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「極意」― 兜町カタリスト櫻井英明のここだけの株話

「極意」

もしも相場に極意みたいなものがあるとすれば・・・。
それは「限界を知る」ということなのかも知れません。
200日移動平均からの45%かい離。
25日移動平均からの5%かい離。
あるいは、PER無限大とか、PBR1倍割れ。
信用評価損率がプラスとか、騰落レシオの60%割れ。
裁定買い残高が裁定売り残高と逆転。
紙芝居に表現された点が描く画像の位置などがその要素でもあります。
つまり、「山より大きなイノシシはいない」ということ。
換言すれば、「見えない影に怯えさせよう」というシナリオにまんまと乗って騒がないこと。
あるいは、「巨大な幻影に期待感を抱かせよう」というシナリオに踊らないこと。
そういう意味で「限界を知る」。
株を売りたい人は強気になり、株を買いたい人は弱気を吐く。
そんなパラドックスにまみれて「他利」の対極にあるのが相場。
相当性格が悪くなければ実行できないのかも知れません。

株は銘柄を知らないとやっていけません。
名前を聞いたこともない株を売買して買った負けたと騒いでも、後に残るのは単なるプラスマイナスだけ。
それでよしとするならば構いませんが、時間とお金を費やした結果に残るのがそれだけでは寂しいでしょう。
経験則という財産と知識と推理力という財産。
これこそが未来への資産として積みあがるような投資こそ望ましい筈。
企業は呼吸をしている存在。
罫線や決算短信は呼吸をしているとは思えません。
無機質さの中に光明を求めるよりは、ヒトの呼吸の産物である企業活動をウォッチすることが重要です。
企業の持つ無言の「訴えたいメッセージ」を聞くこと。
そして、昨日までではなく明日以降を推理すること。
この継続こそが株式投資の本質。
明けの明星を眺めながら今日の展開を読み、宵の明星を眺めながら今日の反省。
この反復も忘れてはいけません。
見えない事柄に驚いたり騒いだりしないことは、相場の永遠の真理。
敵の狙いの術中に嵌まり込んだ自縄自縛の世界では、敵の思うがまま。
シナリオを作るとすれば、そういう仕組みで挑んでくるのが敵のシナリオ。
(誰が敵なのかは微妙ですが・・・)。
目に見えたり耳に聞こえたりする材料ではなく、それを飲み込んでその先を類推すること。
これが大切です。
他人のシナリオに乗らないためには、予防するしかありません。
そして、理路整然とした相場観測で皆が一致したときに相場は反転するもの。
本来、相場は素直な心で対峙するべきもの。
お人よしでは相場に置いて行かれる可能性があります。
銭ゲバばかりの世界では強い意志と冷徹なマインドも求められます。
でも、最後の最後の究極の場面で役立つのはきっと「素直な気持ち」。
「人の声でなく相場の発する声を聞く」ことができれば、負けは少なくなるでしょう。
邪悪な悪魔の囁きになびかず、明確な目標と堅固な相場観を持つことこそ勝利への道。
相場に神様はいませんが、天使くらいはいるでしょう。
相場は罫線と数字だけでは成立しません。
個々の銘柄の息吹こそが明日の世界を暗示している筈です。
深い海の底にある相場の相手の心理を読むことも訓練していくべきでしょう。

「自分」

市場関係者に求められるのは「優先順位」と「情報発信」。
市場にちりばめられた材料に優先順位を付けないとそれは材料の羅列に過ぎません。
加えて取捨選択という行為も求められます。
全ての情報を採用すると消化不良を起こすもの。
肥満せず適度な健康と体力を維持するためには、取捨選択が必要でしょう。
その残した材料で優先順位をつけるということ。
そして、もう十年以上前から言っているのが「情報は発信しないと入ってこない」。
業界紙にいたときは特にそうでした。
こちらが発信するから向こうも発信してくれるという感覚は、なかなか理解できないかも知れません。
ただ、人情として「発信」している人の方が「受信」だけの人よりも情報は入ってきやすいもの。
その昔、血眼になって「何かいい話はない?」と、探し回っていた人もいました。
でも・・・。
言い換えれば、「参考になる自分シナリオ」を作り続けることが大切ということなのだと思います。

投資活動においては、他人のシナリオではなく自分のシナリオで動くことが必要です。
「株式投資は人気投票のようなもの」とか、「株式投資では多数派の意見に従う方が間違えにくい」などと言われます。
でも、本当にそうでしょうか。
みんなと同じにバブルで舞い上がり、みんなと一緒にリーマンショックで苦労した記憶はありませんか。
株式市場には「人の行く裏に道あり花の山」という有名な格言があります。
冷徹に未来を見通し、報道や他人の行動に左右されないためには、自分だけのシナリオを作ることが必要です。
そのためには、日々登場する出来事を自分自身で抽出し、自分のシナリオを創作で仕上げてみることも有効ではないでしょうか。
筆者は、ほぼ毎日、3つの事柄を取り上げて三題話のようなものを作っています。
その際、重要なのは曖昧模糊とした結論にしないこと。
自分だけのシナリオですから、できるだけ具体的そして明確な結論に導くこと。
そうすることで、見えにくかった事柄や騒がれている事実の裏側で静かに進展している事柄なども見えてくることがあります。
1日にたった5分でいいでしょうから、自分シナリオのための時間を持ってはいかがでしょうか。

「忘れかけていた業界用語」

★知らなかったのは「切手屋」。
商品相場業界の用語。
顧客の注文に向かわずに注文をすべて場にさらし、真面目に営業をする店。
大昔は、注文を場にさらさない(取引所に繋がない)というのは証券界でも良くあったらしいです。
きれいに言えば「ダークプール」とでも表現するのかも知れません。
意味合いは少し違いますが・・・。

★「ペロ」
証券会社内部で使う注文伝票の俗称。
注文を出すことを「ペロを切る」「ペロを出す」などと言っていました。
証券会社によって言い方は違うもの。
むしろ「青伝票(売り)」「赤伝票(買い)」の方がよく使っていましたが・・・。

★「どた」
取引所で値段を表すときに「端数がない」の意で金額に添えて用いる言葉。
ちょうど、という意味で使われます。
「100円どた」(=100円ぴったり)などというのが使用法。
今でも時折実況で出てきてしまいますが、理解している人は少ないでしょうから「ちょうど」と付け加えています。

 

櫻井 英明(さくらい えいめい)
ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長

日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。
幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。

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