
そして、企業の変化は生活も変化・進歩させてくれます。
だから投資家もそして経営者も、実務に精通することが必要なんです。
もっとも、実務に精通するためには、企業の努力も必要。
かつての名門企業も今では多くがカタカナやアルファベットの企業名となってしまっています。
あるセミナーの出席者300名に聞いてみました。
「●●●(アルファベット3文字の社名)を知っている人?」。
挙手はわずか5名。
「○○○○○〇(旧社名)を知っている人?」。
挙手は約40名。
考えてみれば、多くの企業名がカタカナやアルファベット。
だんだん企業が遠くなっているような気がします。

「過去に学ぶこと」

リーマンショック10周年。
最近「不確実性の時代」の著者、ガルブレイス教授の「大暴落1929」(日経BPクラシックス・2008年)を読み返してみました。

「一九二九年のウォール街に夏休みはなかった。投資信託が続々と設立されるのと歩調をそろえて、市場は過去最高の活況を呈するようになる。 (中略) 夏の間だけで株価はおしなべて二五%ほども上がったことを意味する。
 (中略) 
こういう時期の常として、投資家が望むのは、うるさい懐疑の声を黙らせ大丈夫だと何度も言ってもらうことだけだったからである。」
そして、「一九二九年の夏には、 (中略) 株の売買について物知りぶって話す人というのは昔からそこらにいたものだが、そういう人がいまや予言者扱いされるようになった。 (中略) 彼らが話すことは文字通り金言になった。 (中略) そもそもこの会社にはどんな価値があるのかさえ、先生も聴衆も知らないし、知らないということをどちらも知らない。」

改めて面白い文章が結構ありました。
そういえば、ある投資家さんとのこんな会話も今年の晩夏にありました。
最初の質問は「値上がりランキング上位に載る銘柄を事前にわかる方法はありませんか?」
意味がわかりませんでした。
真面目な顔で質問されて、こちらがビックリ。
そんなことは、タイムマシンでもできない限り誰が考えても無理なこと。
「売ったり買ったりしていたら1,000万円くらい損してしまいました。
やっぱり売ったり買ったりでなくジックリ持つべきですか?」。
「あなたには無理でしょう」と申し上げたら「そうなんです」。
「せいぜい5銘柄くらいを縦に追うのがいいと思いますが、これも無理でしょう」。
「その通りです。でも、株価が安くなったときに買うべきなんですね」。
「そんなことできますか?」
「いえ、無理だと思います」。
この投資家さんは何を求めて質問されてきたのかまったくわかりませんでした。
「株は売ったり買ったりして、日々の主役を追えばいいんですよ」。
そんな答えが欲しかったのでしょうか。

「理由の有無」

上場来高値を更新してきた銘柄、年初来高値を更新してきた銘柄。
チャートを見てみると、右肩上がりが継続しています。
「まだ上がる」と見るか、「もう限界」と見るかは人それぞれでしょう。
ただ、「高値は怖い」と考える人も多いはずです。
ここで考えたいのは「きちんとした理由がありそう」なのか「上昇の背景は不明」なのかの違い。
新製品の登場や外部環境の変化で業容が上向いているならば上場来高値もその先への一里塚。
そうでないならば「人気先行型の線香花火」の可能性があります。
覚えておきたいのは、高いには高いなりの理由があるということ。
そして「高値を更新しなければ株価は次の高値に進めない」という当たり前の事実。
得てして人は下落して値を下げた銘柄に宝物があると考えがちです。
でも下がるには下がるなりの理由があるもの。
格言に「下手なナンピン(買値より下落した株を買い増すこと)、素寒貧(すかんぴん)」というのがあります。
下がった株よりも上がった株に勝機は多いもの。
「高値恐怖症」は避けなければいけません。
加えれば「株式投資とは自分が買った株価よりも高い株価で買ってくれるシナリオを見つける技術」。
老練なシニアにとっては、ジックリ考える時間があるのはチャンスです。
そして、その右肩上がりの株価をどこで見切るかの方がきっと難しいでしょう。
欲しい欲しい思って買った株でも株価が上がってくると不安になってくるのが株式投資。
そんなときは「上がるならトコトン付き合って、下がり始めたら売る」という法則があります。
最初に売ろうと考えたときよりもおそらく高値で売れる可能性は高いでしょう。
参考までに年初来高安値が1,000銘柄を超えれば相場全体は反発・反落のタイミング。
これは滅多にありませんから年初来高値(または安値)が400~500になってきたら相場全体の反転タイミングと考えたいものです。
「形あるもの、動きあるものには訳がある」と覚えておきましょう。
そして、「買い難い相場は高い」です。

 

櫻井 英明(さくらい えいめい)
ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長

日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。
幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。

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