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3年連続!今年も日本人がノーベル賞受賞

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(写真=PIXTA)

毎年10月になると発表されるノーベル賞。「オートファジー(自食作用)」という細胞内のたんぱく質を細胞自身が分解する仕組みを解明したことで大隅良典氏が2016年のノーベル生理学・医学賞を受賞し、日本から3年連続でノーベル章受賞者を輩出しました。

日本からノーベル賞受賞者が生まれると、特に受賞理由となった研究分野に注目が集まります。株式市場ではその年のノーベル賞受賞者の研究分野に関連した「ノーベル賞関連銘柄」といわれる銘柄に注目が集まり、にぎわっています。

ノーベル賞ってどんな賞?

さて、今一度、ノーベル賞についておさらいしてみましょう。

ご存知の方も多いかと思いますが、ノーベル賞は、ダイナマイトの発明者でもあるスウェーデンの化学者、アルフレッド・ノーベルの遺言により1901年に創設されました。

物理学、化学、生理学・医学、文学、平和、経済学の分野で突出した功績をあげた人物に授与されます。複数による研究業績については、3人まで同時に受賞できる決まりです。また、平和賞は個人だけではなく、団体でも受賞できます。

ただし、経済学賞だけは、実はノーベルの遺言によって設けられた賞ではなく、1968年にスウェーデン国立銀行の創立300年を記念して創設、ノーベル財団により認可されたもので、賞金もノーベル基金ではなく、スウェーデン国立銀行から支払われます。

各賞の選考については、物理学賞、化学賞、経済学賞についてはスウェーデン王立科学アカデミー、生理学・医学賞はスウェーデンのカロリンスカ研究所、平和賞はノルウェー・ノーベル委員会、そして文学賞はスウェーデン・アカデミーがそれぞれ行っています。

気になる賞金ですが、2016年は800万スウェーデン・クローナ(約9,600万円:2016年10月時点)です。賞金の資金はノーベルの遺産の運用によって得られた利益を基にしているため、その利益の変動によって賞金額も変動します。2001年から2011年までは1,000万スウェーデン・クローナでした。

賞金にかかる税金ですが、日本人受賞者第1号の湯川秀樹氏の受賞後にノーベル賞の賞金には課税されないことが所得税法で決まったそうです。経済学賞は、賞金がノーベル基金からではないため、課税扱いとなります。

ノーベル賞受賞者数トップ10 日本は何位?

では、これまでどの国がどのくらいのノーベル賞受賞者を輩出してきたのでしょう。受賞者の出生国をベースに集計したところ、受賞者数の多い国トップ10は以下となります。

1位:アメリカ(258人)
2位:イギリス(85人)
3位:ドイツ(80人)
4位:フランス(54人)
5位:スウェーデン(29人)
6位:ロシア(27人)
7位:ポーランド(26人)
8位:日本(24人)
9位:イタリア(19人)
10位:カナダ(18人)
10位:オランダ(18人)

(出所:ノーベル財団資料より作成)

※出生国ベースのため、例えば、2008年に物理学賞を受賞した南部陽一郎氏のように受賞時には米国籍でも日本生まれの受賞者は含まれます。

欧米諸国が多くを占めるなか、アジアからは日本だけがトップ10にランクインしています。

さらに2000年以降の自然科学3賞の受賞に限ってみれば、日本人の受賞は16人と、米国の48人に次いでなんと2位につけているのです。これまでの基礎研究の積み重ねの結果なのでしょう。

日本人はどんな分野で受賞しているの?

日本初のノーベル賞受賞者は、1949年に物理学賞を受賞した湯川秀樹氏です。上記のとおり、2016年までで24名がノーベル賞を受賞していますが、物理学賞が9名と最も多く受賞しています。

次いで化学賞の7名、大隅氏が受賞した生理学・医学賞は4名、文学賞が2名、平和賞が1名です。残念ながら経済学賞の受賞者は日本からはまだ誕生していません。

自然科学分野で多くの受賞者を出していますが、多くの研究者が大学などの研究機関に所属するなか、1973年物理学賞の江崎玲於奈氏や2002年化学賞の田中耕一氏のように受賞時に民間企業の技術者として働いていた人もいます。

ノーベル賞と株価動向の関係

ノーベル賞と一部の関連銘柄の株価の動向は、無関係とはいえないようです。特に自然科学3賞に関連した銘柄は人気を呼びやすいようです。

例えば、2012年に山中伸弥氏がiPS細胞の研究で生理学・医学賞を受賞したときはバイオ関連銘柄がにぎわいましたし、今年の大隅氏の受賞でも株価が上昇したバイオ関連銘柄がありました。

10月のノーベル賞発表に先立ち、毎年9月にトムソン・ロイター社が学術論文の被引用数の多さを基にした「トムソン・ロイター引用栄誉賞」を決めています(自然科学3分野と経済学のみ)。

早めにノーベル賞関連銘柄に当たりをつけるという着想なら、この栄誉賞の受賞者の研究分野に関連した銘柄に注目してみるという手もありそうです。確率はともかく同賞受賞者はノーベル賞受賞の可能性があり、その研究分野に関連した銘柄が注目されるのです。

来年からは日本人の受賞を期待するとともに関連銘柄を見つける楽しみもあるのではないでしょうか。

(出所:ノーベル財団資料ほか各種関連資料より作成)

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