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不動産投資をしてみよう REIT投資はどうやるの?

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(写真=PIXTA)

 不動産は決して安い買い物ではありませんが、不動産の価格が上がっている時など、「買って運用してみたい」「不動産に投資したい」と思ったことがある人もいるでしょう。

 そこでビルやアパート、住宅など不動産の現物を直接買わずに、不動産に投資できる一つの手法として考えられるのが、「REIT」です。

 REITとは「不動産投資信託」のことです。投資信託協会によれば、「投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品」ということで、不動産を保有・運用する投資法人が発行する投資証券を所有することになります。上場株式、債券、投資信託の性格を持ち合わせる金融商品といえます。

REITは株式や投資信託とどう違うのか

 REITの特徴を考えるうえで、ほかの金融商品と簡単に比べてみましょう。

 まず株式との違いですが、REITの場合は一定の要件の下、法人税が課税されず、利益の90%超が投資家に分配されます。分配金(配当)利回りはJ-REIT平均で約3.3%と、東証一部加重平均の配当利回り2.0%と比較しても高い水準です(2016年5月末)。

 通常の投資信託とは違い、いつでも払い戻しや解約ができる訳ではありません。しかし取引所に上場しており、上場株式と同じように売買できる商品です。この点ではETFと同じです。

REITと不動産投資の違い

 アパート経営、ワンルームマンションなどの不動産投資は、多額の資金、売買・賃貸管理・税務申告の煩雑さ、すぐ売れない流動性の低さ、空室リスクなどハードルが高いといえます。これに対してREIT投資には以下の魅力があります。

・ 少額投資できる − 1銘柄約10万円~100万円から投資が可能(日本のREIT:J-REITの場合)
・ 流動性がある − 上場株式と同じように、少額の手数料で日々売買が可能
・ リスク分散できる − J-REIT各社は多数の不動産を保有しているため、テナント空室等のリスクが分散している
・ 運用・管理しなくていい − 運用・管理について、投資家は関与が不要

REIT投資のメリット・デメリット(リスク)

 REIT投資のメリットとしては、(1)株式と比較して価格変動が小さい(ディフェンシブ)、(2)分配金が安定しており利回りが高い、(3)インフレ時の価格上昇が見込める(インフレヘッジ)、(4)少額投資、高い流動性、リスク分散が可能――といった点があります。

 デメリットとしては、(1)成長株のような大幅な価格上昇は見込めない、(2)分配金は大きくは増加しない、(3)デフレ時の価格下落、分配金の減少リスクがある、(4)株式市場の影響を受けて価格が変動することもあり、場合によっては保有不動産の時価と比べて割安に取引される局面がある――といった点があります。

REITに投資する(1) 分配金利回り(イールド)で市況を把握

 J-REITに投資するか判断するうえで鍵となるのが、分配金利回りです。REITの利回り商品としての特性から、投資家はPERやPBRよりも、分配金利回り、または分配金利回りと長期金利の差(スプレッド)に着目しています。2016年5月時点の分配金利回りは3.3%と、歴史的に低水準、つまり割高な水準ともいえます。例えば、2016年5月現在の時価総額最大銘柄の分配金利回りは2.5%と、東証一部平均の2.0%に近い水準にあり、時価純資産に対して投資口価格は約5割上回っています。

REITに投資する(2) 初心者はETFから投資するのも得策

 どの銘柄に投資すればいいかわからない場合、東証REIT指数連動ETFへの投資という方法があります。現在、6銘柄が上場しており、少額投資が可能で、分配金もあります。

REITに投資する(3) 利回り、リスク要因に着目して銘柄を選ぶ

 上場54銘柄から選択するのは上級者向けではありますが、自分でポートフォリオを組めるという醍醐味があります。大切なのは、利回りの高さだけで選択しないことです。プロの機関投資家は、各銘柄の資産やテナント状況を精査しており、高い利回りは何らかのリスク要因を市場が織り込んでいる可能性があります。

 投資信託協会や不動産証券化協会、不動産投信情報ポータルをはじめ、REITに関する情報源となるWebサイトもチェックしながら、投資を考えてみるといいかもしれません。

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