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会社四季報の読み方

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(写真=PIXTA)

 株式投資に関心がある方なら『会社四季報』という書籍の存在はご存知でしょう。東洋経済新報社が年4回発行する、上場企業の業績や財務に関する情報がぎっしりと詰まった書籍です。

 1936年に創刊され、80年以上もの歴史があり、最近ではアプリも登場しています。

 特徴は、3,600社以上の上場企業すべてを、100人以上の業界担当記者で取材していることです。そして、企業がそれぞれ予想する業績見込みとは別に、会社四季報独自の業績予想を行っています。今回は株式投資のバイブル的存在である会社四季報の読み方を解説します。

会社四季報の掲載内容

会社四季報には多くの情報が掲載されていますが、大まかにまとめると以下のような内容が書かれています。

1. 企業名、特色……企業の名称や事業内容、決算月、いつ上場したか、連結事業内容など
2. 株価指標や株価……一株当たり利益に対して株価が何倍まで買われているかを表わす PER(株価収益率)という指標などにより、株価の水準を確認できる
3. 月足長期チャート……企業の株価チャート(月足)が3年半分掲載
4. 業績や最近の動向……企業の最近の業績や動向など。【最高益】や【大赤字】などさまざまな見出しがついている
5. 株主構成……保有割合の多い株主から順に掲載。創業者や役員が株を何割持っているのか、外国人の割合、浮動株、特定株の割合などの情報がここから読み取れる
6. 財務と財務指標……企業の総資産、資本金、利益剰余金などの財務データや、キャッシュフロー、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった総資産や自己資本に対して利益がどのくらいかという収益性をみる指標などを掲載
7. 資本に関する情報……株式増資や株式分割といった資本に関する情報。これまでの新株発行や株式分割状況を知ることができる
8. 配当情報……過去に企業が出した配当の金額。さらに独自の予想で、今年度と来年度の配当予想も掲載
9. 企業業績……企業の売上高、営業利益、経常利益、純利益、1株利益、1株配当等の業績に関することが記載。独自の予想で今後の業績予想も書かれている
10. 会社四季報予想比較(独自予想マーク)……企業情報の欄外に、会社四季報前号と最新号の営業利益を比較した矢印が書かれている。上向き、横向き、下向きの矢印で営業利益の増減を表している。顔の表情を模したマークで、企業予想の営業利益に対して会社四季報予想の営業利益が強気か弱気かを表している

使い方のコツ 〜独自予想と企業の予想の比較ほか

 会社四季報の本文は前半と後半で構成されており、前半は「企業の今後1年間の見通し」、後半に「中期の展望や新製品・今後の課題」などが書かれています。注目は前半の「見出し」です。

 例えばプラス・ポジティブなのか(絶好調、V字回復など)、中立か(下げ止まり、横ばいなど)、それともマイナス・ネガティブなのか(減収減益、大赤字など)を確認するだけでも、その企業の今を知ることができます。

 このほかにも、いくつか具体的な項目の見方を紹介しましょう。一例として【財務】の項に着目してみます。「総資産」とは会社の財産全体(株式などの有価証券、現金、製品、原材料など)を表します。【業績欄】に掲載されている「売上高・営業利益・経常利益」は、企業が商品やサービスを販売、提供する等の営業活動の結果や資金の調達・運用等の財務活動の結果が表されています。

 これらの資産を多く持っていたり、売り上げが多かったりする企業は、時価総額が必ずしも高いわけではなく、売り上げや資産の規模が小さい企業の時価総額のほうが高いこともあります。株式の時価総額は発行済み株式総数に株価を乗じて計算します。会社四季報には「業界別時価総額順位」も掲載されているので、あわせて参考にするとよいでしょう。

 【財務】にある「株主持分比率(%)」は、財務体質を見る基本的な指標のひとつです。株主持分とは自己資本とも呼ばれますが、基本的にこの値が高いほど財務体質が健全であると考えられますが、業種などによって水準が異なるため、同じ業界の他社、ライバル同士で比べてみてはいかがでしょうか。

四季報は独自の情報が満載

 株式に関する多くの情報が載っている会社四季報ですが、やはり大きな特徴は、100人を超える会社四季報記者による独自の業績予想・配当予想です。企業の業績予想が会社四季報に比べて控えめな場合は今後、対象企業の業績の上方修正が期待できるかもしれません。

 この独自の予想を参考に、自分が投資してみたいと思える銘柄を探してみてはいかがでしょうか。

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