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人づくり革命の柱、リカレント教育の推進に注目

(写真=PIXTA)

教育訓練給付を拡充へ

社会人が仕事に必要な知識や技術を学び直す「リカレント教育」の普及に向けた環境整備が進み出しています。リカレント教育の充実化は、安倍政権の看板政策「人づくり革命」の柱の1つ。2018年6月に政府の人生100年時代構想会議がまとめた「人づくり革命基本構想」では、リカレント教育に関してもさまざまな支援策が打ち出されました。

具体的には、雇用保険の被保険者などを対象に幅広い講座の費用を補助する「一般教育訓練給付」について、キャリアアップ効果の高い講座を受ける人への助成金の給付率を現行の学費などの2割から4割に倍増。専門的な資格の取得や知識を身に付けるのに必要な資金を支援する「専門実践教育訓練給付」(給付率は最大7割)についても、人工知能(AI)やビッグデータ解析といった高度なIT技能の習得講座や、専門職大学(19年度からの設置が予定されている実践的な職業教育を行う高等教育機関)課程など、給付対象を大幅に拡大します。

また、企業が長期の教育訓練休暇制度を導入し、社員がそれを取得して学び直した場合、企業に助成金を支給する施策も新たに行う方針です。そのほか、企業には実務家教員を育成して大学に送ったり、新卒中心の採用を改めたりすることなどを呼びかけ、大学にも産業界と協力した実践的な教育プログラムづくりを進めることなどを求めています。

セカンドキャリア形成の支援や先端IT人材の育成ねらう

政府がリカレント教育を強化するのは、日本が人口減少・超長寿社会を迎え、働く人の現役期間が延びていくことが見込まれるなか、各個人がセカンドキャリアを築き、社会で長く活躍するには新たな技能や知識を学び続けることが重要となるため。育児や介護でいったん離職した人の復帰を後押しするねらいもあります。

また、世界でIT分野の技術革新が急速に進展し、それに対応できる人材の育成が急務である点も、リカレント教育が重視される背景といえます。政府の人工知能技術戦略会議が2017年にまとめたAI技術に関する工程表では、AIやIoTなどに携わる先端的なIT人材が20年に4.7万人不足すると推計。文部科学省などが中心となり大学での人材教育強化を進めているものの需要に追い付いておらず、社会人が学び直して技術を身に付ければIT人材の即戦力になりやすいとみられています。

一方、日本の社会人の学び直しは他国に比べて少ないのが現状です。例えば、2015年時点での高等教育機関(4年制大学)への25歳以上の入学者比率は2.5%と、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の同16.6%を大幅に下回っています。

ミドル世代の学び直しの意識は高まる傾向に

従来は終身雇用を前提に企業が社員の教育訓練に力を入れていましたが、バブル経済が崩壊した1990年代以降はコスト削減の動きなどから手薄な状態となっています。厚生労働省によると、企業が負担する社員1人当たりの教育訓練費は91年の月額1,670円から漸減傾向となり、2016年は同1,112円とピークの3分の2に低迷。多くの企業は幅広い世代にではなく、新入社員をはじめ若手層を中心に教育訓練を行っているとみられます。

一方、最近では、人口減少・超高齢化で現役期間が長くなるとの見方のもと、キャリアの転機や定年退職が視野に入る40~50歳代のミドル世代が私的な学び直しでキャリアアップを目指す動きが増え始めているともいわれます。こうしたなか、国を挙げたリカレント教育強化の取り組みに注目が集まるでしょう。

「EdTech」でいつでも学べる環境を提供

リカレント教育が推進されれば、社会人向けに会計・法律分野から人手不足が深刻な介護・保育分野まで、各種資格取得講座を展開する企業への追い風になると期待されます。

また、社会人の学び直しで最大のネックとなるのは時間の捻出と考えられますが、近年では教育(Education)とテクノロジー(Technology)を融合させた「EdTech(エドテック)」と呼ばれる分野に参入し、スマートフォンやパソコン等からいつでもどこでも学べる環境を提供しようという企業の取り組みも増えており注目されます。

 

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